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2009.01.20 10:46

センター試験が終わり、予備校・塾などで解答・解説・分析が花盛りですね。
教育業界が注目される良い機会なので、皆さんに知っておいてもらいたいこととして「入試問題と著作権」について触れたいと思います。

まず、入試問題に使用することそのものは、著作権法第36条に規定されています。



(試験問題としての複製等)
第36条 

公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。



つまり、(たとえば、書籍の文章を)入試問題として使用することは、原則権利侵害にはなりません。
ただし、著作権法は、そもそも著作者の創造的活動を保護するために制定されているものなので、ある文章を入試問題に使った後に“この問題取り上げたのはすごいでしょ!”と大学側が過剰にPRし、かつ、大学側の多大なる利益に直接的に跳ね返るようなことがあるような場合(もしくは、最初からそのようなことを想定している場合)は、「当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害するすることとなる場合は、この限りでない。」とあるように、違反と判断される場合もあるかと思われます。


次に。「その入試問題を“センター試験問題速報!”などとして予備校・塾などがサイト上で公開するケース。
これ、すごい知恵?が働いているんですよ。

河合塾
ベネッセ・駿台
代々木ゼミナール
東進

入試問題掲載の際に、著作権遵守において一番注意しなければいけない点の1つ

「国語、現代文の問題掲載」

において、各予備校さん何をしていると思います?




答え。

◆河合塾は「ヨミウリオンライン」にリンクしています。
◆ベネッセ・駿台は「毎日.jp」にリンクしています。

そうなんです、「報道目的の使用」として、報道機関には著作権についての例外のようなものが(暗黙的に)認められているところもあり、報道機関のサイト上の問題として掲載することで著作権遵守の姿勢を見せているんですよね。
自社のサイトURLで掲載する行為は、完全に著作権法に抵触しますから。


対して

◆代々木ゼミナールは「国語」の問題を掲載していません。(他の問題はすべて自サイトのものとして掲載)

これは、現代文の問題の著作性が高いため、抵触する恐れを優先して「載せない」を選んでいるわけですね。


◆東進は国語の問題を自社サイトの問題として掲載しています。

これは、文章の著作者に許諾を得ていなければ、著作権法に抵触する可能性が極めて高いのです。

実際のところはわかりませんのでなんともいえませんが、Z会ではこのようなスピードで著作権者の確認と許諾が取れることがまずないため、サイト上での問題掲載もしておりませんし、問題集として発刊するときにはしっかり著作権者にお金を支払う形で掲載しています。
(その分掲載スピードはどうしても遅くなるのですが…)


「予備校各社の入試問題のサイト上での問題は、報道機関のサイトにリンクすることで、著作権法を守ろうとしている」

って、意外と「へぇ~~~」じゃないですか?(笑)


最後に。
著作権を持っている人の権利は最大に尊重すべきです。
しかし一方で、その権利を守ろうとして、かなり高額の料金を著作者に払っている教育企業が、その分利益を圧迫し、逆に権利を守る姿勢のない、けれど世の中の人が「どれくらい著作権使用料が発生しているか」なんて知らない(し、意識しようともしない)盲点をついてバンバン問題使用をしている教育企業がその分利益になる、という構造上の問題が、教育業界にはあります。入試問題なんてかなりの数で扱うわけですから、大きな企業になるとかなりの高額なんですよ、年間でかかる使用料って。
#Z会はしっかり著作権料を払っていますし、その分の費用を(申し訳ないですが)お客様にも負担していただくことで、利益も出し、社員も飯食べていけますけど(笑)


真摯で、誠実にやっている企業の方が泣きを見ている現状が、教育系企業の「入試問題の提供」にはありますので、なんかイヤですよね。
教育、だからこそ、真摯・誠実に競争し、そしてそれがお客様に還元できるような業界であってほしいと思っています。
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寺西隆行
ICT CONNECT 21 の寺西隆行です。小松高校→東大理一→工学部環境系→教育の道へ。教育とマーケティングをずっと見つめながら過ごすことが喜びです。
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