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2014.08.25 16:50

中央教育審議会高大接続特別部会(第18回)にて、国立大学協会が、「今後の国立大学の入学者選抜の改革の方向について」(←国大協のページにリンク)の説明を行いました。
ここで発表された資料、昨年秋ごろから加速度的に進められてきた大学入試改革の流れを少し止める(とでもいいますか)、とても大切な見解が書かれていると感じました。
注)改革一辺倒の流れ…とくに世論やメディアの報道を“いい意味で”止める(ような感じ)、という意味合いで受け止めて戴ければ幸いです。

中教審(とくに高大接続特別部会)で大学入試改革の方向性が示されるわけですが、中教審における審議の方向性を決める際、その見解において重要な位置づけとなる協会・団体がいくつかあり、その一つが今回(部会にて)説明を行った、一般社団法人国立大学協会、です。
資料中に

“ここに今後の国立大学の入学者選抜の改革の方向についての基本的な考え方をとりまとめた。各方面のご理解をいただくとともに、今後の中央教育審議会における審議においても参考とされることを期待するものである。”

と、かなり強い意思表明がされている、そんな気がしました。


2013年秋頃から進められてきた大学入試改革の審議のトーン(注:僕が受け止めている解釈において、であることをご了承ください)とあわせて、下記で説明したいと思います。
なお、資料「今後の国立大学の入学者選抜の改革の方向について」からの引用は“ ”で括っています。


“大学入学者選抜は、本来、各大学がそれぞれのアドミッション・ポリシーに基づいて行うことが基本”

この原理・原則については、中教審、高大接続特別部会でも繰り返し確認されていることですので、ここで国大協が表明したことにより、「大学はアドミッション・ポリシーを明確化するべき」との強い意思表明が(高等教育界隈で)なされた、と捉えて構わないと思います。


“多面的・総合的に評価する入学者選抜への転換は、「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」のみならず各大学の個別試験や推薦入試・AO 入試等を通じて、それぞれのアドミッション・ポリシーに基づき、面接、小論文等を含む様々な選抜方法を取り入れることにより実現していくことが有効かつ現実的である。 ”

これまでは、センター試験そのものを「(幾分かは)多面的・総合的に評価する入学者選抜へ転換」するために、「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」へ変えていこう、という流れがそれなりに強かったと感じています。
しかし、センター試験を変えなくても、あるいは「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」を設けたとしても、その試験を数十万規模の学生が受験し、その評価において多面的・総合的なものを目指せば、運用面は極めて大変になることが予想されます。
早い話、“(5教科の、しかも「知識」偏重な試験ではなく)多面的・総合的に評価する入学者選抜は必要だが、それは「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」だけに求めすぎなくてもよいのでは(その方が現実的では)”という表明になると捉えられます。


“一般入試の個別試験における学力検査においては、各大学は従来から記述式・論述式問題の出題を取り入れて、単なる知識だけではなく論理的思考力・判断力・表現力等を評価するように様々な工夫をしてきた。こうした機能は今後とも極めて重要であり、良質な問題を供給し続けるための体制整備が課題である。”

知識偏重の学力試験になってはいけない、記述式・論述式問題は極めて重要である、という、国立大学協会の強い意志が伺えます。

事実、昨年来の大学入試改革の動きの中でも、「(入試における)知識偏重はよくない」という意見が強くにじみでていました。
※ここ、ほんと、高校生の皆さん、そして18歳未満のお子さんがいらっしゃる保護者の方は、しっかりと受け止めてくださいね。知識のみで受かるような試験を無くそうとしているのは間違いないですから。。。

一方、実際の大学入試問題を見ると、大学側も「知識偏重はよくない」とは思いつつ、入試の「運用」の効率性などを(結果的に)重視し、知識偏重の問題の出題が年々増えてきていた、そんな気がしています。
※個人的には、入試結果が開示されるようになった→「点数」が明確に出る(かつ、相手に説明できる)問題の方が無難→知識問題に偏っていった、という流れがあるような気がしてなりません。

この流れを止めよう、「記述式・論述式問題の出題」が担っていた重要な機能を忘れてはいけない、そんな意志を感じました。結果
“一般入試の個別試験における学力検査においては、良質な記述式・論述式問題の出題により、単なる知識ではなく論理的思考力・判断力・表現力等を適切に評価するようにすること”
という表現につながっていくと捉えています。


“共通試験の活用や大学独自の選抜方法を工夫して一定の学力を確保した上で、面接、小論文、調査書、書類審査等を適切に組み合わせた多面的・総合的な評価による選抜(推薦入試・AO 入試など)を行う入学者の割合を拡大すること ”

推薦やAO入試で合格する学生は出来が悪い…
大学経営を安定させるため、入学者確保の方法ではないか…
そんな批判が多い、推薦入試やAO入試なのですが、それはあくまで「運用面」の問題であって、推薦・AOで達成しようとしている入学者選抜機能の向上は、決して批判されるようなものでもないと思っています。
アドミッション・ポリシーを明確にし、一定の学力基準を達成度テストで図ったあとは、たとえば小論文・面接・ディベートの試験で、グローバルな人材かどうかを見極める、そんなことがあってもいいと思うのです。
もちろん、運用面で、かなり大変になることとは思いますが、ノウハウを身につけ、仕組み化し、少しずつ拡大する、そんな方向を国立大学が打ち出したことになります。


“各国立大学が、このような改革を行うためには、共通試験の基礎的・基本的な学力判定機能が維持されることが重要”
“「合教科・科目型」や「総合型」の導入は総合的な思考力・判断力を評価する上で有効と考えられるが、多数の受験者に対し一律に実施される共通試験での評価には困難が想定されるため、十分な専門的検討や試行が必要であること。また、これらを導入するとしても、各学部における学士課程教育の遂行に当たってはコア科目に関する適切な能力を有しているかどうかの判定が欠かせないため、高等学校学習指導要領に基づく5(6)教科(7科目)による基礎的な「教科型」学力判定機能は基本的に維持すること。”


多様性も大事だけど、基本的な5教科7科目といった「教科型」学力の大切さを決して忘れてはならない―
そんな強い宣誓の気がしました。

正直、昨年秋以降の入試改革をめぐる議論や報道で、「教科型学力は大切だ」という論調をほとんど見ませんでした。。。
もちろん、“教科型学力がすべてになるような試験にならないよう、入試を改革したい!”という強い意志が、高大接続特別部会にあったわけですし、そのこと自体はすごく理解できますが、そのことばかりが報道されると、教科型学力が見放されてしまう危惧も(個人的に)感じていたのは事実です。

このタイミングで、教科型学力の大切さに触れられたことは、バランスをとる意味でもよいことではないでしょうか。

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2014.05.16 11:40

「中央教育審議会高大接続特別部会審議経過報告」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=185000690
へのパブリック・コメントとして、下記のような考えを提出しました。
※会社を代表するものではなく、あくまで「大学入試を“良く”するために、僕自身で考えたこと」です。
ご参考に

=====
同資料2(1)「高等学校がら大学までを通じて育成すべき力」の中に「主体的」という言葉が何度も繰り返されていることからも、大学入試改革、なかでも達成度テスト(発展レベル)においては、「主体的に学び考える力」の能力を測ることに強く重点をおかれていらっしゃると伝わってきますし、その考え方については大いに賛同いたします。

そこでポイントになるのは、その測り方について、でしょうし、「主体性」という大きな枠組みの中で、生徒会活動やボランティア活動などの評価といった議論が出てくるわけですよね。こと、達成度テスト(発展レベル)においては、まず、論述型問題の割合を格段に増やす。これだけで「主体的に学び考える力」を測るテストは、たとえ5教科型であっても作れるのではないでしょうか。フランスなどでは徹底した記述式の問題で選抜をする構えを取っているようですし、一定の主題に関してとことん思考力を試す論述試験は、主体的に学ぶ力がないとまず高得点は望めません。合教科・科目型、あるいは総合型、という、教科の枠組みを超えた試験の議論をする前に、なぜ論述問題導入への議論が盛り上がらないのか、疑問に思っています(解決策の1つとしては扱われてはいるものの)。

今回の入試改革一連の話題の中で、「知識偏重の1点刻みの選抜から脱却」という内容が盛んに言われています。ではなぜ、そのような現状を生んだかと考えますと、私見では、過剰に「客観的」であることを意識する出題者側と、それに輪をかけて、情報公開の流れから、入試得点の開示が始まった悪影響だと捉えています。100%正解が導ける知識問以外の出題でも、出題者側が自らの主観による採点で「公平」である、と断ずる覚悟(とでも申しますか)を持たない限り、どんな方法論を模索しようと「知識偏重の1点刻みの選抜から脱却」することはないと考えます。逆に、この覚悟を持ち、かつ、ある一定の枠内に収まるような粗い採点基準を作成する努力とあわせれば、公平かつ客観的な試験が可能になると思います。ここ10年の、各大学の個別試験の傾向を拝見しましても、論述問題を避けようとする傾向は明らかに表れています。しかし、そこに歯止めをかけ、「思考力を試す論述問題」の出題に(入試全体が)踏み込むことで、「知識偏重の1点刻みの選抜から脱却」すると同時に、主体的に学び考える力を測ることができるものと考えます。

さらに、「主体的に学び考える力」を奨励する方向性の中では、学ぶ「過程」が重視されます。従いまして、その時点での学力を試す試験だけではなく、学びの過程が読み取れる出題も検討していただきたく存じます。たとえば、企業のエントリーシートでは、「これまでに経験した一番の困難と、それを克服した流れについて教えてください」という設問がみられますが、このような自由記述で、主体的にコミットメントしてきたかどうか、が測れる部分もあるかと思います。あるいは、とある学校や団体のトラブルのケースを挙げ、「この学校はどのように問題解決を図るべきか」という出題とともに、「今のあなたにできる課題解決は何か」と、自分事と所属するものとの解決法を分けると、当事者意識が如実に見られますので、主体性を図る上ではそういう出題も有効かと思います。

まとめますと
1.主体的に学び考える力を測る試験の方向性に大いに賛成。
2.その試験として「論述問題」を中心とする方向に変える。
3.2は、「知識偏重の1点刻みの選抜から脱却」することにもつながる。
4.2として、主体的に学んだ「過程」がわかる試験を開発していただきたい
ということになります。主体的な学び、に長年拘っていらっしゃった、安西中教審会長の強いリーダーシップのもと、改革が断行されることを願っています。
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2013.12.09 17:40

11月29日(金)、中央教育審議会(中教審)高大接続特別部会(第九回)に伺いました。
11月8日に行われた第八回に続いての傍聴。
※配布された資料はこちら

昨今の「大学入試改革」周りの報道では、「人物本位」や「面接重視」などの“わかりやすい言葉”が過剰に流れており、受け手の受け止め方の温度感を狂わせると感じています。
実はこれ、高大接続特別部会の委員の皆さんも同じ心配をしており、今回の部会でも「報道が過熱」「伝わっている言葉が一方的で心配」などの声がチラホラと発言の中でもあったくらいなんです。

真実を知りたい。
委員の伝えたいことを直接聞きたい。
温度感を弁えたい。
そしてできれば、できる限り議論の温度感を正確に、多くの方にお届けしたい―
そんな気持ちが、僕を傍聴へと駆り立てています。


さて、今回行われた部会。配布資料にもある通り、今回の2時間に渡る議論の議題は

A.多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換
B.大学の人材育成機能強化・高等学校教育と大学教育の連携強化

の2点でした。
一方、実際の議論では、Aに1時間15分程度の時間が割かれ、Bについては、文科省側からの説明の後、意見が1つ2つ出たのみで部会終了という雰囲気になった(結局その後、発言者が現れて、その発言を起点に議論が進められました)ところからも、より「多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜」に対して、制度論を十分に議論しなければいけない、という意気込みが伝わってきます。

そして、議論の内容に入る前に、見ておきたいのは、今回配布された資料1-1
教育再生実行会議第四次答申(pdf)をうけ、今回の論点として文科省側がまとめた7つの項目が掲載されています。
第四次答申の内容は実質、この資料に集約された、といっても、言い過ぎではない気がします。わかりやすくポイントがまとまっていますので、実際の議論を進めやすいですから…。


以上、前置きさせて戴いた上で、今回の会議の報告です。
注)傍聴メモを元に、なるべく正確に伝えようとは思いますが、どうしても僕の解釈が入ってしまう部分がありますことを、予めご了承いただければ、と存じます。


1.「学力は大切」という認識は一切崩していない。

配布された資料をパラパラ拝見しながら、文科省の方からの説明を伺ったあと、濱名篤委員が切りだしました。

「全部読み合わせてみると、大きくは違わない」
「報道は感情的で違う」


大きくは違わない、というのは、教育再生実行会議第四次答申、高大接続特別部会の資料、そして委員全体が受け止めているこれからの向かう方向が「大きく違わない」ということと捉えました。
この方向性につきましては、ブログ「大学入試は変わるのか?~教育再生実行会議第四次提言を受けた中教審~」を参考にして頂ければ、と存じます。

加えて、報道のされ方が、面接などの手法に傾斜されていることを気にされていました。
丁寧な選抜、という表現(資料1-1の項目2)の中には、論文なども含められているはずですよね?と。

これに対し、平野大学入試室長や、田中高等教育政策室長はこう答えました。

「丁寧な選抜、という中での例示に過ぎず、同じ性質のものを二度やるのは止めてほしい、というメッセージである。」
「同時に、“学力水準の達成度の判定を行う”と(提言には)含められており、学力は大事だということもメッセージしている。」


「暗記型学力に偏らない、ということでよいか」(濱名)「よい」(平野)というやり取りも行われました。

端的に申し上げれば、用語や解法を暗記するだけで解けるような選抜試験の比重を下げる、ということに尽きると思います。
と、なりますと、面接を代表とした、報道で流れている「人物本位」という言葉でイメージされるような選抜の仕方だけではなく、「論文」や「記述の多い教科試験」なども当然含まれます。

部会の委員は、「学力は大切」という認識を崩していない、ここはまず押さえておきたいポイントです。
蛇足ですが、「報道だけ見ると、高校生が(入試に合格するためには)インターンシップやボランティアやればいいんだね、と安易に受け止められる、それはよくないこと。」と発言された委員もいらっしゃいました。


2.実質無試験化している大学の入試には「達成度テスト(基礎レベル)」を、知識偏重の大学の入試には「丁寧な選抜」を。


議論の最後の方で、金子元久委員が仰ったことを元に、ポイントとして表現してみました。
皆さんも、報道を見ただけで脊髄反射で感じたことを元に、自分の意見を持つ際に、一度整理してほしい重要な点です。

面接に傾斜した報道に「今でも推薦やAOは面接中心で、結果、学力が不足している生徒を合格させている、それなのに面接重視?」という意見を持たれる方もいらっしゃると思います。
これについては「いや、そういう人を合格させないために、達成度テスト(基礎レベル)を受けさせようとしている。」ということになります。
一方、「5教科の知識偏重の大学入試では、より高いレベルを目指すことのできる人物を選抜しているとは思えない。」という意見に対しては、「いや、それはわかっているので、「丁寧な選抜」(上述)を。」ということになります。

ブログ「大学入試は変わるのか?~教育再生実行会議第四次提言を受けた中教審~」において、「高校教育、大学教育がどうあるべきか、それがあって初めて大学入試のあるべき姿を考える」という順序だ、ということを書きましたが、まさにこの流れであって、

高校教育の(学力の)質の保証→達成度テスト(基礎レベル)の受験
大学教育の質の転換→丁寧な選抜での受験

という流れですね。
この2つを一緒にし、乱暴にまとめた、大学入試改革の報道とそれに対する意見は、余り意味を為さないといえます。

安西祐一郎部会長の言葉を2つ補足しておきます。

「各大学がアドミッションポリシーを明確に定めた時、それに伴って大学入試も多様化するはず、と文脈おける“多様な選抜”という意味である。」
「これまでは、大学それぞれの(選抜するという)責任を、一点刻みと言う試験に押し付けていなかったか。」


深く受け止めたい言葉ですね。


3.教育目標は“「主体的な学び」ができる人材の育成”に違いない!

今回の議論を受け確信しました。
高校教育、大学教育がどうあるべきか、を考える前に打ち立てなければいけない「これからの日本社会にどんな人材を育成することが必要か」という部分、キーワードは「主体的な学び」なんだ、と。

安西部会長が議論中に口にしました。

「いままでのような受け身の教育ではだめ。」

と。
また、安西氏の最近のブログでも、「主体性」に言及されていますね。

他、いろいろ、発言を挙げていきます。

安西部会長:「基本は高校で学ぶことが大学への入学だけに直結するわけではないことをおさえておく」
田中室長:「能動的な姿勢の涵養」
小林委員:「(大学教育は)アウトカム(の評価)に変わってきている」
安西委員長:「JMOOCも話題になっているが、受講する学生の主体性がないと、受け身で映像を見ているだけになる。」

今の教育課程において、十分に涵養できていないという共通認識があるもの。
グローバルな時代になり、今まで以上に求められてきているもの。
企業が求めているもの。
JMOOCのようなICTの発達により、利用すれば能力はかなり高まるが、利用者の前提条件となるもの。

すべて「主体的な学び」という言葉に集約できる、と感じました。


上記2.で挙げた点も、「主体的な学び」を求めている、ということにつながると思います。
話を分かりやすくするために、恐縮ですが、少し乱暴な言い方を使って説明しますと…

「今、どこの大学も受かりやすくなっているから、推薦かAOで余裕だよ~。教科の勉強なんてしないもんね~」と思っている高校生には、「いやいや、高校のカリキュラムをしっかり学んでいることも試しますよ」と、「達成度テスト(基礎レベル)」という制度を導入することで、「学び」へと誘導する。
「とことん暗記して、あとは受験テクニックを覚えてしまえば、難関大学合格できる!」と思っている高校生には、「いやいや、暗記やテクニックだけでは、難関大学はまず合格できませんよ。」と、多様な選抜(論文、記述中心の学力試験、面接など)も併用し、「学び」へと誘導する。

高校生自らの、何らかの「主体性」がない限り、合格は遠くなる、そんな入試を目指していることが窺えます。

下村文科大臣は「大学進学率を、現在の52%程度から、OECD平均並に、あと10%程度に引き上げたい」と仰ったようです。
この発言を引用した文科省の方の発言を受けて、安西部会長がこう仰いました。

「推測でものを申してはいけないかもしれないが、大学進学率を上げた方がいいんでは、という声は、大学教育の質をしっかりしている、という前提で、大学レベルの人を増やさないといけない、ということ。」

大学の質を充実させ、かつ、大学、つまり、高等教育機関であり、日本における最高学府レベルの人を増やす、そんな覚悟を感じました。


他、高校のカリキュラムの問題や、SATやACTを引き合いに出すときの留意点なども議論されましたが、やや専門的になりますので、本ブログでは取り上げません。
上記をしっかりと(考え方や流れを含めて)理解できていれば、おおよそ、現在の大学入試改革について捉えられていると思われます。


最後に。
「主体的な学び」の涵養、という方向性、大いに賛成です。

そのために、こと、大学入試周りを考えるのであれば…

高校の教師は、「教える」だけではいけない教育の技術をより磨く必要があるでしょう。

大学教育では、反転授業、アクティブラーニングを始めとした様々な手法、そして、その手法を発揮できる「場」の創造がより必要になるでしょう。
アドミッションポリシーの明確化も必要です。そして、論文や記述式の大学入試に耐えうるだけの「大学自らの知的普遍性」に確信を持たなければいけません。
2次試験廃止!?~大学入試で問う力とはでも引用した、北海道教育大学元学長の村山紀昭氏のツイッターでの発言を再度引用します。

「大学入試改革論議に関して、一点刻みの学力か面接での人物重視かが議論されているが、問題は、今の共通テストで高校教育が縛られていて、思考力や創造力の教育が削がれているとことにある。で、ポイントは大学がフランスのような徹底した記述式の問題で選抜をする構えを取るかどうかではないか。」
引用元:https://twitter.com/muranori7/status/388918974894710784

「教育再生実行会議の大学入試論議の先行きは不透明でそう期待していないが、小中高大の教育の有り様を根本から変えるのには大学入試の根本改革が必須なのは事実だと思う。そのポイントは、一定の主題に関してとことん思考力を試す論述試験ではないか。これをやれば少なくとも高校教育は根本から変わる。」
引用元:https://twitter.com/muranori7/status/388922807335129088

「論述方式の入試の客観性の可能性と必要性こそ議論されるべきではないか。日本の教育では、長年こうした論述試験の客観性が軽視されてきた。そろそろそこに踏み込むべきでないか。客観性を、単に点数上の公平性のレベルで論じていては埒があかないと思う。大学人は自らの知的普遍性に確信を持つべきだ。」
引用元:https://twitter.com/muranori7/status/388921835099660288


そして、高校教育、大学教育に関わっている人だけではありません。
大人である我々一人一人全員が「主体的」になることで、若い世代の「主体的な学び」を後押ししなければいけない、と、強く思います。


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2013.11.15 15:41

前編の続きとして、部会を傍聴し、書き留めた、各委員の発言をご紹介します。
高大接続特別部会の委員は名簿の通りで、今回出席されていた委員は、安西部会長の他、相川、生重、浦野、及川、勝、小林、近藤、垂水、濱口、濱名、山本、吉田の計13名の委員でした。
正確な議事録(発言録)は、後日、高大接続特別部会 議事要旨・議事録・配布資料にて公開されますので、そちらで確認してください。また、あくまでも書き留めたメモを元に記述していますので、解釈のずれなどが多少あるかもしれません、ご容赦ください。
 
・・・
 
○高橋教育再生実行会議担当室長(教育再生実行会議での検討事項の説明)
 
・6月以降に教育再生実行会議にて検討されてきたことを受けての部会である。
・先日第四次提言が出されたが、第三次提言までと異なるのは、本部会の安西部会長が会議に出席し、これまでの中教審の検討事項を説明し、それを受けて第四次提言にいたる検討がされた、ということ。
・人口減少社会で、人という資源の最大活用は大切。だから教育の役割も今まで以上に大きい。
・現在の大学入試では正当な評価ができていないと思われる。
・マスコミは大学入試のシステムに注目しがちだが、本来は大学教育が、高校教育が、(いずれも)どうあるべきか、が先。
・大学入試センター試験のあり方のみがクローズアップされた報道は、議論の反映の正確性をやや欠いている。だがそれだけ大学入試の話題は、世間が注目しやすいのも事実。
 
・大学入試が高校時代の能力を養成する歯止めにならない時代になってきている。
・高校教育で身につける力・身についた力の明確化が必要。そのための達成度テスト。
・基礎レベルは小中で行われている全国一斉学力テストのようなものだが、実際の大学入試の推薦入試やAO入試で使われることを想定しているあたりが異なる。
・学力を問わない推薦・AO入試の濫発で大学生の学力が崩れている、それを止めたい。
・本来は達成度試験に強制力を持たせ、実効性のあるものにしたいが、法的に難しいので、受験を促す形に。すべての高校生に義務付けよ、という会議メンバーの意見もあったが、高校生の多様性を尊重した。
・基礎レベルで直ちに卒業認定や大学入試資格を与える、ということはない。
 
・大学での人材育成を強化させたい。「大学でもっと勉強せよ」というメッセージを出したい。
・大学卒業(出口)時点でしっかりした人材の輩出を。入ることより入ってからが大事。
 
・達成度テストにおいて、センター試験と異なるところは、「複数回受験」と「(1点刻みではなく)段階別評価」の2点をイメージ。
・ただし現在のセンター試験は、50万人が同時に一斉に受けるという、世界に類を見ない大変なシステム。複数回受験も関係各所に負荷が増大するという問題点がある。制度設計上の課題。
・達成度テストを「いつやるか」(1月以外か)、「どの科目でやるか」などは(再生会議では)決めていない。制度設計は中教審で専門的な見地から考えて欲しい。
 
・以上の案に総論で反対する方はほとんどいない。だがコストの問題がある。だから国もできるだけ補助していく。
 
 
○濱名委員
 
・提言は、暗記型試験(ペーパーテスト)の対極に多面的・総合的に見る細やかな試験、というイメージに映るが、対極の例として挙げられているものはすべて推薦・AO入試で実施されているものばかり。(変えることによる)効果はあるのか?
 
 
○高橋室長
 
・ペーパーテストが一切いかん、という議論ではなかった。ただ、ペーパーだけでは限界がある、という話。
・全面的に変えるわけではなく、(多面的・総合的に選抜する試験を)「大幅に増加」させるという提言。大幅、というのは、私見だが、全体の2~3割というイメージ。
 
 
○浦野委員
 
・提言に違和感はない。大学に入る人に意欲がないのが問題。学ぶ側の学ぶ覚悟についての言及が必要では。
・専門高校の生徒にも配慮した仕組みにして欲しい。
 
 
○高橋室長
 
・仰るとおり。また、達成度テストでできないことは2次試験と組み合わせることも想定している。
 
 
○吉田委員
 
・センター試験を廃止し、(以前議論されてきた)高大接続テストもやらず、達成度テストにする、という前提なのか。
・達成度テストは強制ではないそうだが、「なるべく受けて」という指示を出されると、受験する側は疑心暗鬼にならないか。
・当然高校教育のカリキュラムも変わっていく。センター試験を見据えると暗記型学習の面が(結果的に)強くなるが、変わるとなると…。加えてTOEICだのなんだの、多様性に応えようとするが余り、生徒側が迷子になることが懸念される。
 
 
○高橋室長
 
・それらのことはこれから議論すること(そして、課題解決に向かわせなければいけない、というニュアンス)。
・基礎と発展を一つにまとめられないか、という議論もあったが、基礎レベルを中心に据えると入試に使えるものにならず、(高度な)学力形成のインセンティブになりにくく、かといって発展レベルを中心に据えると多様性に対処できない(という話で、2つに分けざるを得なかった)。
 
 
○垂水委員
 
・発展レベルは今のセンター試験を変えるようなイメージで捉えいている。今のセンター試験実施すら大学側は四苦八苦しているが、さらに複数回となると…。複数回という主張の強さは。
 
 
○高橋室長
 
・意見の分かれるところであった。社会に出てから一発勝負のこともたくさんあるから、その経験をさせた方がよいのではないか、という意見もあったが、最終的に一点刻みの一回テストで足切りの憂き目にあうのはいかがなものか、という意見が強かった感じ。
 
 
○近藤委員
 
・「幅広い教養」という文言の意味合いとしてどのような議論がされたか。大学では教養に力を入れつつあり、その中で専門性とのバランスを常に考慮しているわけだが。
 
 
○高橋室長
 
・「幅広い教養」=“文理問わない”という意味合いが強い。文系・理系という分け方ではないものへのイメージ。その教養をどう大学の教養課程に接続させるか、までの議論には至っていない。
・今、再生会議では、6・3・3・4制の議論に移っている。この議論の中で、カリキュラムの接続の話が出てくると思う。
 
 
○及川委員
 
・基礎レベルは幅広い学力、発展では大学教育に必要な能力、と捉えたが、この二つは重なっているのか重なっていないか。
 
 
○高橋室長
 
・基礎レベルが新たに導入する試験というイメージで、発展レベルはセンター試験をベースに考えており、2次試験との併用を想定している。ご指摘の部分ほどの細部まで文言(や境目)の検討はしていない。
 
 
○安西部会長
 
・一本線の教育から、できるだけ多様な子供達に対応して行きたいという趣旨と捉えた。
 
 
○田中室長(高等教育政策室長)
 
・達成度テストは、センター試験の改善という位置づけ。
・基礎レベルは高等学校教育部会で議論される。
・高校教育の質の向上と大学教育の向上、そのための接続(としての大学入試)はどんなものがよいか?が検討すべきことである。
・多面的、総合的に評価、判定する大学入学者選抜とは?という議論も必要。
・アドミッションポリシーの明確化を、学校教育法で義務付けた。
・国公立は小論文を八割近く取り入れておるが、ほとんどが後期試験という実情。
・多面的、という観点はAO入試で(測ることを)期待されている。その例として、東北大学工学部、SFC、九州大学21世紀プログラムがある。
・(アメリカの)SATは高校での学習状況を重視している
 
 
 

 
○濱名委員
 
・いくら新しいテストが理想的なものであっても、使いやすいものではないと(大学側は)移行しない。
 
 
・言語能力や数的思考力などの育成は先延ばしできない課題である。
・東北大学などの例をあげられているが、いずれも少人数だから実施が可能になっている。大人数では…。
・AO入試を否定しながら、AO入試に近づく提言になっていないだろうか。
・教育そのものを変えて行くのが先。
 
 
○浅田課長(高等教育企画課長)
 
・入試をどうするかに目が行きがちだが、高大接続の課題は入試選抜制度だけではない。
・入試そのものに着目すると、入試もペーパー試験だけではない。その例として新テストを提示した。
・(濱名委員の仰るように)より望ましい教育の形は何か、を考えるのが先。
 
 
○安西部会長
 
・「多面的、総合的に評価とはなんぞや?」を具体化するのが本部会の使命と捉えている。
 
 
○相川委員
 
・高大接続は、発展レベルの試験で、という認識。(大学を受験しない)すべての生徒も基礎レベルはできる、というのが前提だと捉えている。
・早ければ5年後に実施、という報道もあるが、制度が先の問題でもなく、カリキュラムが対応しているかも考えなければいけない。
・縦割りで決めて欲しくない、横の連携を希望する。
 
 
○浅田課長
 
・高等学校教育部会で議論もしている内容。横の連携も大事。場合によっては会議を一緒にやることも考えている。
・下村大臣から「このテーマは拙速はいけない、丁寧に。」と言われている。子供達含めて関係者にどう影響が出るかを十分考慮する。
 
 
○安西部会長
 
・大学入試選抜制度だけで議論してはいけない。
・高校教育、大学教育、高大接続、三位一体での変革が必要。
・高等学校教育部会の方で、来年三月までに何かすると聞いているが…。
 
 
○小林室長(教育制度改革室長)
 
・(安西部会長の最後の発言を受けて)目標がないといけないので、年度末までに出したい、ということ。4次提言の内容検討も含めて。
・ただ、非常に難しい提言で、年度内は難しいかもしれない。
 
 
○濱口委員
 
・濱名委員をなぞる意見だが、毎年55万人を超える入試制度の変更と、2、30人対象のAO入試を並列で参考にしても…。
 
 
○田中室長
 
・CBT方式で、言語能力などのコンピテンシーを見ることで、センター試験の不足を補えることも期待されている。
・ただし、CBT方式の場合は問題数が5万から10万のストックが必要。インフラの整備も含め、とても時間がかかる
・言語能力や数理能力を測る試験の研究開発を実施中。モニタリングもしている。濱名委員の大学でもご協力を戴いている。
 
 
○山本委員
 
・(感想ですが)各大学が個性的になればなるほど使えなくなる(達成度)テストと感じた。
・センター試験と入学後のGPA(成績評価値)との正の相関がなかった。
・(アメリカの)SATは、過去の大学入学者の行動を分析した上で、(SATという)選抜試験に生かし、正の相関ができるように持ち込んでいる。
・高大接続は、大学選抜ではなく、大学と生徒とのマッチングの問題。
 
 
○生重委員
 
・山本委員の仰るとおり。
・今の小学、中学の学びで本当に「理想的な子供」になるか、ここが大切で、入試制度が云々ではない。どんな人材像を望んでいるか、ここが最大の力点。
・少子化に伴ってどういう人材を望んでいるのかが大事だという情報発信をしていって欲しい。
 
 
○小林室長
 
・入試の問題ではなくどんな人材を求めているか、である。
・大学がしっかり明示するべきところもある。
・大学の経営上、学力がない人を合格させてしまっている、こうならないようにするにはどうしたらいいか、は、基礎レベルの運用と一体化して考えるところもある。
 
 
○吉田委員
 
・これまでの提言で、一次、二次の、いじめ問題や教育委員会改革の提言はスピードをもって対処することが大切。
・三次提言の大学改革は、提言を受け入れた大学がやればいい。
・四次提言にはセンシティブな問題もいろいろ含まれている(ので慎重に)。
・なんで今まででの入試ではいけないか、という実証がでているのだろうか。
・提言を受け入れなきゃいけない、ということはありませんよね?
・教育再生実行会議のことは全部やらなきゃいけないとは思わない。
・それとは別に、今の学校で預かっている子供達をどうするか、は、喫緊の問題。
 
 
○安西部会長
 
・中教審と実行会議は敵対するものではなく、両輪である。
・これからの時代の教育のあり方をスピード感を持って決めなければいけない。
・制度論そのものの話とはやや違う
・大学入試選抜だけをとりあげてはいけない
・みんなでいっしょにやりましょう!(多くの委員が頷く)
 
 
○勝委員
 
・(入試という)入り口が変わると高校教育が変わるから注目されている。
・大学教育が変わるには、企業との連携が大切
・多面的な評価、というが、面接やインターンシップの評価などによる入試はすでにやっている、しかし、それが55万人に適用できるのか?
・達成度テストで議論すべきは基礎レベル、これがどんなものか。
 
 
○高橋室長
 
・具体的なイメージはできていない
・規模については制度設計の問題。テストを2つ受けるかそうではないか、や、浪人生はどうするか、など。
 
 
○濱名委員
 
・センター試験は導入時、3年前予告に予告し、問題作成に2年間かけている。
・コンピテンシーが高い人材を企業が求めている。
・先延ばしになっているコンピテンシー型テストの開発を急ぐ方がよいのでは。
 
 
○垂水委員
 
・高校の内申書がどれだけ使えるか、信用できるか。
・内申書を信用できるレベルにあげていただければ、大学側も問題はないわけだが…。
・国際バカロレアは信頼できるから岡山大学で使った。
・何よりも内申書を信頼できるものに。
 
 
○浦野委員
 
・大学教育でのアウトカムを今まで重視してこなかった。
・企業は「その会社で何をしたいのか」求めている、これは昔から変わらない。であれば、大学でも、「その大学で何をしたいのか」を問うところは必要。是非各大学でやってほしい。
 
 
○及川委員
 
・基礎レベルはできるだけ多くの人が受験してほしい。加えて、推薦・AO入試でどれくらい(結果を)使ってもらえるかがカギである。だから、参加する大学が活用しやすいものにしたい。
 
 
○安西部会長(まとめ)
 
・生徒たち、子供たちが生き生きとした人生を送るにはどうあるべきか、から考えるのが一番大事。
 
 
以上でご紹介を終えたいと思います。
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2013.11.14 23:50

政府主導の政策会議である、「教育再生実行会議」が、先の10月31日、第四次提言として「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」をまとめました。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/pdf/dai4_1.pdf
この提言を踏まえ、検討課題を議論する場として、11月8日に中央教育審議会(中教審)の高大接続特別部会(第八回)が開催され、筆者は傍聴してきました。
※配布資料はこちら
 
再生会議と中教審の関係を短く述べれば、再生会議の政策論から見た提言を受け、現在の教育をしっかり把握している中教審の委員が制度設計について議論する、という構造です。
 
報道のカメラは7台、そして傍聴者数は140名。中教審の部会としては異例とも言える注目度でした。
これは、事前に、報道で
 
「大学入試センター試験は5年後を目処に廃止か!?」
「人物本位の試験になる!?」
「えっ、2次試験廃止だって!?」
 
などと受け止められるリリースが次々と出され、大学入試は多くの人にとって「過去に経験した身近感のある話題」であることが拍車をかけ、社会の中で「大学入試が変わる!」という温度感が醸成されていた影響でしょう。
※本ブログ「2次試験廃止!?大学入試で問う力とは」でも取り上げた話題ですので、よろしければご参照ください。
 
 
様々な報道がなされ、そして、その報道内容の「一部」に対し、賛否の意見がインターネット上ではたくさん、ほんとうにたくさん見受けらました。
素人感覚で、感想を述べる、くらいであれば「なるほどねーそんな感想もつんだねー」と受け止めるのですが、“(教育畑の人間からすると)よくありがちな”諸外国の例を持ち出し批判的に述べたり、自分の教育観に基づき偏った、かつ声高な主張には、「多分それらのことは、中教審の委員はよく弁えてますよ」とか「一次情報を見に行っているのかなあ。。。メディアの情報を勝手に解釈していないかなあ。。。」などと感じるものも少なくありませんでした。
 
 
そこで…
提言そのものは上記 pdf の通りですが、実際にポイントとなる制度設計はどんな温度感で進んで行くのか。中教審の皆さんはどれだけ「いま」の教育をしっかり見つめて考えてくれているのか。
 
これらを自分の目で、耳で、肌感覚で確かめるために、僕は傍聴に伺いました(誰でも参加できます)。
果たして、中教審の部会の皆さんは、しっかり、そして誰よりも、教育や入試の現状を把握し、向き合って考えており、素晴らしいと思いました。
 
一例を挙げます。
報道の影響で、「学力を問う試験から人物本位の試験へ」というイメージが脳内にこびりついてしまった方の中で、「今の推薦やAO入試でも面接などのみでの選抜が行われている!しかもそれは、学力がほとんど身についていない高校生を大学に合格させるための仕組みとして使われてしまったじゃないか!」という意見を、ネットでは相当数拝見しました。
…大丈夫です、餅は餅屋で、部会の皆さんは十分そのことを弁えており、かつ、弁えた上で、(大学入試全体を俯瞰した)問題の発見や代替案の提示を行おうとしていました。
当然といえば当然なんですが、これを当然とせず、普通の方より少しだけ(入試の)知識がある、声の大きい主張屋さん(苦笑)が、メディアを流れる情報の空気をつくる場合がありますので、受け手は注意しなきゃ、なんですよね。
世間の空気が、本格的な議論を妨げる場合も得てしてありますので。。。
 
 
では、2時間に渡って開催された、今回の高大接続特別部会(第八回)。どんなことが語られたのでしょうか?
僕の解釈も入り恐縮ですが、ポイントを絞って7点にまとめてみました。
 
 
1.「これからの日本社会にどんな人材を育成することが必要か」を最上位において議論をしている。
 
いわゆる育成ビジョンですね。
メディアの過熱報道の話題になったり、話が横道にそれそうになったりするたびに、安西部会長が本点を強く主張されました。
 
大学入試をどうするか、それは学力評価か人物評価か、云々よりも前に、育成すべき人材像を明確に描かないといけない、と。ごもっとも、です。
 
大学入試をこうすべき!という論をネットその他で見る際には、その論を「育成すべき人材像が明確か?」という視点で見てみると、筋が通った論かそうではないかが分かる気がします。
 
 
2.1のために、高校教育、そして大学教育はどうあるべきか、が次。そして、そのためには、高大接続部である「大学入試」をどうするか、という順序で考えるべき。
 
1、2の論を安西部会長が語られた時、心から「仰る通り!」と思いました。
第四次提言では、大学入試制度の変革にかなりのスポットライトが当たっていますが、そもそもそれも、「大学が育成すべき人材」を適切に選抜することが、現在の入試制度では難しい、という、大学教育を基点にした考え方ですよね。
もちろん、大学教育につなげるための、適切な高校教育も必要で。
 
山本繁委員は、高大接続の問題を、「マッチング」の問題、という例えを使われました。
多様な時代なので、多様な大学教育に、多様な高校教育が必要で、多様性に対応するための大学入試制度の在り方は、まさに「マッチング」を問われます。
 
 
3.1、2の順序ではあるものの、「大学入試」の変革はインパクトが大きいのも確か。
 
1→2の順序で考えることは大切なのですが、1→2の順序で考えると様々な障壁もあり、なかなか検討が進まないこともイメージできますよね。
「大学入試」の変革は、ある意味外科的手法。ここを変えれば、大学教育も高校教育も変わらざるを得ない状況に追い込まれます。
 
 
4.(他の提言とは異なり)本件は拙速はダメ。教育上のカリキュラムの問題を軽視してはいけない。
 
安西部会長が「下村大臣からも、本件は拙速にしてはいけない、と指示を受けている」と仰ったのが印象的でした。
 
教育再生実行会議の第一次提言は「いじめ」の問題であり、これはすぐにでも良くなる処方箋を提示する方がベターでしょう。実行第一のものです。
しかし大学入試の場合、制度を変えても高校教育はカリキュラムを変えない…とはいきません。
ちゃんと高校時代に、「学び」にどん欲だったら、多くの大学教育への道が開ける、でなければいけませんからね。
 
…となると、大学入試制度単独で考えるのではなく、学習指導要領の改訂と同時並行で、慎重に進めなければいけない点が大きいのも確かです。
 
ただし、拙速の反対は巧遅です。功遅を選択しているだけの話で、「どーせ今までとそんなに変わらないものが出てくるでしょ」と、タカをくくっていたら、驚く制度が出来上がると思います。
それだけ今回の中教審の皆さんは本気。拙く速い、ではなく、巧みを磨き極めるために「慎重」を選択しているわけですからね。
 
 
5.制度設計はこれから。
 
政策レベルで、大上段に構えた提言はされましたが、細かな制度設計はまだほとんど決まっていないようでした。
大学には経営問題もあります。理想を語っても、現実には不可能な制度になってはいけません。
 
また、制度といえば、世間の耳目は「達成度テスト」に集まっているようです。
「達成度テスト」を簡単にまとめた資料はこちらですが、その中でも
 
・「基礎レベル」と「発展レベル」の2つのレベルを用意する。
・複数回受験機会を与える。
・試験結果は1点刻みではなく、ある程度の枠で括った段階別に評価する(たとえば1~10の10段階評価、など)
 
が(一般の皆さんは)気になるところのようです。
こちらについての議論は今回ほとんどありませんでしたが(これが「制度設計はこれから」というイメージを持った所以です)、情報が余り届いていないところを補足すると
 
・「基礎レベル」は(中教審の)「高校教育部会」で、「発展レベル」は「高大接続特別部会」で議論すること、とされている。
・「発展レベル」は、今のセンター試験に置き換わるようなイメージ(委員の発言より僕が解釈すると)。「基礎レベル」が、これまでにない全く新しい試験、というイメージ。
・「複数回受験」と理想を提示されたのみで、現実問題は様々な問題をクリアーしなければいけないですし、その問題は他の問題と比較しても大きなものである(委員もそう受け止めているようです)。
 
という感じです。
 
 
6.安西部会長が、教育再生実行会議にも出席し説明している。
 
これが、これまでの第三次提言までと異なる進め方のようです。
つまりは、再生会議と中教審の同期がとれている、ということです。
中教審で制度設計が案として出されたら、政策的にも実現可能性が高くなる、ということになりますね。
 
 
7.「能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定する大学入試選抜制度への転換」という視点
 
「 」内は、第四次提言中に出てくる文言です。
これを報道では「人物本位」と表現しているようですが、提言の中にはどこにも「人物本位」と言う言葉はないんですよね。ここは情報に流されてはいけないところです。
 
では、この文言の意味するところは何か。
恐らくは、従来型学力に加え、今回の部会で濱名篤委員が主張していた、「コンピテンシー」を測る試験の導入などを意味するものだと思います。
 
より具体的には、言語運用能力、数理論理力・分析力、問題解決能力を測るための試験、ということであり、これはすでに、実証実験が進められている最中だそうです(文科省の参加者が話されていました)。ただ、形にするまでにかなり時間がかかるものである、と。。
 
いずれにせよ、上記の文言を「人物本位」という言葉に置き換え、さらに「面接」や「ボランティア活動の重視」と過剰に解釈してはいけないわけです。
 
以上、部会で話題に上ったポイントを7点、できるだけわかりやすく示しました。
後編では、委員の発言の内容を紹介したいと思います。
 
 
※高大接続特別部会の委員は名簿の通りで、今回出席されていた委員は、安西部会長の他、相川、生重、浦野、及川、勝、小林、近藤、垂水、濱口、濱名、山本、吉田の計13名の委員でした。後編の議事録について、発言者の氏名・名簿は、名簿を参照して頂ければ幸いです。
 
 
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寺西隆行
ICT CONNECT 21 の寺西隆行です。小松高校→東大理一→工学部環境系→教育の道へ。教育とマーケティングをずっと見つめながら過ごすことが喜びです。
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