長女が「内閣総理大臣の名前って全部覚えないとだめ?」と聞くから、
「戦前は全部覚えないとだめ!!」と答える。
初代の伊藤博文から終戦時の鈴木貫太郎まで順番に覚えておくと、
歴史の縦糸ができて何かと便利だ。
いくやまいまいおやいかさかさ
かやおてはたかやきかわたはわい
さおひはこひあよことこす
昔から受験生は歴代総理の名前の最初の一文字を
呪文のように唱えて無理やり覚えた。
「行くやマイマイ、親イカ逆さ」
伊藤博文から西園寺公望まで明治時代の総理大臣である。
まず、マイマイ=カタツムリが先頭を行くという絵柄を思い浮かべる。
続くのは親イカで三角の頭を下にして脚を上のほうでビラビラさせている。
意味ではなく絵柄で覚える。
「蚊帳(かや)折って裸や、気変わった、ハワイ!」
憲政擁護運動で内閣を倒された桂太郎から五・一五事件で命を落とした犬養毅までである。
蚊帳というのは若い人にはなじみがないかもしれない。
風は通すが蚊は通れないほどの網状のものを蚊帳といい、夏、寝床の上に吊った。
蚊帳の中なら裸でも蚊に刺されない。
仲間はずれの意味で「蚊帳の外」というのを、聞いたことがあるだろう。
蚊帳を折って外に出たら裸だった。気が変わってハワイに行こうと思いつく。
そんな場面を想像してみればいい。
国内では政党が力を持ち、やがて憲政の常道が確立するが、
軍部の抑えがきかなくなり、世界の中で孤立していくという時代である。
ハワイの真珠湾攻撃=日米開戦は東条英機内閣だが、なかなか暗示的ではないか。
「棹(さお)火運び、アヨコと越す」
斉藤実から鈴木貫太郎まで戦争の泥沼に陥り敗戦を迎えるまでの総理大臣である。
暗い時代である。
棹に火つけて運び、アヨコという女性の手を引き死線を越す。
バカバカしくてもいいではないか。
覚えたもん勝ちである。