こんにちは。
少子化社会と言われるようになって久しいですが、中学生のみなさんくらいの世代だと、きょうだいのいる人といない人の割合はどんな感じなんでしょうか?私の世代(昭和40年代生まれ)だと、2人か3人きょうだいが主流だったような気がします。私自身は3姉妹の長女で、歳の近い妹と歳の離れた妹がいます。
うちの3姉妹の話については後述するとして…
みなさんは「家族に関する表現」を英語で学んだときに、不思議だと感じたことはありますか?
そう、英語だと「兄」「姉」「弟」「妹」を一言で表す単語がないんですよね。
例えば姉だとelder (またはolder) sisterになりますし、弟だとyounger brotherになります。でも実際の英語の会話にはelderだのyoungerだのの言葉はめったに出てきません。なので、そのbrotherなりsisterなりの歳を知りたいときには、誘導尋問するなり会話の内容から判断するなりするしかないのです。
そういえば、いつだったか欧米人の双子に「どっちがお姉さんなの?」と質問したところ、同じ日に生まれたのにお姉さんも何もない、みたいな答えが返ってきて面食らったことがありました。どうやら欧米文化では、きょうだいのなかで誰が年上とか誰が年下とか、そういうのはあまり関係がないみたいです。(厳密にはあるのかも知れないけど。)
そんな訳で、翻訳者のはしくれとしては、このbrother/sisterは厄介な言葉です。
私は実在の人物について書かれた文を訳すことが多いのですが、例えば「だれそれは音楽一家に育ち、his brother Aはバイオリン、his sister Bはピアノをやっていた」なんて文章があるとします。そうするとネットで検索しまくって、Aが兄なのか弟なのか、Bが姉なのか妹なのかを割り出すのです。大抵の場合はどこかに出ているので該当する訳語を割り当てるのですが、うやむやにごまかした例も数知れず…(懺悔)

他の翻訳者さんはどうしているのか興味深いところではあります。私の場合は実在する人だから割り当てやすいですが、架空の話だとどうするんだろう…。
日本やアジアの文化では将来家業を継ぐとか親の面倒を見るとかそういうときにきょうだいの順番が関わってくるので(第1子の責任が大きい国が多いですが、モンゴルでは末っ子がその役割を担うらしいですよ。)、生まれた順番を単語で明確にする必要があったのでしょうけど、欧米は家族より個人のほうに重きがおかれるらしいので、brother/sister程度の区別でまかなえるのかも知れませんね。子供を叱るのも、"You're a big boy now!"(もう大きいんだから)と言っているのを耳にしたことはありますが、"You're a big brother!"(お兄ちゃんなんだから)と言っているのは聞いたことがありませんし、自分のきょうだいのことをSister!なんて呼んでいるのも聞いたことがないですし。そのかわり、赤の他人に向かってHey, brother!と親しみを込めて言っているのは何度も耳にしましたが。

日本語でも面倒見のいい人のことを「あねご肌」と言ったりしますし、親しい他人をきょうだい扱いするのは世界共通なのかも?
ところで、きょうだいの呼び方は違っても、世界のどこに行っても大抵のきょうだいに見られるのが、お互いに対する複雑な感情だと思います。
私なんてもう40近いというのに重度の妹コンプレックスですよ

妹たちのことは、母の次に「一生超えられない存在」だと思っています。特に「男の子分野」(何だよそれ)はことごとく妹たちに先を越され、ただでさえ帰国子女いじめとかを経験して自分に自信のなかった身としては自己嫌悪に陥ること数知れず、という感じでした。
私の場合は妹たちに対する嫉妬というのはあまりなくて、基本的に妹たちのことは全肯定なんですね。だから妹たちが男の子に人気があるのも、こうこうこういう魅力があるからだなと納得がいくのですが、さてその魅力は自分にもあるのか?と自問したときに「…

…」という気持ちになるんです。
でも、多感な思春期の頃にそれを母にこぼしたところ、意外なコメントが返ってきました。
なんと、私だけでなく、次女や三女も同じようなことをお互いに対して思っているというのです。「全くやんなっちゃうわよ、こっちは平等に産んだつもりなのに、みんな『○子と△子(注:うちは全員呼び捨て)はこういういいところがあるのに』って愚痴ってくるんだから」と母は苦笑していました。
次女と三女が言っていたらしい「私のいいところ」というのは、私自身が思ったこともない点でした。母が気を利かせてくれたこともあり、それ以来以前より少しだけ自分が好きになれた気がします。
大人になってから3人で飲んだとき、お互いその辺を洗いざらい語り合ったことがあります。普段は陽気な飲みなんですが、そのときは3人ともうるうるしていました。同席していたうちの夫は困っていましたが

でも、いい涙だったと思います。きょうだいがいることによって存在した葛藤を乗り越えて今があるわけですからね。

という訳で、私自身は女3人きょうだいに生まれてよかったなと思っています。ありがとうお父さんお母さん。きょうだいのいる方は、brother/sisterを大切にしてくださいね。そして一人っ子の方も、一人っ子ならではの葛藤や特権を思う存分満喫してください