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2012.04.08 23:32

(3)の続きです。

(2)および(3)で掲げた2つのポイントをまとめると…
センター試験当日まで懸命に勉強してきた学生の気持ちに報いるためには、施行者側は徹底的に、「センター試験を実施する」ことにおける

・仕組み(構造)
・仕掛け(機能)
・仕切り(管理)


の3つの側面を考えなければいけない、ともいえますし、さらに短くまとめると

「相手の立場に立って知恵を使い続けること」

が大切、とも言えます。

実はこの2つ、マーケターであり、リサーチャーでもある松尾順氏がブログ上で語っている言葉なんです。

マーケティングとは何か?
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200707/2007-07-19T0544.html

つまりは、受験生を「顧客」とみなし、「顧客」のためにマーケティングせよ!ということです。


決して受験生に「迎合」せよ、というわけではありません。
受験生に「伝わる」ためには、一連のフローの中で、どう「伝える」行いを為していくべきか、徹底的に想像を働かせ、そしてフローを構築していくことが大切、ということです。


今回はセンター試験のトラブルを題材に取り上げましたが、教育の世界全体に同じこと、つまり、「教育を為す上で、マーケティング視点を重視する、マーケティング能力を涵養する」ことは、とっても必要なことだと思っています。
教育に携わる者は、「伝えたがり」「話したがり」が多いので、とにかく言葉が一方通行。
しかしこれでは、相手に「伝わる」言語にはなっていません。

成果をあげることに着目すれば、自ずと「教育にもマーケティング脳が必要!」
…そう、思いませんか?
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2012.04.07 23:20

(2)の続きです。

2.大学入試センター、大学側は、業務担当者の「想像力」を涵養!

(2)で挙げた、(「作業」ではなく)「業務」を遂行するには

想像力

が欠かせません。

たとえば、「監督要領をつくるだけではなく、監督要領を通じてトラブルを防ぐのが、「作業」ではなく「業務」なんだ」という認識があっても、監督要領を読んで動く人、つまり「監督者」の行動を想像できなければ、トラブルは防げません。
ひたすらに監督者のことを思い、1000ページある監督要領を作り上げても、監督者は全部よめっこないいうことですね(極論ですし、さすがにそんなことはしないと思いますが…苦笑)。

大学入試センター側の制度変更、および業務指示によって、大学側はどう受け止め、どう行動するか。
大学側の業務指示によって、監督者はどう行動するか。
大学入試センター側も、大学側も、相手の立場に立って「想像」する必要があります。

このとき、「大学側はこう動くはずだ」という「~のはず」的思考は徹底的に排除して考えなければいけません。それがリスクマネジメントにおける想像力というものです。
様々なケースを考えた上で、「トラブルの可能性」×「トラブルの重大度」の値が大きくなるトラブルが起きないよう、優先順位をつけ、相手に「伝わる」ように伝えていく手法が、マネジメント。

今回起きたトラブルで、(誰かのせい、というのではなく、結果だけみると)誰かの「想像力不足」と捉えられる事象は、地歴公民、および理科の2科目受験者、130分の中間時間の10分の間にはトイレ休憩を一切認めない、ということの徹底不足です。
このような試験時間になれば、トイレに行きたい、という人は当然出るでしょうし、トイレに行った時の2科目目のカンニングのリスクが発生するのは、試験施行側としては想像しなければいけないことでしょう。
試験制度をより熟知している大学入試センター側、および大学側は、トラブルの結果、今回の報告書で“「地理歴史、公民」及び「理科」2科目受験者試験室中間時間の 10 分間は、「トイレ等の一時退室は、原則認めない」ことについての周知徹底を受験者側及び監督者側の両者に行う必要がある。”ということに言及されるまでもなく、本制度になった時点で想像力を働かせなければいけなかった事象だと思います(もちろん、「周知徹底する」ためにはどうしたらいいか?という手法論も含めて)。


蛇足ですが、検証報告書で出された対策も、トラブルを無くすための「想像力」に欠いているような気がします。

メディアの見出しになった「地歴公民の冊子合冊化」という対策法ですが…この対策法を見たとき、僕は、「最初からそうしたかったのに、そうしなかった理由がどこかにあるのでは?」と感じました。
今回の試験時間の配置では、どう考えても合冊にした方が試験時間中の運用はラクですし、トラブルも起きにくい。実際、報告書の中でも、「平成24 年度の「地理歴史、公民」の試験時間帯においては、問題冊子を合冊とすることも検討されたが、問題冊子の取り扱い易さ、技術面や経費面等を考慮し、各教科別の分冊形態が優先され、「地理歴史」と「公民」の問題冊子は各1冊となった。」という記述がありますので、分冊にした合理的理由があるわけですよね(恐らくは、合冊にすると、「中綴じ」形態の冊子で提供するには不可能に近いボリュームになり、経費が増えてしまうから、という、「仕方なし」の選択だったと踏んでいますが)。

そんな状況の中、「合冊にする」という対策法を打ち出し、「合冊化の際には、新たに生じると思われる問題への対処についても、事前に検討策が講じられる必要がある。」と提言するだけでは、先に進まないのではないでしょうか。
「なぜ分冊にしたか」の理由を追求したうえで、代替案を示す。それが対策、ですよね。


他、「監督要領の改善」として、「平成 24 年度の監督要領は、前年度に比べて、指示内容等の分量が増えており、時間繰下げが多発した理由の一つはそこにある。」なんてまとめられても…トラブルにあった受験生は納得しないのではないでしょうかね…。
僕が受験生なら、「なんでそんなこと、最初からわからなかったんだ!」と言いかねないです…。


「想像力」をはたらかし、トラブルの本質に迫った反省をしなければ、次につながらないのではないでしょうか。


(4)に続きます。
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2012.04.05 23:50

(1)の続きです。

2012年度センター試験トラブルの検証が行われた形になりますが…
今後に向けて「反省し、次につなげる」には、下記の2つのポイントを欠いてはいけない、と感じました。

1.目的意識を強く!~「作業」ではなく「業務」をするように。

大学入試センター側は、「センター試験」全体を通じて、公平に試験を実施し、トラブルなく終えること。
大学側は、「大学会場」全体を通じて、公平に試験を実施し、トラブルなく終えること。
試験監督者は、「試験会場」において、公平に試験を実施し、トラブルなく終えること。
言うまでもないですが、それがそれぞれの立場における目的です。

各者、その目的を強く認識し、自分にできることはなんだろうか? という「当事者意識」と「責任感」を持って臨んだ上、それが業務フローと言うアウトプットに表れていたかどうか、を調べるのが、本質的な検証です。
その本質をつかむには、それぞれの立場で行われていたことが「作業」ではなく「業務」になっていることを検証しなければいけないと思うのです。

大学入試センターは、試験実施要綱を定め、試験を作成し、問題を各大学に配布し…という「作業」だけではなく、各作業を通じ、大学側が試験当日、しっかり試験を遂行できる体制を整え、間接的に作業を統制する「マネジメント」をしなければいけません。
大学は、監督者を選び、監督者に説明し、当日の試験会場を提供し…という「作業」だけではなく、各作業を通じ、監督者が試験当日、しっかり試験を遂行できる体制を整え、間接的に作業を統制する「マネジメント」をしなければいけません。
(監督者の役割は、ここで改めて述べるまでもないことかと)

最もトラブルが発生した地歴・公民。
「地歴・公民の試験実施要綱が今年から変わったこと」という事実は、試験運用側のみならず、受験者も含めた全員が知り得たことですよね。
「業務」を遂行する、という意識で動けば、このような「変化している」点には注意しなければいけない、というアタマで動くはずなのですが、「作業」をしている、という意識であれば、そのアタマは働きません。
加えて、監督者以外の2者は、「マネジメント」を通じ、間接的に監督者を統制する「業務」があるのですが、その業務意識がないとしたら…

変化点でトラブルは起きますよね。


たとえば試験の監督要領。
複数の大学の関係者からいろいろ伺っている話や、このようなツイートがあることを鑑みると、とても分厚い冊子のようです。
“監督要領というアウトプットで出来るマネジメント”とは、要領の中で重要度の優先順位をしっかり決め、「見落とされがちで、かつ、見落とされると、重大なトラブルになるところ」を強調することですよね(言うまでもないことですが)。
そして、大学入試センター側から大学側に、そのポイントは試験監督者に確実に伝えるよう要請しておくこと。「要請」の方法も、「命令口調」だけではなく、伝え方・見せ方やタイミングをはかって、大学側が「あ、そのポイントを監督者に伝えないと、大変なトラブルになるな…」というリスクを認識するようなやり方を複合的に用いる、それが「マネジメント」です。
しかし…

「「地理歴史、公民」の問題冊子配付ミスの再発防止」に向け、良い対策案として大学側が掲げたものが、「監督要領の記述内容の見直し」でした(63%)。「入試担当者連絡協議会や監督者説明会において周知徹底を図る」の56%を上回っています。

また検証報告書、「トラブルの再発防止に向けて」の項に「監督要領の改善」という提言があります。
全文引用します。

==========
平成 24 年度の監督要領は、前年度に比べて、指示内容等の分量が増えており、時間繰下げが多発した理由の一つはそこにある。また「地理歴史、公民」及び「理科」については、受験方法、実施方法の変更にともなって新しい用語、表記が増えており、一部の監督者はそれらを十分に理解しないまま、監督業務にあたったことも否定できない。問題冊子の配付時に参照する問題冊子等配付確認表も、その表記が必ずしも適切でなかったとの指摘もある。このため、当日の説明に要する時間を短縮する観点から、監督要領のスリム化を行うとともに、表現は経験のない監督者にも理解できるような平易で明確な記述にすることが求められる。また、監督者の理解を助けるとともに、監督要領への記載内容の精選に資するよう、例えば、監督者向けの簡明なリーフレット及び説明DVD の作成、問題冊子表紙への注意事項の記載(チェックリスト付)、情報のWeb 配信等の工夫も検討されるべきである。
==========

これらを見る限り、監督要領を通じマネジメントをしようとする「業務」が行われていたとは言い難く、監督要領をつくる、という「作業」になっていた可能性が高いと感じますね。。。

とはいえ、検証報告書には「配付ミスがあった実施大学では、監督者説明会への教員の参加意識は「熱心さ」の点で配付ミスがなかった実施大学よりも明らかに低く」とありますから、監督要領だけの問題ではないんですよね。
「理解しない監督者が悪い」「いや、監督要領が複雑すぎる」という二元論ではなく、それぞれの立場で目的意識を持ち、それぞれの(「作業」ではなく)「業務」をキッチリと遂行することが何よりも大切、というだけなんですよね。


(3)に続きます。
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2012.04.04 01:05

例年以上にセンター試験でトラブルがあったことを受け、「平成24年度大学入試センター試験の実施に関する検証委員会」が立ちあがり、3日、「平成24年度大学入試センター試験の実施に関する検証報告書」が公表されました。
報告書はかなり分量がありますので、多くの人はメディアの記事を読んで推測するわけですが、大手新聞社の記事やタイトルは次のような感じでした。

・センター試験「冊子は1冊に」 問題配布漏れで検証委(朝日新聞)
http://www.dnc.ac.jp/modules/news/content0489.html

・センター試験、やる気のない大学・教員がミス(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120403-OYT1T00371.htm

・監督マニュアルやさしく 混乱防止、問題は合冊 センター試験検証委(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120403/edc12040313200001-n1.htm

…これらの見出しになんとも言えない違和感を感じましたので、こういうときは一次情報。
平成24年度大学入試センター試験の実施に関する検証報告書」を全部見てみることにしました。
僕が要約すると、次のような感じになります。
※番号は、検証報告書の章に対応しています。


1.検証の目的

「本検証委員会は、これらの再発防止を念頭に置き、受験者が信頼して受験できる大学入試センター試験の実施をめざし、今回のトラブルの検証を行う。」とのこと。


2.検証の方法

関係資料の整理とアンケート調査による。


3.平成24 年度大学入試センター試験の変更点とトラブル

「受験方法の変更」は、地歴・公民と理科が、「130分という時間内に2科目選択する」という形に変わったことと、(地歴・公民と理科の)受験科目を事前に登録する制度に変わったこと。
「受験方法の変更」は、地歴・公民と理科が1科目受験者と2科目受験者の教室を分けざるを得なかったことと、地歴・公民の問題冊子を分冊にしたこと。
あとは、「1回の時間内に2科目解く」形式にしたため、中間時間帯(10分)を置いたことや時間割の変更と、震災の影響による臨時措置。
「トラブル」は、地歴・公民の問題冊子の配布ミス、試験時間の繰り下げが主。


4.検証(1):平成24 年度大学入試センター試験の実施にともなうトラブル

地歴・公民の問題冊子の配布ミスを、受験場の環境の違いに起因していないか調べたところ、「国立大学の場合は、各実施大学がその傘下に多くの試験室を抱えているため、実施大学数に比較して試験室数が多く、私立大学は実施大学数に比較して試験室数が少ない。」ため、国立大学で試験官を務める人数の平均(250名程度)は、私立大学のそれ(70名台)より多く、「国立大学では試験室数も多く、監督者数の規模が大きいため、監督要領の周知徹底等において困難があった」とされている。

また、同一試験会場の中で「地歴1・公民1」のみの選択者で集められた会場の方が、この選択者と「地歴2」などの選択者とあわさった会場よりもミス率が高くなる傾向が表れていた。そして、「配付ミスと監督者のセンター試験業務に対する意識」とし、「(試験会場である大学全体の)監督者総数が大きいほど配付ミスが生じる」ことをデータから分析した次に、アンケート調査より「配付ミスがあった実施大学では、監督者説明会への教員の参加意識は「熱心さ」の点で配付ミスがなかった実施大学よりも明らかに低く、また「センター試験の実施業務が大学入試センターとの共同実施である」という認識も、配付ミスがあった実施大学の教員は配付ミスがなかった実施大学に比べて低かった。」としている。

試験時間の繰り下げについては、「受験者の入室終了から試験開始までの監督業務として、従来の注意事項等の指示内容に「不正行為の取り扱い」が加わり、説明すべき事項が従来よりも増加している。さらに、「地理歴史、公民」2科目受験者試験室では、試験の進行方法についての指示が加わり、問題冊子の配付の複雑化も影響し、時間繰下げが多数発生したものと考えられる。」としている。


5.検証(2):平成24 年度大学入試センター試験のリスクマネジメント

リスクマネジメント、というよりも、センター試験の「事前準備」「本試験当日」「事後対応」について「実際に行っていること」(監督者説明会の実施、など)が書かれている。


6.トラブルの再発防止に向けて

次の順番であげられている。

6-1 問題冊子の形態=地歴・公民の分冊化→合冊化を提案
6-2 試験時間を繰り下げるほどの分量にならないよう、監督要領を改善
6-3 業務連絡システムの改善(大学入試センター~実施大学~監督者の間)
6-4 地歴・公民および理科の中間時間の対処
6-5 試験時間割の検討
6-6 (試験制度に)新たな変更を加えた場合のチェック


以上が要約です。

(2)に続く。
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寺西隆行
ICT CONNECT 21 の寺西隆行です。小松高校→東大理一→工学部環境系→教育の道へ。教育とマーケティングをずっと見つめながら過ごすことが喜びです。
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