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2009.11.07 18:00

学習塾の値下げ競争が激しくなっているようですね。

学習塾が大幅料金値下げ 不況と「塾離れ」に対応(J-CASTニュース)


値決めについては各塾の方針がありますので、「あそこの値段の高さはちょっととりすぎだろう」とか「ダンピング競争は塾業界の体力を落とすだけ」とか、どちらの気持ちもありません。
各塾の自由です。

その自由に決めた値段をお客様が選ぶかどうか。
それだけの問題ですよね。


選ぶお客様に気にして欲しい点がいろいろあります。


◆塾で提供するサービスは、大量生産による画一的な汎用品ではなく「人が提供するサービス」が料金のほとんどを占めますので、企業努力によるコスト削減ではなく、単に人件費を削減することで低価格を実現する場合が多いこと

一般に、商品・サービスが「値下げ」できるようになるには、コストの削減が何らか寄与しなければいけません。
たとえばスーパーの商品では、プライベートブランドによる物流部分のコスト削減、原材料の値下げ、商品の在庫管理の向上…などが上げられますね。

しかし塾で提供しているサービスのコストは、「教える」というサービスにかかる人件費の割合がかなり高いわけです。
※他、地代家賃などもバカになりませんが(駅近くの塾が多いので)。
したがって、値下げで提供が可能になる場合は、その分だけ人件費を削っている場合が多いです。

ここまでくればお分かりですよね。
値段が下がるということは、その値段で雇用できるだけの講師の能力という事であり、塾を選ぶ方からすれば、下がる前の価格での質やサービスの提供の仕方を過剰に期待してはいけない、ということです。

もちろん、質が下がり、サービスの提供の仕方が変わる…個別性が薄れる場合が多いのですが…といっても、それで志望校に合格できるだけの実力をつけてもらえるサービス、と思えれば、それでいいわけです。
たとえば、人件費を下げる工夫!?として、「プロ講師ではなく学生講師にする」という発想もありますが、このときに「教え方そのもの」の質は押しなべて低下しますが、教えられる側との年齢の近さにより、「コミュニケーション」から誘発される学力向上やモチベーションアップが新たに生まれ、前者の低下分を補うだけの効果が教えられる側にあれば、何ら問題はないわけで。


ただ、値段が下がるからと言って汎用品と同じように素直に喜び、素直に商品・サービスの提供を受け入れてはいけない、ということだけは、塾を選ぶ人は知っておかなければいけないことです。

加えて「あっちの塾はこんなに安かったのに、お宅の塾はなんでそこまでするの!」という迫り方を過剰にしてはいけません。
講師によって、サービスの質が全然異なるわけですから、単純比較はできませんので。


一つだけ蛇足ですが加えておきます。
戦略的に、一定の期間だけ料金を安くすることはあります(Z会はほとんどしませんが)。
たとえば夏期講習を無料にし、秋以降の受講につなげる、とかですね。

戦略による値下げは、「それ以上の見返り」を期待して、のことですので、企業の収支構造そのものとは直接的に影響はしあいませんね。



◆教育業界の平均給与は、各業種と比較するとやや低いということ。

あくまで業種の比較ですが、一般に、教育業界の給与は低いとされています。
「一般に、銀行や保険業界、商社は高い」とされているくらいの「一般」と思っていただければ。
※もちろん僕が教育業界を選んでいるのは、給与だけではない理由がいっぱいあるからなのですけど。

そんな業界で提供するサービスの料金がガクンと下がる…

ここからどのようなことが起きるか、推測は皆さんにお任せします。


そしてもう1つ。


◆結局自分が「教えられる」内容・時間・個別対応度…に比例して費用はかかる。じゃあ、費用を安くする本質的な方法は?

質が良い先生にマンツーマンで懇切丁寧に長時間教えられる…
それは理想かもしれませんが、これで安くなることなんてありません。
常識的に考えればわかりますよね。

費用を抑えること、を第一優先にするなら、簡単です。
自ら学ぶ領域を増やせばいいんです


問題集と参考書の使用、そして普段の学校の勉強だけで志望校に合格できれば、こんなに安く済むことはありません。
これだけだと自らの解答内容にチェックが働かないから、せめて「自分の立つ位置・能力のチェックは最低限働かせておきたい」のであれば、通信教育です。(Z会をよろしくお願いしますね。笑)

つまずいたときだけ個別で教えられることが必要であれば、チューターのような制度に厚い学習機関を選べばいいです。
文字で読むより人の話を聞いたほうがわかりやすい、となれば、集団指導型の塾。
わからないことも聞けて、さらに試験にでやすいことを教えて欲しい、となれば、個別指導。

どんどん費用が高くなります。


こう考えると…
よく「お金のある子は塾にいけて、それで東大に合格できる。お金がないと東大にいけないんだ」という意見を伺いますが、そんなことはないです。
東大レベルでは、最終的に「自ら学ぶ力」がかなり必要になりますので、「お金をかけて得た教科能力」が、東大合格へ影響する部分なんて微々たるものだ、という見方もできます。
自ら学ぶ力を培っておけば、教科能力を高めるための廉価な学習手段は溢れています。

ただ、現実を見ると、自ら学ぶ力を自らつけることができない…外部環境の後押しを受けるために塾に通い、昨今の「自ら学ぶ人」の減少傾向とあいまって、塾に通っていた人が合格者全体にしめる割合は高くなっているようですが…

再度繰り返します。自ら学ぶ力を培えば、費用が安い学習手段で乗り越えられる壁なんです、受験という壁は。


今僕がZ会に勤めているからこんなことを話すのではなく、そもそもZ会を選んだ理由が、

「最低限の学習手段の提供で難関大学に合格する力を養成したかったから」

だからなんです。


学習を共に行う教材そのものと、「自分の解答を人にチェックしてもらう」ことだけは、自分の力で得ることができませんからね。
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寺西隆行
ICT CONNECT 21 の寺西隆行です。小松高校→東大理一→工学部環境系→教育の道へ。教育とマーケティングをずっと見つめながら過ごすことが喜びです。
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