旦那が平日に休暇が取れたので、久しぶりにお気に入りの日帰り温泉に行ってきました。
この日は、同居の父と娘も同行したので賑やかな小旅行気分となりました。
途中、日本酒の酒蔵があるので、「おじいちゃん、途中に
酒蔵があるんだけど、寄ってみる?」と誘うと「いいねぇ〜」と返事がきました。
曲がりくねった急坂を降り、小さな川を渡ると歴史深い酒蔵が見えてきました。
実はここは、2度目の来訪です。
日本酒が大好きなおじいちゃんは、店主夫人のお誘いで色々なお酒を試飲させて頂きました。
「うまいねぇ〜」と唸ったお酒は、吟醸酒でした。
おじいちゃんは私にも勧めてくれたので、下戸な私も飲ませて頂きました。
「ん〜〜、お酒の味はよくわからないけれど、美味しいのはわかるわ。」という、私のへんてこりんな答えに、運転手の旦那はとても羨ましそうに見ていました。(試飲より運転を取った旦那です。・・・・私の運転が不安なのかしら?実は途中の山登りラリーを楽しみにしていたのです。)
この母屋は、実は江戸末期に建てられた日本家屋で、「八つ墓村」のロケ地にもなったそうです。
旦那が「建物の中を見てもいいですか?」と店主夫人にお願いをすると「足が汚れますけれど、どうぞ、どうぞ。」と勧めてくださいました。
広い土間から畳の部屋に上がると、外から見たのとは、全く違う景色が見えました。
二階から上はお蚕さんを飼っていた場所だそうで、大きな太い大黒柱と梁が、この家を支ええているのがよくわかりました。
「この建物は、江戸末期のものなのに、電線も張られて、新旧の歴史があるんですね。」と私が言うと「この電気関係も、すでに歴史ものになっているようですよ。今はこの部品もすでに見かけないようです。」と夫人が答えてくれました。
大きなお屋敷の奥の奥が気になって仕方がない私は、「この奥も行ってみてもいいですか?」と聞きました。
「え〜〜いいですよ。ただ、畳がフカフカしちゃって・・・・人が入らないので、畳の中に空気が行かないから、畳がフカフカしちゃうんですよ。」と教えてくれました。
家は、人が住まないと痛みやすいというのは、そんな事からもいえるのかもしれません。
私たちの興味に、店主夫人は資料館の説明のように、家の隅々を色々と教えてくれました。
うぐいす板・ピカピカな色付き漆喰・鏡を埋め込めた洒落た漆喰の壁・茶室の天井・お礼の襖の日本画・焼杉の欄間・奥の茶室・四つのおトイレ・お坊さん専用の出入り場所・・。
その一つ一つが本物であり、その材料も伝える技術者もない(いない)モノばかりでした。
モノだけではありません。この建物がいつまでも残っていた背景は、人の心意気とか思いやりとかがあったからこそ残っていたのだと、店主夫人の話を聞いて伝わってきました。
それは、贅を尽くして集められたという感じではなく、誠意が集まった家屋と私は感じました。
この中の一つ一つのモノは、今の私たちから見たら当たり前のものですが、その当時はハイカラで驚く技術だったに違いありません。歪んだ大正ガラスの入った板張りをみて、その歴史を深く感じました。
玄関の土間も幾人の人たちが踏み固めたものなんでしょう。
そこに立っているだけで、歴史の時空間に入っていけるような気がしてきました。
聞かなければ、わからないバス停の名前の由来などなど。
ただの道路の脇に、こんな人の歴史と建物の歴史があったなんて、知りませんでした。
今晩は、そんな話を肴に、美味しい日本酒を楽しみたいと思いました。