[2008年05月22日(木) ]
垂渓庵です。
今回は好きな作家の紹介その2です。
副題は「シーモア・序章」と似ていますが、サリンジャーではありません。
「ライ麦畑でつかまえて」を読んだぐらいですが、
サリンジャーはどちらかというと苦手な作家です。
なぜでしょうか。
あ、また話がいらぬ方向に逸れてしまいそうです。
閑話休題。好きな作家の紹介に戻りましょう。
好きな作家の二人目は、北杜夫さんです。
斎藤茂吉の息子にして、精神科のお医者さん。ついでに患者さん。
お兄さんも精神科のお医者さんで、エッセイストでした。
今は娘さんが文筆家として活躍中です。
ご本人はここ数年は新刊を出しておられないようです。
お加減でもお悪いのでしょうか。
さて、今を去ること三十二、三年前。
わたしが小学校の高学年のころの話です。
その頃、読書の楽しさに目覚めていたわたしは、
学校の図書室で本を借りては読んでいました。
主に子供向けのSFだったように思います。
しかし、学校の図書室と言っても、
教室二つ分かそこらの広さです。
興味を持ちそうな本はそんなに多くありません。
そこでわたしはお小遣いを握りしめて本屋さんに行くことにしました。
始めて入った本屋さんは今でも実家の最寄り駅前に健在です。
ご夫婦二人でやっておられる小さな本屋さんです。
わたしが高校生ぐらいまでは、その本屋さんの奥さんは、
とても気短でいつもプリプリと怒っておられました。
何がそんなに気に入らないの? というぐらい、
旦那さんにあたる、バイトの人にあたる、お客さんにあたる、
本にあたる、もろぼしあたる……。
とにかく荒れておられました。きっとお客を三人は失っていたと思います。
その後、大学生になるともっと大きな本屋さんに行くようになったので、
その本屋さんにはあまり行かなくなりました。
が、ある日、偶然の気まぐれから
ほんとに久しぶりにその本屋さんに行ったとき、
わたしは真に驚くべき光景を目にしました。
なんと、そこの奥さんが
とんでもなく優しい人に変貌していたのです。
お客さんにはにこやかに丁寧に接し、
バイトのおねえさんたちには温顔で生活のアドバイスをし、
旦那さんには甘えたようなしゃべり方をする。
もちろん、本にかけるハタキもソフトタッチです。
何があったのでしょうか。
わたしは狐か狸に化かされているのでしょうか。
そう言えば、旦那さんは狸に、奥さんは狐に似ています。
いや、そんな馬鹿なことがあるはずはありません。
その奥さんの様子を観察するためだけに
しばらく文庫本の棚の前にいました。
どうも付け焼き刃ではなさそうです。
わたしが留守にしていた間に、彼女に、
いや、ご夫婦の間にいったい何が起こったのでしょう。
わたしは人生の不可思議さに思いを致しながら、
文庫本を数冊買って店を後にしたのです。
いけない、とんでもなく長い前振りになってしまいました。
なんか、このブログ一回分ぐらいの分量になってます。
とりあえず今回はここで終わります。
直球勝負のつもりが変化球みたいになってしまいました。
これではマクラだけで終わってしまった落語みたいですね(−−)