タイトルからして衝撃的ですが、内容はもっと衝撃的なのが
『そして殺人者は野に放たれる 日垣隆 新潮文庫』。
以前ちょっと日垣隆氏の著作を紹介しましたが、今回の本は、殺人事件が起きるといつも弁護側が持ち出す「
責任能力」の法的根拠となっている刑法第39条の問題を正面から見据えた作品です。
この本を読めば、著者ならずとも、
日本は世界一、犯罪者に優しい国であり、量刑が最も軽い国なのである。
と恐怖を抱くことは確実です。
次から次へと恐ろしい実態が明らかにされるのですが、その一例を本書から紹介したいと思います。
最近一年間では心神喪失的凶悪殺人者115人のうち、実に90人(78.3%)が不起訴、24人(20.9%)が裁判で刑の軽減を受けている。限りなく殺人に近い傷害致死では不起訴が85.7%、刑の軽減が14.3%。強盗では不起訴が65.0%、刑の軽減は35.0%、放火では不起訴が82.1%、刑の軽減が17.9%である(『犯罪白書 平成14年度版』)
こうして、心神喪失などの理由で不起訴になった犯罪者たちがどうなるか…、
犯罪者人格たる彼らは、何の治療処遇も受けることなく、何度も何度も野に解き放たれてしまう―
野−一般社会−に解き放たれるのです。
そういえば、法律通り死刑を執行した法務大臣を「死に神」と呼んだ新聞社がありましたが、死刑制度の是非はとにかく、死刑制度が現に存在しているのですから、正直者が馬鹿を見る社会にはなって欲しくはありません。
最近死刑が執行された中の一人に宮崎勤死刑囚がいました。
彼の裁判が始まったとき、街でインタビューに答えている人のいった言葉が今でも忘れられません。
「私は死刑には反対ですが、彼は死刑にすべきだと思います。」
みなさんはこの言葉を聞いてどう思いますか?
機会があれば、ぜひ一度、徹底的に死刑制度について考えてみてください。
もちろん先ほどのインタビュー回答の論理が破綻していることはすぐにわかりますよね。
(続く)