高等学校は、2012年4月の高1生より、(数学と)理科において、新課程が導入されます。
中高一貫校において、教科書販売が早いところでは、使用教科書のリストなどが生徒の手元に届けられているようで、昨日あたりから
○物理基礎と生物基礎?何これ??理科総合ってどこに???
などのツイートが散見されるようになりました。
本ブログでも、「
新高1、物理基礎・化学基礎・生物基礎の勉強ってどう進めればいいの?」などの記事を初めとし、理科基礎(物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の総称)の情報を小出しにし、参考書兼問題集として「
理科基礎5days」をご紹介してきましたが、より全体像が分かりやすい記事として、改めてまとめてみました。
0.はじめに
「新課程で変わること」をひっくるめて表現すると、間違った捉え方をされてしまう場合があります。
例えば「3科目必修」を「“入試”で3科目必修」と間違えてしまうように…
そこで、本記事では、
・学習指導要領上ではどう変わったか
・大学入試(とくにセンター試験)の科目はどうなるか
・実際の授業はどうなるか
の3つに分けてご説明します。
1.学習指導要領上ではどう変わったかこれまでは2単位の「理科基礎」「理科総合A」「理科総合B」、3単位の「物理I」「物理II」「化学I」「化学II」「生物I」「生物II」「地学I」「地学II」という科目があったんですが、新課程は
A.2単位の「科学と人間生活」「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」
B.4単位の「物理」「化学」「生物」「地学」からなります。
そして、A群から「科学と人間生活」の履修をした場合、他A・B群にあるどれかから1科目の必修。
A群から「科学と人間生活」の履修をしない場合、A群から3科目が必修となります。
2.大学入試(とくにセンター試験)の科目はどうなるか「科学と人間生活」は、センター試験の出題科目には含まれません。「科学と人間生活」を履修する高校もあるかと思いますので、ここはしっかりつかんでおいてください。
センター試験では、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」「物理」「化学」「生物」「地学」の出題があります(=問題として用意されます)。
「基礎」が付いていない科目では、いわゆる「理系」的な“難しい”学習内容も含みます。
また、「出題がある」ということと、「その科目で志望大学を受験できる」ということは別です。たとえば、2015年、東大の理系学部を受験したい!と思ったとき、「よし!センター試験は物理基礎で受験しよう!」…ということはできません。つまり、大学側が、「これで受験してね」という科目を指定しているのです。
<東大>
文系学部は「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目選択
理系学部は「物理」、「化学」、「生物」、「地学」から2科目選択
<京大>
文系学部は「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目選択
経済(理系型)は「物理」、「化学」、「生物」、「地学」から1科目選択
医学部は「物理」、「化学」、「生物」から2科目選択
工学部は「物理」必須、「化学」、「生物」から1科目選択
他理系学部は「物理」、「化学」、「生物」、「地学」から2科目選択
正確なところは上記なんですが、「これまでと何が違うか?」ということをザックリ申し上げると…
理系志望の方はこれまでとは余り違わずセンター試験を受験できるのですが、
文系学部はセンター試験において理科2科目の受験がほぼ間違いなく必須化します!という点が大きな、大きな、これまでと違うポイントなんです。
東大京大だけ、ではありません。東北大文系学部でも理科基礎2科目(あるいは「基礎」がついていない専門的な科目1科目)課すことを、先日発表したばかりです。
物理、化学、生物、地学のうち、2科目、大学入試には必要なんだ!ということが、今後標準になるでしょう。
3.実際の授業ではどうなるか「地学」を教えられる先生は全国的に多くありません。。。
従って、
多くの学校では、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」の3科目を、文理問わず学ぶことになるでしょう。では高1時に何をどれくらい学ぶか?については、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」の3科目のうち、2科目が扱われる場合が多いようです。科目の組み合わせ方は、学校の事情によりバラバラですね。。。
ただ、高1時に扱われない科目は、高2時に扱われることを覚えておいてください。
また、高校によっては、「授業名」と「(実際の)科目名」が異なるケースがあることに注意すべきです。
・「物理基礎」という授業名の年度後半では、(専門的な)「物理」の内容を扱うケース
・「物理」という授業名だけれども、「物理基礎」を扱うケース
など、時間割にある授業名と、センター試験で必要となる科目名は違う場合が結構ありますので、不安な方は先生に必ず確認してください。
他、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」の教科書を入手し拝見しましたが、特徴として次のようなことがあげられます。
「扱っている内容そのものは、現課程の「物理I」「化学I」「生物I」より少なく、内容的には3単位→2単位相当になっていますが、教科書は分厚くなり、1つ1つの単元を丁寧にやる雰囲気。結果、2単位(週2時間)では教科書全部を終えきれないことも。」全員初学なわけですから、内容の減よりも、教科書の分厚さが「難しくなった…!」という感じを与えることになるかと思います。
以上が「なるべく正確に、なるべくわかりやすく」と意識して述べた事柄です。
これでも(厳密に申し上げれば)正確ではないところもあります。
Z会の教材編集者は、100%正確なところを押さえ、それがどのように入試に反映されるか、を予測し、参考書・問題集などを作成しています。
「
理科基礎5days」では、皆さんからすると「専門的すぎてわからない…」という変化も捉え、書籍として反映している上、「予習・復習の仕方」などの紹介もありますので、是非こちらの方で理解を深めてください。