教育・受験に携わる社員として〜「和顔愛語 先意承問」

Z会Web戦略統括の寺西隆行です。タイトルは最も大事にしている言葉です(意味は左下「プロフィール」を参照)。
普段の仕事のことや教育に関すること、子ども達のこと、ネットのことなど、いろいろ思うままに書いていこうと思います。

     
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使われる方から使う方へ〜マクドナルドの「トクするケータイサイト」
[2008年04月09日(水) ]

<今日の事後ネタ>
Q.昨日、2008年本屋大賞が発表されました。大賞は伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』。去年は『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子)ですが、密かに8位に劇団ひとりのベストセラーが…あれ?タイトルなんだっけ?


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昨日、マクドナルドの「トクするケータイサイト」のリニューアルのお知らせがケータイに届きました。メールの内容を簡単に書くと、

=====
・4月22日(火)に新しいサイトでのサービスを開始する
・引き続き昔のサービスを利用したい場合は新しいサイトへの登録が必要
・新サイトへの登録は21日(月)まで。それまでに登録されない場合はサービスが利用できなくなる
・新サイトへの登録は簡単
=====

“新たなサイトに登録するのに期限があるの?22日以降新規勧誘は?”
“8日〜21日という「2週間」という期間は短くない?”
※携帯会員なので2週間たったメールはわからなくなりますけど…1週間おきに4回くらい(移行期間1ヶ月として)メール送ってもそんなにうざくないんではないですかね。

…などなどの疑問が浮かびつつも、マックのケータイクーポンはよく利用していましたので、すぐに登録処理へ。
そして、

「登録は簡単、なんてウソだー!」

“複雑”というほどのものではないですが、巷のケータイ登録システムの中では、割と個人情報を聞かれた方でした。
※なんと子どもの「生まれ年」だけではなく「生年月日」として聞かれてしまい…。

それでも、登録。

どれだけ個人情報を登録しようが、ケータイクーポンの魅力に負けた形ですね。
でも、「マクドナルドのケータイサイトが初めてできあがり、その存在を初めて知った」ときにこんな登録の仕組みであれば、多分僕は途中で登録を止めちゃいます。

ここにマクドナルドの、「使われる方」から「使う方」への見事なスイッチ戦術があります。


1.まずはお客さん自身に、ケータイサイトの利便性を知ってもらい、お客様自身の過去→未来におけるスイッチングを妨げる。

お客様は最初の段階で、形のないサービスの価値を知りません。
※知る=感覚的につかむ、という意味合いで。
まずは価値を与える。
価値を知り、利用したい、と思ったお客さんは、その後のいかなるサービスの変更にも自らキャッチアップしていこうとする…
上手ですよね、この人間心理を巧みについて。

マクドナルドのマーケティングがすごいところは、これを「戦略」の中での「戦術」にしっかり落とし込んでいるところです。
サービスインの当初から自社の必要な情報をありったけ取ろうとする企業は問題外として(苦笑)、「最初のうちはお客さんに価値を与え、サイト自体が話題になることをやりましょう!」という、顧客心理をわかっている企業は、「戦略」がないことが多々あります。
要するに、価値を与えて、はいそれだけ、みたいな。
しかも価値の与え方も中途半端で、盛り上がりに欠いてしまうケースも多々。


きっとマクドナルドは

・いずれお客さんの情報がいっぱい取れるようなサイトにする

という戦略があり

・そのために初期の段階で出来る限りの価値創造と、お客様の煩いを取り除く

という戦術が出来上がっていると思われます。


2.多くのお客さんを囲い込むことで、「やらないと損」という、他人との相対比較によるお客さんの損得勘定を生み出し、スイッチングを妨げる。

日本人は同質性を好みます。
また、「ケータイいじめ」なども(インフラ的に)可能になった現代の若者の間では、「同質でないと相手にされない怖さ」を感じ、一度同質性が形成されたものに対しては指数関数的に人間が寄ってくる傾向があると感じています。

マクドナルドのケータイクーポンは、昨年7月に会員数が500万人を突破しました。
今では中高生の4人に1人くらい以上、利用していると思われます。

「登録していると“物知り”に思われる」

から

「登録していないと“恥ずかしい”」

という人間心理を生み出す域に達するのももうすぐではないでしょうか。


この時点でマクドナルドの勝ち。
どれだけ煩わしさがあっても、登録するでしょうね。

これも「戦略」の中で「戦術」が動いていると感じます。


1、2から、最初は「(お客様に)使われる」側だったマクドナルドが「(お客様を)使う」側に回っていることがハッキリとわかります。
「(お客様に)選ばれる」から「(お客様を)選ぶ」、とも換言できるかもしれません。


「お客様のために」という精神論的なものばかりで戦略がないのもよろしくないですし、最初から企業目的が滲み出るような戦術もよろしくないです。

お客様の知らないうちに、お客様が引きづりこまれるようなマーケティングこそが、すばらしいですね。


事後ネタA.『陰日向に咲く』

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