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ホセ・オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』  [2008年09月08日(月) ]

こんにちは、通信教育英語担当いけだ314です。
新入社員ブログには上智三人娘なるものが登場しましたが、こちとら上智独り息子です。

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【大学豆智識】
(くだん)の三人娘に象徴されるように(?)、女子の集まるイメージが強い上智大学ですが、大学のウェブサイトの年表には、「1957年 (昭和32年)」に「女子学生の入学を認め」たとあります。
つまり、それまでは男子大学でした。
Wikipedia には、「日本最後の『男子のみの総合大学』だった」とあります(こちらは裏は取つてゐません)。
意外ですね。

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さて、今20世紀前半のスペインの思想家ホセ・オルテガ・イ・ガセット(Jose Ortega y Gasset)『大衆の反逆』(La rebelion de las masas)という本の原書に挑んでいます。

この本は、大学時代に神吉敬三(かんきけいぞう)氏という方の訳(ちくま学芸文庫)、2年半ほど前に寺田和夫氏とうい方の訳(中公クラシックス)で読み、その後原書に取り掛かったのですが、半分ぐらい読んだまま約2年間放置しており、最近続きから再開してみました。
とは言え原書ではなかなか意味のよくわからないところもあるので、翻訳を片手にしながら読んでいます。
(神吉先生という方は、私がいた学科の先生だったのですが、残念ながら私が入学する3年前に亡くなりました。)


この『大衆の反逆』は、1929年に書かれ、当時ヨーロッパ世界に広がりつつあった「大衆」の支配という現象について悲観的に述べています。
この「大衆」(hombre-masa,mass-man)という言葉には決してよい意味はありません。
その意味するところは、自らに高い要求を課さない存在、凡庸であることの権利を堂々と主張してやまない存在、欲望の赴くままに行動し義務の観念を持たない存在、自分の行為の意味を理解しない存在、ノーブレス・オブリージュを持たない存在、……などとでも言えばよいでしょうか??(間違っているかもしれませんが。)

勘違いしてはいけないのは、これは社会階級のことではなく、人の精神の有様を言うものだということです。
オルテガ・イ・ガセットは精神的な意味での「貴族」「大衆」を対比しますが、これをニーチェの「超人」「蓄群」といった概念、あるいは遠く『論語』に出てくる「君子」「小人」というのと比べてみたら興味深いかもしれません。(僕はまだよく知りません。誰か詳しい人いませんか……?)

さて、この本を手に取り直してから2章ほど進んだところのテーマが、まさにここ数年私が特に関心を持っているテーマの1つでした。
その章の題名は「『専門主義』の野蛮」というものです。

近代の学問は、その発達に伴って、各分野がどんどん細分化されていきました。
学問が発達すればするほど一人の学者が知る領域はどんどん狭くなり、その極めて小さな領域に属さないことは何も知らないばかりか、興味も持たず、自分の研究領域が「智」の全体の中でどのような位置を占め、どのような意味を持つかを理解しなくなる。
そして、自分の専門以外のことには一切無智であることを美徳と公言してはばからない、そんな専門人・知識人を、オルテガ・イ・ガセットは「大衆」の典型と見ています。
(ちなみに、Z会とも関わりの深い、中国哲学の加地伸行先生は長年の研究の末に、『論語』の「君子」「小人」に対してそれぞれ「教養人」「知識人」という訳に辿り着いたそうです。)

『大衆の反逆』は約80年前に書かれたものですが、この「学問領域の細分化」という事態は、現代においても急速に進み続けているものではないかと思いますし、今の学者でもその弊害を問題視する人はいます。
しかし、一方で1人の人間の能力には限界がある以上、多くのことが明らかになればなるほど、1人が扱える領域がどんどん狭くなっていくのは避け難いような気もします。
これから学問はどのような道を行けばよいのでしょう。


此の問題、學問を志す人は考へるべきテーマではないでせうか。
科學史や科學哲學を勉強された方、いらせられましたら御一報を。
Posted at 15:10 | いけだ314 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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