少し前に出たこの記事。
高収入になる割合が高いのは? 文系は"入試で数学受験"、理系は"物理が得意"
見出しを見て
「そうかーやっぱり高収入を得るには、数学が得意じゃなきゃいけないんだな…」
と脊髄反射で思う方もいらっしゃるでしょうが…
そう言いきれるわけではないのです。
ここで明らかになっているのは、入試で数学受験した文系の人、物理が得意だった理系の人が高年収になっている、という「相関関係」であって、数学や物理の能力が高収入につながるという「因果関係」を解明したものではないです。
※だからといって、数学や物理をないがしろにしていい、というわけでもないのは、もちろんのことです。
相関は、お互いの間に関係性が認められていること。
その中で、お互いのどちらかが原因となり、結果を生んでいるのが、因果関係。
この例で言うならば、文系で数学受験している学生の方が、難問にうーんと悩みながらそれでも前に進む耐性を身につけている、だから高収入を得られる、のかもしれないわけです。
数学が嫌で文系を選び、さらには数学受験のないところを選ぶ文系の人は決して少なくないので、目の前の関門から逃げているだけの人が、文系で数学受験していない方に多いことは容易に想像がつき、その資質が将来の収入に影響を及ぼしている、と考える方が、僕なんかは自然だと思います。
因果関係と相関関係を混同すると、物事を正しく解釈できませんし、意見を表明する時の根拠としても間違うことになってしまいます。
気をつけましょうね。
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2012.04.28 23:50
- カテゴリ :ものの見方・考え方