小林多喜二の「蟹工船」が売れているらしい。
書店で文庫本が平積みになっているのを見た。
マンガにもなっているようだ。
若者が「蟹工船」に共感をもつほど格差社会は進展している。
そんな論調で語られている。
私は「蟹工船」を読んでいないので、何もいいようがない。
だから、小林多喜二とは別の獄死したプロレタリア作家を紹介したい。
名を鶴彬(つるあきら)という。
川柳作家である。
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/guest/charm/tsuruakira.html
ロボットを殖やし全部を馘首する
馘首(かくしゅ)とはクビ切り、すなわち解雇のことだが、
これが昭和3年に作られたというのだから驚く。
ふるさとは病ひと一しょに帰るとこ
過酷な労働条件のもとで健康を害し、やむなく故郷に帰る。
そんな労働者の悲しみをうたっている。
神代から連綿として飢えている
天皇に対しても辛辣である。
そして、徴集された兵士が蒙る理不尽を告発する。
手と足をもいだ丸太にしてかへし
鶴彬の作品は一叩人著「反戦川柳人・鶴彬」(たいまつ新書)で読んだ。
今、この本、Amazonで11,200円なんていう値段がついている。
(ひょっとしたら、蔵書中、最も高く売れる本かもしれない。)
田辺聖子著「道頓堀の雨に別れて以来なり」(中公文庫)なら入手可能だろう。
岸本水府という川柳作家とその仲間を描くが、
鶴彬についても詳しい。