11日(土)、『学び合い』埼玉の会に伺ってきました。
『
学び合い』提唱者の
西川純先生のお話を初めて伺うことができ、とても貴重で、かつ、有意義な時間を過ごさせていただきました。
簡単に申し上げれば、学習者同士で教え合いながら学習を進めていく勉強法の「(包括した)考え方」が、『学び合い』です。Z会小学生コースの責任者の1人として、『学び合い』は大変興味深い学習法と感じています。
小学校の先生を中心に、多くの先生が『学び合い』を語り、実践されています。
インターネット上の様々な記事、および「
『学び合い』Wiki」から、『学び合い』の良さはいろいろ感じ取れるとは思いますが…
先生、という立場ではない僕が感じた、『学び合い』の良さや本質を語ることも、皆様の参考になれば、と思い、記事にさせていただきます。
今回の『学び合い』の講演で報告されていた…
『学び合い』の結果として得られる、子どもたちの伸長は、次のようなことがあります。
1.表現力が身につく「自分がわかっていること」と「わかっていることを相手に伝えること」は別。わかりますよね。
しかし実際に、多くの保護者の皆さんは、「わが子を(勉強が)わかるようにすること」に偏って注力します。
入試においても、実社会においても、自身の脳内思考を「相手に伝わってナンボ」の世界、なのにも関わらず…。
『学び合い』では、他者に自身の方法論を開示し、良くない点を指摘されます。答えだけではなく、その過程において。
Z会の通信教育を早いうちに経験し、表現力が格段に身についたお子さんをたくさん見てきていますので、この行為の有効性は肌でわかります。
かつ、「教える」という行為において、「相手に伝えようとする」ということを繰り返すわけですから、より表現力がみにつくわけですよね。
2.自主性が身につくこれもZ会の通信教育と同じなんですが(笑)自主性が身につきます。
Z会の場合は、自宅学習の習慣化により自主性がおのずと身につくプログラムを狙っているのですが、『学び合い』は
「すぐ質問できる、信頼できる人が近くにいるということ」が大きいです。
この環境が、課題解決力がつくことを誘引します。
…と、この説明を当日伺って、?に思ったので、講演された先生に質問しました。「安易に質問するような子どもが育ちませんか?」と。。。
回答:「安易に質問する子も当然でてきますが、子どもって面白いもんで、“自分で少し調べてから質問しなよ”とちゃんと言ってくれる子どもも必ず出てくる」とのことでした。
もし、出てこなくても、先生がしっかり、そういう子どもが出るように誘導すればいいんですよね。
3.社会性が身につく小学生までの教育において、地域コミュニティがほぼ皆無になった今のご時世、一番大切な力だと思っています。『学び合い』ではこれが身につきます。
いろいろな人とコミュニケーションすること。
様々な解法に触れること。
質問は「(その教科が)得意な人に聞けばいい」と思いがちなところ、実は苦手な人が教え方がうまい現実もあること。
それらの経験が、「異質に触れる」ことの大切さを身にしみてわかるようにさせてくれます。
そして、異質に飛び込んでいく「かかわる力」も間違いなく身につきますよね。
同質だけで群れるのは短期的にはラクですが、長期的には、社会の中で生きるのにしんどい自分になるわけですから、『学び合い』で身につくこの力、とてもありがたい話です。
4.自己肯定感が身につく「教える」行為を通じて、自信がつく。自分もやればできるんだと思う。
これって小学生の成長過程ではとても大事だとは思いませんか?
とくに、諸外国と比べて、自己肯定感が乏しいとされる日本においては、なおさら…
5.学力が伸びる!そしてまとめて…
今、『学び合い』を実践している学校(クラス)のテストの平均点は押し並べて高いようです。
また、1~4は、その時々における知識(=暗記して身につくもの)ではなく、その人自身の本質的な能力につながるものですから、長期にわたって通用する学力と言えるでしょう。
以上5点ばかり、『学び合い』の「結果として得られるもの」をあげてみました。
でも、これらはあくまでも「結果」。
『学び合い』の考え方の本質を自分なりに見極めると…
後編に続きます。