こんにちは。大学受験コース教材編集のつじのです。
久々のフリーテーマです。
先日,出身の研究室が所属する学会の年次大会が横浜で行われました。
昨年は研究発表も聴講に行ったのですが,今年は都合がつかず夜の飲み会に合流しました。
先生方や後輩たちにも久々にお会いし
(とは言っても,お会いするのは3ヶ月ぶりくらいだったりもしますが…),まぁいろいろな話に花を咲かせてきました
いま
大学院のD2の後輩は,自分が博士課程に進学したときに学部4年生として研究室に配属されてきました。
そう考えると,何だか時の流れは速いなぁ〜と感じます。
もう研究室を中心になって引っ張っていっている世代になっているんですもんね
実際に所属されるとわかるかと思いますが,
「『研究室』って1つの小さな社会だ」とずっと感じています。
右も左もわからない
新米として配属され,その中でいろんなことを覚えていき,
しばらくすると後輩ができ,
教育係になったりして,今度は自分からいろんなことを教えるようになります。
そして,学年が上がるにつれ,研究室の運営にも関わるようになり,器具や試薬の
発注・交渉なども任されます。
もちろんその中で,自分の
研究成果を発表します。他研究室との
共同研究もあります。
さまざまな申請書類を書いて研究費を稼いだり,学会参加の手配をしたり…なども。
また,
上司・後輩との接し方にも気を遣います。
これらの研究室生活での経験は,いまの仕事でも(直接的ではないにしても)役立っています。
もちろん化学スタッフとして役立つ知識も得ましたが,それに加え「社会」で生きていくすべの一端を学んだ気がしています。
人の入れ替わりも激しいので,まさに
「社会の縮図」かと…。
研究室ではたくさんの方にご迷惑をおかけしながらも,何とか成長させていただきました。
いまはまだ,会社ではまわりの方にご迷惑をおかけしていますが,そんな研究室での経験も活かしてさらに成長していきたいと思っています
理系の学部に進学を目指している受験生のみなさんは,そんな
「研究室生活」も期待していてくださいね
というわけで,たまには化学担当らしいことも書こうかと思いまして,
気になった記事をとりあげてみます。
↓↓↓
「イオン液体を用いた電子顕微鏡の新観察法開発」
http://osaka.yomiuri.co.jp/eco_news/20080521ke02.htm
「何のこっちゃ??」と思われる方も多いと思いますが…
この
「イオン液体」というものに着目してみます。
(まぁ何を隠そう,研究室で自分が少し扱ったことがあるからなんですが…)
そもそも「イオン液体」とは,
室温で液体の「塩(えん)」のことです。
最近注目されている分野で,環境問題やリサイクルなどとちょこっと関わっていたりもします。
それで,今度は「塩(えん)」とは何かということですが…
まず,「塩(しお)」ではありません
まぁ,ややこしいのは,いわゆる「しお」,つまり「食塩」の主成分である塩化ナトリウムNaClは「塩(えん)」なんですが…
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塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜると塩化ナトリウムと水ができます。
HCl +
NaOH →
NaCl + H2O
このように,
酸と
塩基(アルカリ)を反応させた(中和させた)ときに,水と一緒にできる
NaClのような物質が
「塩(えん)」です。
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この塩の多くは,
陽イオンと
陰イオンの2種類のイオンが組み合わさってできています。
(塩化ナトリウムNaClの場合は,
ナトリウムイオンNa+と
塩化物イオンCl-です)
そのため非常に融点(固体から液体に変化する温度)が高く,室温では固体であることがほとんどです。
(↑このあたりまでは高校化学で学習します)
しかし,最近,イオンからできたこのような「塩」で,
室温で液体である物質が開発されました。
それが
「イオン液体」です。
現在ではさまざまな陽イオンと陰イオンの組み合わせにより,非常にたくさんの種類のイオン液体が合成されています。
それぞれのイオンの構造をちょっと工夫するだけで,今までは固体しかなかった塩が液体になるんですよ
ちなみに私も研究室時代にこのイオン液体を合成したことがあります。
わりとオーソドックスな構造の2つの物質を加熱して何時間か混ぜるだけで,できちゃうんです

かなりドロ〜っとした液体です。
このイオン液体,何がメリットかと言うと,記事でも触れられていましたが…
・室温で液体であるにもかかわらず,蒸発しない。
・導電性がある。
・極性がきわめて高いので,金属触媒などをよく溶かす。
など,いいことが多いんです。
とくに有機溶媒に代わる
「蒸発しないクリーンな溶媒」としての利用も注目されています。
また,蒸発しないので,触媒を溶かし込ませば
何度もリサイクルして反応に使えるのでは
という報告もされています。
(もっとも,蒸発しないのできれいに精製するのは厄介なんですが…)
化学反応も,時代はエコです。
後半は少しややこしい話をしてしまいましたが,
ごくありふれた分子やイオンの構造を少し変えるだけで,とても魅力的な性質を持たせることができるということがわかっていただければと思います。
化学って,わかっているようで
実はわからないことだらけなんです。