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2010.05.09 02:02

『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)

書評の続きです。前半はこちら


世の「広告宣伝・マーケティング」を担当している人は、なんて技術のことしか考えていないんだ…

今でもそう感じます、残念ながら。
「どうやれば効果が上がるか」という一言が真っ先に出てくることに言い尽くされます。

リスティングを知らない人にとっては、リスティングはいい「手法」です。
購読者にコンバージョンごとにポイントを与えるメール広告もよい「手法」です。
知らないより知って使った方が、今までにはない目新しい効果が現れると思います。
でもそれは「技術」な以上、追求しても限界があります。
「数」の上での限界と、「時間」つまり「長期購買に結びつくかどうか」という意味での限界です(衝動買いにはいいかもね、だけど共感して買うことにはなりませんぜ、それだけなら、ということです)。

前半の例でも分かるかと思いますが、僕が一番先に考えるのは「自分がお客側だったらどうするか」なんです(アタリマエですが)。
この視点があれば、チラシメルマガなんてまずやりません。

だって自分が客ならヤだもん。

もちろん、広告宣伝では、多少なりとも「お客さんに嫌と思われること」をやらなければいけないときも多々ありますが、それが前提ではありません。
広告宣伝担当になってからいろいろ飛んでくる「嫌われてもしょうがないんだよ!それが広告や宣伝ってもんでしょう」という声は、広告宣伝担当の開き直りです。

最多かつ最深のお客様の「心」をつかむ「技術」。それが広告宣伝であり、マーケティングです。
だとすれば、技術だけに特化しても、心がつかめないのは明白です。
そして、心をつかめない人が益々困って技術ばかり追い求めている…そんな人が「広告宣伝・マーケティング」担当者(あるいは代理店とか専門業者とか)に余りにも多いんです。


…と、書評とは関係のない話ばかり続いて恐縮ですが…
『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)、売れています。
いい本だ!という書評もweb上でいろいろ拝見します。

これこそが、世の広告宣伝・マーケティング担当者が、いかに心を失った活動をしているか、という証左なんだと思います。
前半のブログでも取り上げた、編集者の方から頂戴したメール。
本書のコンセプト、として、下記をあげていました。

ツイッター(などソーシャルメディア)でモノが売れる! と浮き足立っている方たちに、「いや、そうではないですよ、本質を見ましょう」と説明することだった

…であれば、本書、適切です(苦笑)。
「ツイッターっていろいろ言われているけど、ほんまにこれだけで売上上がるん?」と、「ツールを使う」行為が即座に「売上」云々の話になる方は、是非是非是非是非…読んで欲しいです。ありえませんからそんなこと(笑)
そして、その「ありえない」ってことが、『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)を読んだら絶対にわかります。
「絶対に」という言葉が嫌いな僕が言うんですから間違いないですよ(笑)

ですが、上記コンセプトに基づく本質って、ソーシャルメディアマーケティングの本質、じゃあないと思うんですよ。
マーケティングそのものの本質です。
ドラッカーが言っています。「企業の基本的な機能はマーケティングと. イノベーションである」と。ここで定義する「マーケティング」には、顧客創造が(もちろん)含まれます。
だとすれば、顧客の「心」がないがしろにされているわけがありません。

だから、本書で…そして『キズナのマーケティング』というタイトルにしたのであればなおさら、期待するのは

「心(=志)を最大化するマーケティング技法」

だったんです。
技法といっても、心不在のテクニカルなものではなく、企業の熱い想いを、技術を知らないだけで顧客に伝えきれていない…そんな人にオススメっ、って本かな、と。

ですが、この部分について、僕が得るものはありませんでした。
本書のコンセプトが上記であれば
『ドラッカーの定義するマーケティングを知っているか?~ソーシャルメディアでモノが売れると思っている人たちへ~』
の方が適切ですね。キャッチーなタイトルとしては超失敗作ですが(苦笑)、キャッチーなタイトルを書くことが本ブログの目的ではないので、ご容赦を。


予想通り!?長くなってしまいました。後半、もう1つだけ、続けさせてください。
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寺西隆行
ICT CONNECT 21 の寺西隆行です。小松高校→東大理一→工学部環境系→教育の道へ。教育とマーケティングをずっと見つめながら過ごすことが喜びです。
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