部活を引退した長女。
受験モードに突入したはずなのだが、今一つ集中しきれていないようだ。
宮城谷昌光「長城のかげ」や桐野夏生「光源」を読んでいる。
いずれも私の書架にある本だ。
宮城谷昌光は古代中国に題材をとった作品が多く、
漢文的な世界に親しむためには有益だろう。
ただし、作品数が多いだけにのめりこまないようにしてほしい。
問題は、桐野夏生だ。
「OUT」や「グロテスク」が入試問題に出ることはあるまい。
描かれているのは救いのない世界なのだが、作品には病みつきになる魅力がある。
入試が終わるまで隠してしまおうかと思う。
私も受験生時代、読書欲求を抑えるのに苦労した。
まったく本を読まないということには耐えられない。
だから、できるだけ一気に読み進めるのが難しい本を選んだ。
文学史上の作品を読むことにしたのである。
泉鏡花「高野聖」
島崎藤村「夜明け前」
森鴎外「舞姫」
夏目漱石「こころ」
この辺までは意図したとおり、少しずつ抑制的に読むことができた。
やはりスラスラとは読めない。
谷崎潤一郎「痴人の愛」
これは、狙いがはずれた。読み始めたらとまらない。
主人公同様、ナオミの魅力を振り切ることはできなかったのだろう。
芥川龍之介「羅生門・鼻」「蜘蛛の糸・杜子春」「藪の中」「朱儒の言葉」
読みやすく、おもしろい。とまらなくなりそうだったので芥川は封印することにした。
川端康成「伊豆の踊り子」「雪国」
へー!これがノーベル賞なんだと思いながら淡々と読み進めた。
安倍公房「砂の女」
へー!これがノーベル賞候補なのか、奇妙な話だなあ!と思いながら読んだ。
三島由紀夫「仮面の告白」「金閣寺」
自衛隊で割腹自殺した三島由紀夫という先入観があって読まず嫌いだったが、
さすがに心理的な葛藤がみごとに描かれた傑作だと思った。
(三島は今でもときどき読む)
文学史上の名作で読書欲求を抑えるという目論見はあまり成功したとはいえない。
思わず一気読みしてしまうような作品もかなりあった。
名作だからといって読みにくい、つまらないとは限らない。
受験勉強には差し支えたが、読むべき本を読んだのだからよしとしよう。
娘の読書もほどほどであって欲しい。