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2011.05.17 23:40

(2)の続きです。

3.科学的確率統計の考え(VSゼロリスク)について
岡山大学大学院環境研究科 津田敏秀氏


・我々は常に、さまざまなものに晒されて(曝露して)いる。
物理的曝露…放射線、高温・低温、騒音など→熱射病などの被害
化学的曝露…多種多様な化学物質→大気汚染、アスベストによる被害など
生物学的曝露…感染症、細菌やウィルスによる食中毒症など→O157などの被害

・曝露対策は3つ ※主に作業員想定
1.発生源対策…曝露を発生させないようにする(←ベスト!)
例)切削油をかけて騒音曝露を低くする
2.発生源を覆う…曝露ができるだけ漏れないようにする
例)機械を覆って騒音曝露
3.作業者に保護具をつけてもらう
例)耳栓

・今回の原発で上記をあてはめると…
1.失敗→レベル7に
2.現在望み薄
3.これも望み薄

・曝露には外部被爆と内部被爆がある。

・因果関係は1対1ではない
→一つの原因がたくさん病気(結果)を生じさせる。たくさんの原因から一つの結果が生じる。
原因と結果は目に見えるが、因果関係は目に見えない。この因果関係を示すのが「因果モデル」。

・実際の科学の営みは、個別事象の観察→一般化→理論や一般法則→これを踏まえて再観察→一般化…の繰り返し。観察は「実在世界」であり、理論は「言語世界」。そして「因果関係」は「言語世界」(=個別の実在事象に100%あてはめて考えることはできない)。実在と言語世界を区別して考えるべき。

・放射能における発ガンリスクは、発症者/(発症者+非発症者)で計算される。そして
a=被爆者リスク=被爆発症者/(被爆発症者+被爆非発症者)
b=非被爆者リスク=非被爆発症者/(非被爆発症者+非被爆非発症者)
とすると、リスク差(リスク増加分)はa-b

・ある一定の被曝以上で相当数の標本数があつまり、そこからリスクを計算するが、このリスクは「直線的に増加する」のを前提として考えられている。しかし、「~以下なら安全」という「~以下」の目安となる数値は、(安全=(これまでの)標本数がほとんどない、ことを意味するから)推測するしかない。「絶対的にこれが正しい」という目安はないが、目安がないと(人は)行動できない、というジレンマ。

・自然放射線でもわずかに発症している(はず)…しかし私たちは(どういうわけか)それは心配していない。

・目安の提示は「~シーベルト以上だと、発ガン率が~倍になる」という方法が一般的なもののひとつ。では、「~倍になる」という「~倍」がどのような数値だと人は〝不安になるのに相当で遠ざけようと試みる”か?…この数値は実際、人によってバラバラ。つまり、基準は究極的には自分でしか作れない。そして、その基準さえわかれば、対処法が提示できる(※が、実際には基準を自ら決められる人もほとんどいない)。

・「~以下なら絶対安全」というものはありえない。「放射線を浴びないにこしたことはない」としか、科学的には言えない。

・様々な事柄からトータルで(津田先生が)考えるに
■福島県に旅行やボランティアでいくのはまず大丈夫。
■福島の人が東京に来ても100%大丈夫(うつるわけではない)
■放射線を浴びると増えるリスクは「ガンが発生する」こと。一方で、ガン発生リスクは放射能のほか、自然界には他にもある(大気汚染など)。だから大丈夫、というわけではないが、これまでいろいろ発がんリスクとともに歩んできたことを振り返り、「放射線」という言葉に過剰に反応しない。
■福島県内ですら、予防可能な最大の脅威はいまだタバコだと思える。

・リスクに向き合うには、「事実をしっかり見つめて」「がっつり論理的に考え」「どっしりと構える」しかない。
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寺西隆行
ICT CONNECT 21 の寺西隆行です。小松高校→東大理一→工学部環境系→教育の道へ。教育とマーケティングをずっと見つめながら過ごすことが喜びです。
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