プロフィール

プロフィール画像
シルバーバック
いいえぬことのおおかりき。

カレンダー

<<   2009年09月   >>

最近の記事

フォルダ

このブログで使用したタグ

ブックマーク

  • rss 1.0

「身もフタもない日本文学史」

清水義範著「身もフタもない日本文学史」(PHP新書)をおもしろく読んだ。
著者は大学受験の国語で「『源氏物語』について、思うところを記せ」という問題に遭遇し、
「一人のプレイボーイが、次から次へと女性にモテまくった、というような話に、大した価値などあるだろうか。人間にはもっと大切なことだってあるだろうに」
と解答して、不合格になったそうだ。
実はこのとき、筆者は「源氏物語」を読んだことがなかったという。
読んでもいないのに「源氏物語」の内容を知り、偉そうなことがいえてしまう。
それが、古典のすごさだと主張している。
(どの大学の問題かは明記されていない。話としておもしろいだけに、本当かどうかは疑わしい。)
もちろん、現在の筆者は「源氏物語」自体を「世界の文学史の観点からも、あのやけに長い小説は奇跡的な名作なのだ。」と評価する。
光源氏は父帝の后に恋する。そして、后は源氏の子を産む。この子はやがて即位し、源氏も栄華を極めるが、若い妻が産んだ子は実の子ではなかった。
「この、小説の基本構造が畏れいっちゃうぐらいすごい。」
というのが理由だ。
「源氏物語」では、歌のやりとりが多い。795首もあるのだそうだ。
平安貴族の歌のやりとりは、メールの交換だと思えばいい。
ここらあたりの見立ては著者の真骨頂である。
「枕草子」は清少納言が美的センスを自慢したもの。それが許せるのは、清少納言が落ち目になってから書いたものだから。
吉田兼好の「徒然草」はジジイが世の中への文句を並べたもの。
紀貫之の「土佐日記」、松尾芭蕉の「奥の細道」など紀行文の特色は田舎の悪口を書くこと、その伝統を引きついでいるのが、夏目漱石の「坊ちゃん」だそうだ。
式亭三馬の「浮世風呂」は町人のおしゃべりをそのまま書いたもの。現代でいえばケータイ小説だという。
こんな感じで、卓見と思う部分もあれば、ちょっとはずし過ぎと思う部分もある。
近代文学については駆け足だが、ノーベル賞作家を変態よばわりしたりもする。
この本で、文学史に興味がわけば何よりだ。



ソーシャルブックマーク
  • ツイートする
  • facebookでシェア
  • mixiチェック
  • はてなブックマークに登録
  • Deliciousに登録
  • Livedoorクリップに登録
  • Google Bookmarks に追加
  • Newsingに登録
  • Buzzurlに登録
  • Yahoo!ブックマークに登録
この記事へのコメント
印は入力必須項目です。
※ログインしていると自動的に名前が挿入さます。
名前
URL
Mail
コメント
画像認証 :

表示されている数字を半角で入力してください。
 
トラックバックURL
  • トラックバックURL

  • 【トラックバックにつきまして 】
    Z会ブログでは、トラックバックにスパム対策を講じております。

    Z会ブログの記事へトラックバックを送信する際には、トラックバック元の記事の本文中に、トラックバック送信先の記事の「ページURL」を記載してください。 「ページURL」が含まれていないトラックバックは受け付けできません。

    なお、一部のブログやサービスからのトラックバックは受け付けできない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

読書は好きな方ですが、「文学史」と聞くとどうしても身構えてしまいます。 なんか教科書に載ってる読みたくもない文章、というイメージがあるし、無理にでも感想文書かなくっちゃ、というプレッシャーも感じちゃうからですが、この本はそういったものとは無縁、と言っても良いでしょうね。 一応は「源氏物語」から始まり、「枕草子」とか「徒然草」、「平家物語」、「太平記」、「好色一代男」、それから夏目漱石、森鴎外、川端康成・・・ときて、最後は江戸川乱歩ナドナドまで網羅。 その内容も、「源氏物語」で短歌のやり取りをする