『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)
書評の続きです。前半はこちら、中半はこちら。
教育には、情の教育とともに、知の教育が必要です。
「心ある人に」育ってもらうことはもちろん大切ですが、心ある人が他に対して表現し、さらに成長するには、知が絶対に必要です。
人の心を把握するときにも、知によって得た思考が必要ですし。
マーケティングも同じで、「心」とともに「技術」が必要です。
たとえばコールセンターで、電話口のお客さんにとっても真摯・誠実に答え、「ありがとうございました!」と話すことは、電話口のお客さんを長期顧客にする、1つのマーケティングでしょう。
しかし、この電話口のやり取りが、もっと多くの人に聞こえてくれば、もっと多くの人に共感を生むと思いませんか?
それが「技術」が大切な部分であり、ソーシャルメディアマーケティングで可能な部分だと思うんです。
僕がマーケティングをやる上で大切にしているのは、心と技術のバランス感覚です。
1.心>技術である姿勢を崩さない。
2.1の下、極力、心=技術になるように腐心する。
3.1、2の下、心、そして技術の絶対値を共に上げる。
そして、「志」に近くまで昇華した心に伴う技術の部分を補う可能性のあるマーケティングが、ソーシャルメディア(を使った)マーケティング(の技術)だと思っています。
『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)。もちろん、「いわゆる」技術や「いわゆる」テクニック満載の本ということは期待していません。
本質的な心の部分はもちろん説いて欲しい、その上で、その「心」を技術で補うのであれば、こんな方法がありますよ、こうするとファンが増えますよ、ということ、「小さな」事例(たとえば僕のお客さんとのやり取り~p143から書かれています~)だけではなく、マーケティングの「仕組(構造)」「仕掛(機能)」「仕切(管理)」を伴った論(あるいは事例)を述べて欲しかったと思います。
つまり、めっちゃ心と志がある会社であれば、それをさらにファン獲得のために使えるのがソーシャルメディアマーケティングですよっ!という流れにしてほしかった…まがりなりにも「キズナ」のマーケティング、というのであれば。
節々にそういうことは書かれているかもしれませんが、全体感としてこの流れは感じず、たらたらと述べているだけ、という感は禁じ得ませんでした。
もし、志が強い会社のマーケティングを「ソーシャルメディア」で解決する術が書かれているのであれば…
筆者の会社に依頼して完成、そして本書にも登場するダイガクエスト、もっと盛り上がっていて然るべきですもん。
自分で言うのもなんですが、誰からも「想いが強い」という僕の「今の自分でできること」の範囲で、想いをありったけ込めたサイトですから。
書き手として、志がある人、そして、広告スポンサーとして、志がある会社。
ここで述べるのが適切かどうかわかりませんが、どんどん集まっています。僕の元に。
ですが、その人の志をマーケティング的に最大化させることにまだ成功していないし、初動としては「失敗」と言える書き込み数になっています。
ということは、マーケティングの「技術」としてはまだまだのサイトなんです。
もちろん志のある人の想いを沢山受けているだけに、現状に申し訳ないと想いつつ、これだけの人が集まっていればまだまだ盛り上がる可能性がある、それを最大化するのは自分の使命、と思い、どんなマーケティング的な施策が打てるか、日々研究しています。
話を戻すと、「キズナ」を「マーケティング」に活かす本として、本書は弱いのではないかと思います。
「マーケティングは顧客創造ということ忘れていないか?」だったらわかるんですけど。
そして、前半はこちらで述べた事例…つまり、メルマガに始まった僕のwebマーケティング人生を振り返ると、肝心なことが抜け落ちているんです。
僕がメルマガを始めたキッカケの中には
1.その当時の会社の欠点を補う活動である。
2.その当時の自分の立場でできる活動である。
という2点があって、“結果的に”ソーシャルメディアマーケティングをかなりやる人間になっていたんですけど、それには
3.1・2を補うものとして、ソーシャルメディアマーケティングはかなりいい。
ということなんだと思います。
メルマガ、そして、ブログを書く、他の人のブログにコメントを入れる…これって「広告宣伝・マーケティング担当」じゃなくても、誰でもできますから。
メルマガから始まった「編集者の立場でのマーケティング」が「ブログ」という「ソーシャルメディア」に発展したら「マーケティング効率が上がった」ということで。
この視点が本書には欠けています。
つまり、
・お客様に対する意識を持った人間なら誰だってできる活動がソーシャルメディアマーケティングだということ
・そもそもお客様に対する意識を持つこと、そしてさらに「何であなたはその企業で働いているの?」という目的意識を持つことの大切さを説くこと
を、明確にしないでも匂わせて欲しかったなあ、と思います。(すいません、僕には読み取れませんでした)
前半、中半に引き続き、担当編集者の言葉を借ります。
「キズナのマーケティング」での私の反省は、池田さんの「バイブルみたいな本をつくりたい」という希望を受け入れたことですね。
この言葉は腑に落ちました。
たとえば僕が、今やっているソーシャルメディアマーケティングに不安を感じたとき、立ち返る本としては良書なんです。「確認」の意味で。
「バイブル」的に整理されていますから。
ただ、バイブルは、読むと単調ですよね。それが僕が1回目に感じた感覚なんです。
でも、それが筆者の狙いであれば、それはそれでいいと、上記の言葉で感じました。
だから、「バイブルとして一企業に一冊」という感覚で、書棚に並べると良いのではないでしょうか。
蛇足ですが、「マーケティング技術」に強く、「キズナ」について深く知りたい、という方であれば、本書は不要です。
僕がそうしているように、教育関連の本を読めばいいので(苦笑)
以上、長くなってしまいました。
お気づきの方は鋭いですが、本3回のブログこそが、僕が実地で行っている、『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)のソーシャルメディアマーケティング、なんですよ(笑)
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- Z会 寺西
- Z会の寺西隆行です。今は「教材編集部 理科課課長(兼小学生コース教材担当)」が肩書。「教育」×「マーケティング」で少しでも多くの社会価値を生み出したい。
ツイッター @teranishi





