次女の国語総合の教科書がテーブルにあったので手にとってみた。
小説、評論、詩、古文、漢文、みな一冊に納まっている。
カラフルでにぎやかなレイアウト、
自分が高校のときに使った教科書とは違うなあ、と思いつつ見ていると、
俳句のページがある。
子規、虚子、蛇笏、山頭火、汀女、誓子、当然のビックネームが並ぶ。
現代俳句の世界というページもあって、そこになつかしい名を見つけた。
初めてのまちゆつくりと寒椿 田中裕明
かつて、「獏」という同人誌があった。
短歌・俳句・川柳・一行詩を作る高校生・大学生たちの同人誌である。
彼はその仲間だった。
彼は若くして本格的な俳句を作り、皆に尊敬されていた。
私はもっぱら一行詩を作った。
「そもそも一行詩とは何だ」と仲間うちでも議論になるぐらいだったから、
私は異端の部類に属していたのだろう。
「獏」の大会には議論好きが集まったが、
彼はいつもにこやかに聞き役をつとめていた。
京都で開かれた大会に参加したときには、
帰りそびれてしまい家にとめてもらった。
先輩俳人の短冊を宝物のように見せてくれたことを思い出す。
大学卒業後、「獏」も廃刊となり、以後、会うことはなくなった。
それでも、彼の活躍ぶりはさまざまに知ることができた。
小林恭二著「俳句という遊び」(岩波新書)に若手俳人の一人として登場している。
教科書に載った生年は私と同じ。
没年が記されているのが寂しい。