プロフィール

毎週木曜更新の予定です

関西の中高一貫校で
国語を教えています。
Z会の模擬試験作りなどの
お手伝いをしています。
趣味は登山、読書、音楽鑑賞
その他です。

最新記事
最新コメント
垂渓庵
旧暦6/23 後悔 (2008年08月05日)
垂渓庵
旧暦6/23 後悔 (2008年07月30日)
垂渓庵
旧暦6/1 灯りまたたく黒門町に (2008年07月30日)
ゴンザレス
旧暦6/1 灯りまたたく黒門町に (2008年07月27日)
垂渓庵
ちぎれる本─和本の話の続き (2008年06月24日)

http://www.zkaiblog.com/jr06/index1_0.rdf

旧暦7/7 プロスロギオン

[2008年08月07日(木) ]

垂渓庵です。

今日は旧暦の七夕です。が、今回はそれに相応しい風流な話題では全然ありません。どちらかというと、暑さを亢進させるような話です。耽読翫市はあなたを忍耐力の限界にいざないます。

わたしはキリスト教系の高校に通っていました。そのせいかどうかわかりませんが、キリスト教というものに以前から興味を持っています。とは言え、キリスト教の歴史については、高校で宗教の時間に習ったことをうろ覚えしているに過ぎません。いや、それもあまり真面目には聞いていませんでしたから、ほとんど覚えていないと言った方がいいでしょうか。

そんなわたしですが、読書の範囲が広がり、岩波文庫などにも触れるようになってくると、キリスト教関係の書物などが目に入ってきます。たとえば聖テレジアの『完徳の道』だとか、アウグスティヌスの『神の国』だとか。そうそう、以前紹介したユニークな倫理の先生は、フォイエルバッハの「キリスト教の本質」は読まなくていいとおっしゃっていたのでした。そう言われると読みたくなるものです。で、読んでみたのですが…。え〜と、読まなくていいと思います。

そんなこんなで、キリストに倣うわけでもないのにキリスト教関連の本をたまに買ったりするわたしが、たまたま復刊されたのを手にとったのが、聖アンセルムスの『プロスロギオン』でした。

続きを読む...

旧暦6/23 後悔

[2008年07月18日(金) ]

垂渓庵です。

わたしは生徒にはよく「やっといたらよかったと後悔するぐらいなら、やって失敗する方がましや」と言います。が、常にそのことばを実践できているわけではありません。

好きな子に結局何も言えずに終わったこともあります。言って玉砕したこともあるわけですが、そちらの方がいっそ清々しいと言えるでしょう。先日同窓会の折に、何も言えないままだった子がとてもふくよかになっているのを見かけて、「あ、言わなくてよかったかも」と思ったりもしましたが、それはまた別の話です。

大学の指導教官になかなか卒論について相談に行けなくて、行ったときには提出まで時間がなくなってしまい、結局先生のアドバイスを十分踏まえられなかったこともありました。たかだか二年ほど専門の勉強のまねごとをしたにすぎない学部生が、きちっとしたものを持っていこうと思ったのが間違いのもとだったわけです。それでも先生が目を通し書き込んで下さったコメントを見ながら、もっと早く話しに行けばよかったと後悔することしきりでした。

続きを読む...

旧暦5/16 木を植えた男たち

[2008年06月19日(木) ]

垂渓庵です。

『木を植えた男』というアニメーションがあります。吹き替え版は三國連太郎さんが語りを担当しています。もとはフランスの作家ジャン・ジオノの短編をフレデリック・バックがアニメ化しました。
ご存じない方のためにあらすじを説明しましょう。

語り手が、徒歩旅行中に木などが生えていない不毛の山地を通りかかりました。その土地に住む人々の心も荒れすさんでいました。そこに一人の羊飼いがいました。彼は荒れ果てた大地にたった一人で木を植え続けていました。彼は黙々と木を植え続けたのです。大きな戦争をはさんで、語り手が再びその地を訪れてみると、そこは木々の生い茂る楽園のような地になっていました。

わたしは大学生のころにこのアニメを見てけっこう感動したのですが、今回はこの作品の魅力について語りたいのではありません。上のあらすじを念頭に置いて、次の話を読んで下さい。

続きを読む...

旧暦4/8 圧縮と解凍

[2008年05月12日(月) ]

垂渓庵です。

パソコンでファイルのやりとりをする際に、圧縮、解凍を行うことがあります。その際にはLHASAのような圧縮・解凍ソフトを用いるわけですね。仕組みがわからないながら、便利なので日常的に使っているのですが、あの「圧縮」と「解凍」ということば、落ちついて考えてみるとちょっと妙なところがあります。

続きを読む...

旧暦2/20 王様──続・エピグラフ

[2008年03月27日(木) ]

垂渓庵です。

前回はエピグラフについて少し考えてみました。あまり感心しない例しか作ることができませんでしたが(−−)今回は口直しにかっこいいエピグラフをご紹介しましょう。とりあげるのは、コンラート・ローレンツの著作です。

続きを読む...

旧暦2/13 エピグラフ

[2008年03月20日(木) ]

垂渓庵です。

エピグラフとは、小説などの始めに置かれている題辞や引用句を言います。作品全体のはじめに置かれていることもあれば、章のはじめごとに置かれていることもあります。たとえば、堀辰雄の「風立ちぬ」では、作品の冒頭に、

  風たちぬ 我生きめやも

というポール・ヴァレリーの詩が原文で掲げられています。堀辰雄はヴァレリーの詩にインスパイアされて『風立ちぬ』を書いたのでしょうか。何やらエピグラフを使うと高級な香りが漂い出しますね。

続きを読む...

旧暦1/26 薫る風──薫風讃

[2008年03月03日(月) ]

垂渓庵です。

風が薫るのは五月なわけですが、今は三月。暦の上では春とはいえ、まだまだ寒いです。この時期、風が薫るのを感じるにはどうすればいいでしょうか。

海外へ脱出する、薫る風の成分を分析して科学的に合成してエアコンから噴霧する、などなどの方法が考えられますが、いずれも面倒です。わたしならもっと簡単に風が薫るのを感じることが出来ます。

続きを読む...

旧暦1/1 新年おめでとうございます

[2008年02月07日(木) ]

垂渓庵です。

今日は旧暦1月1日。元旦です。いわゆる旧正月です。
というわけで新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
思えば去年もいろいろありましたね。今年はいい年であって欲しいものです。
……。
……。
……。全然正月気分になれません。もう二月ですから。
以前にも触れたようにわたしたちの生活は旧暦と無関係ではありませんが、
やはり新暦のサイクルが身についてしまっているのです。

でも、世界には今でも旧正月にお祝いをしている地域があります。

続きを読む...

旧暦12/21 リヨクトポンプ

[2008年01月28日(月) ]

耽読翫市です。

松平定信という人を知っていますか。そう聞くと、おそらく日本全国でブーイングが湧き起こることでしょう。

「ばかにするんじゃねえ。このほでなす。知らんはずないやろが。なしてそげんこつ言うかね。何とかの改革の人ばい。有名な人のごたる。にしゃももうろくしたんでねが。知らねはずあんめ」……。

う〜ん、とても全国ですね。

寛政の改革をおこなった人。田沼意次の対極にいる人。清く正しい人。えらい人。
一般的な彼のイメージとしてはそんなところでしょうか。もう少し詳しく知りたければ、たとえばウイキペディアを見てみましょう。彼の人となりについてこんな風に書かれています。

さてさて、そんな彼ですが、国語という教科的には問題作成の原典として強く意識される人なんじゃないかと思います。整っていて適度に理解しやすい文章を書く人だからです。「花月草紙」あたりは原典としての採用率がかなり高いのではないでしょうか。

今回はそんな定信の記録する怪異(?)、リヨクトポンプについてのお話です。

続きを読む...

ベニスの商人

[2007年12月17日(月) ]

垂渓庵です。

明治期にジャーナリストとして活躍した成島柳北は、幕末期の幕臣でした。彼は、やはり幕末期の幕臣で明治期にジャーナリストとして活躍した福地桜痴に、「これはさて世はさかさまとなりにけり乗った人より馬は丸顔」とひやかされたほどの面長でした。確かにその写真を見ると明らさまに面長です。

この面長はよほど人に強烈な印象を与えるらしく、いずれご紹介する内田百閧ノも「馬は丸顔」という随筆で枕に使われています。その他にもネット上でいくつも彼の面長をネタにした文章が書かれているようです。が、今回の話は彼の面長とは全く関係ありません。

いえ、面長が関係ないどころか、柳北自身、ベニスにも商売にもあまり関係ありません。彼はベニスに行ったこともないはずですし、商人でも、まして金貸しでもありませんでした。もちろん、シェイクスピアと知り合いという事実も、シェイクスピアの作品を翻訳したこともありません。

え? じゃあ、その成島柳北とかいうのがどうベニスの商人とつながるのかですって? まあ、あわてないで下さい。彼には次のようなエピソードがあるのです。

続きを読む...

| 次へ