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旧暦1/22 直球勝負1 チェコの良心

[2008年02月28日(木) ]

垂渓庵です。

本に関する話題をいくつか取り上げてきましたが、好きな本や作家をストレートに紹介するということをあまりしていませんでした。ここらでお気に入りの作家を何人か紹介してみることにします。今回はカレル・チャペックです。

わたしはカレル・チャペックが好きです。彼は第二次世界大戦前のチェコで、ジャーナリストとして、平和を、人道的なものごとの解決を要請し続けました。ナチスドイツの脅威が迫る中、彼のとった道は困難で、実現の可能性が少ないものでした。

しかし彼は、祖国に人々に希望を捨てずに平和を希求することを訴え続けました。彼自身、結核菌に体を冒され、苦痛にさいなまれていましたが、決して希望を捨てませんでした。明るく軽妙な筆致で人々を鼓舞し続けたのです。

ここ何年か作品集やエッセイ集、戯曲集などがいくつも出版されています。購入可能な本が何冊もあるだけでなく、今でも翻訳の新刊が出続けているのです。どれを選んだらよいか迷ってしまうほどの数です。こんな感じです。

そんな中で何を選べばよいのか、選択の方法はいろいろありますが、彼のシリアスな小説を読んでみたければ成文社の「チャペック小説選集1〜5」がいいでしょう。エッセイなら恒文社の「エッセイ選集1〜5」──本文を確認していないのですが、この中の紀行文が最近ちくま文庫で文庫本化されたようです──がお勧めです。どちらも読みやすい翻訳です。

手軽に読みたいのなら、平凡社ライブラリーにエッセイの選集が2冊、小品集が1冊入っています。とくに小品集の「こまった人たち」には、これまで日本語で読むことの出来なかった作品もいくつかとられています。

彼は、「ロボット」という語の生みの親としても有名です。「R.U.R.]という戯曲で用いました。ものの本によると、彼の兄のヨゼフ・チャペックが最初に思いついたもののようですが。そんな彼の戯曲も最近「チャペック戯曲全集」という一冊本が出て、読みやすくなりました。

「ダーシェンカ」を中心とした猫や犬好きの人向けの本もありますし、「園芸家十二ヶ月」という、園芸好きの人には外せない本もあります。SF好きには「R.U.R.」はもちろん、古典SFとしての「山椒魚戦争」なども忘れられません。

彼は大上段に振りかぶった大袈裟なもの言いはしません。また、彼の意見はどちらかというと常識的な、比較的穏健なものです。その点で多少の物足りなさを感じる人もいるかと思いますが、彼の生きた時代を考えると、彼の立場が一貫してぶれていなかったのは、感動的でさえあります。

が、わたしはそんな堅苦しいことだけを考えて彼の文章を読んでいるわけではありません。ユニークな切り口で世相を鮮やかにとらえ、人々の生活ぶりを語り、真理を鋭く突く彼の文章が単純に面白いと思うのです。

本を人に勧めるのは案外難しいものです。何を面白がるかは人それぞれですから。わたしもあえてチャペック──あるいはその他のお気に入りの作家も──を勧めようとは思いません。が、「自分は今世の中的なまっとうさよりも会社の論理を優先しようとしている」、「ああ、ずるく立ち回ろうとしているな、おれ」、「あいつを仲間はずれにするのなんか嫌だけど、自分がやられるのは嫌だしどうしよう」、「どうしてあのおばあさんを手伝ってやらなかったんだろう」、そんなことがどうしても気になってしまう方は、読んでも損はないと思います。彼に一歩を踏み出す勇気をもらって下さい。

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>野中さん

長い長いお医者さんの話ですか。わたしも好きでした。岩波の中野好夫の訳で読みました。
ご存じかもしれないですが、青土社から「チャペック童話全集」が刊行されており、これまで未訳だった童話も収録されています。

ブラッドベリの本は自伝的長編なのですか。今はモームの「人間の絆」というこれまた自伝的小説を読んでいますので、一段落したら一度見てみます。
「ヴィクトル・ユゴーと降霊術」の方も面白そうですね。こちらは、ポール・ジョンソンの「近代の誕生2・3」と併読してみます。だいぶ先の話になりますが。

SF関連ではティプトリーの「輝くもの天から墜ち」(ハヤカワ文庫)が面白かったです。長さを気にせずに読み通せました。
Posted by:垂渓庵 at 2008年03月03日(月) 10:36
チャペック、好きです。小学生のころ、「長い長いお医者さんの話」あたりから読み出したと思います。最近は好きだと言いつつ手に取ることがなかったので、長男の大学受験が終わったら、図書館に行こうと思います。ありがとうございます。

実は…1月に図書館で面白そうな本を借りておきながら、2月の大学受験に振り回されて、結局読みきれなかったんですね。図書館さん、ごめんなさい。

そんな忙しいときに借りていた本。
ブラッドベリの「緑の影、白い鯨」
稲垣直樹の「ヴィクトル・ユゴーと降霊術」
すごく面白いです。
Posted by:野中すみれ at 2008年03月01日(土) 08:06