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プロフィール

野中すみれと申します。
二人の息子の胃袋を満たすのに毎日苦労しています。

世紀末の美術

[2008年07月09日(水) ]

本を借りようと図書館に行きました。
漱石研究の本が、いつも何冊か並べられているので、今回は「漱石の美術愛」推理ノート(新関公子著、平凡社刊)をまず手にとりました。西洋文学のコーナーでは、先日漫画で借りたプルーストに関連して、「プルーストの部屋『失われた時を求めて』を読む」(海野弘著、中央公論社刊)が目に留まったので、これも借りてみました。

何気なく手に取った本ですが、世紀末、1900年を境にその前後のヨーロッパの美術の動きがそれぞれ、対象の作家に影響を与えていたことについて書かれていて、興味深かったです。

過去をなつかしむプルースト。ラスキンやラファエル前派に魅かれていた彼の視線の方向と、1901年にイギリスに留学し、その時点でもう世紀末美術が衰退を始めていて、アールヌーボーも過去のものになりつつあった当時の空気を敏感に感じ取り、印象派の台頭を興味深く見ていた漱石。彼は青木繁の才能を愛したことからも、美術に関して並々ならぬ審美眼を持っていたことがわかります。これからの日本を背負う責任を負っていた漱石ですから当然のことながら、二人の美術を見る視線はまったく正反対だったのです。

美術の世界から文学の作家を研究するというのは、あまりない視点だったので新鮮でした。というか、これほど漱石が美術にも見識があって、作品に意識的に反映させているとは思いも寄らなかったことです。

もともと、作品は作品として鑑賞するもので、その周辺を解説する本(たとえば、「ハリー・ポッター」や「ナルニア物語」などのあの手この手の解説本のようなもの)はあまり好きではなかったのですが、この二冊を読んで、作品をより深く理解する手助けをしてくれるこういう本なら、いくらでも歓迎しようと思いました。

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