最近、「マナー本」を読むのが、ひそかな趣味です。
人には言えません。
なぜ秘密なのか。
それは、私がマナー本を読んでいるとは思えないほど、がさつな人間だからです。
それで、どうしてマナー本を読むのが趣味なのかというと、単純に面白いからなんです。
今の仕事を始めるにあたり、接客業のマナーを知っておく必要があるかと思い、とあるマナー本を買って読んだら、いろいろ勉強になりました。
知っているようで知らないようなこと、昔からの「常識」とされている風習や言い回しがもう古くなりつつあるということ。
大変興味深かったんです。
例えば、葬式に関するマナー。
「不祝儀袋の中身は、新札はダメ」というのが常識だと思っていました。
今では、そこまで気にしすぎなくてもいいようです。
また、訪問の際の手みやげマナー。
「つまらないものですが」「お口汚しですが」などとへりくだった言葉よりも、「名産品なんです!お召し上がり下さい」などと言う方が、現代的でよい印象なのだそうです。
……両方ともあんまり、接客業と関係ないですけどね。
さて、それから、何冊かマナー本を読んだのですが、その中には淑女として振る舞うための秘訣みたいな本もありました。
「メートゥルドテルが『ボンソワール』とご挨拶したら日本語かフランス語で…」
「ホットウォーターを注文するのは恥ずかしいことではなく…」
「プロトコールとして、パーティファッションの知識は…」
「旅に出発する前にバラの花束を贈られたら…」
「お客様をもてなす場合はアントレとアントルメを近所の仕出し屋に…」
世界が違うみたいです。
何言ってるのか、全く理解できません。
この時点で、私は淑女になれない。そう思いました(誰だよ、メートゥルドテルって)。
その中で、「注文は彼の口から」という興味深く、私たちの生活にも生かせそうなマナーがありました。
レストランでお食事デートをする場合、店員が「ご注文は何になさいますか」と来た時に「私は○○」と、女が注文するのはノーブルかつエレガントな淑女のなさることではないらしいです。
男性が女性に、何を頼むのか聞いて、男性が二人分の注文をするのが淑女としてのたしなみなのだとか。
自分の注文なんだから自分で注文すりゃいいじゃん、などと考えてしまいますが、案外とこの「男が注文する」というカップルは多いようで、もう淑女のたしなみというよりは、まぁ、世の中の風潮というか、一般的な女性ルールみたいな感じになってしまっているのかもしれません。
昔、私がコンビニでアルバイトをしていた頃の話です。
ある冬の寒い早朝、若いカップルがおでんを買いに来ました。
二人で買いに来てはいましたが、その時のカップルの会話では、おでんを欲していたのは彼氏の方ではなく、明らかに彼女の方。
が、しかし。
その時の接客内容系図としては、彼女→店員(私)ではなく、完璧に、彼女→彼氏→店員(私)でした。
つまり、おでんを欲していた彼女自身が私に注文(どの具にするか)するのではなく、彼女は彼氏に「大根と……」とか自らの意思を告げ、彼氏が私に注文していたのです。
そして、「スープはどういたしますか?(容器を見せて)このくらいでよろしいですか?」と問うと、彼女は上目遣いに彼氏の顔を見て、頷く。肯定の意を見せる。
それを見た彼氏は、私に「はい、いいですよ」と言う。
更に、「からしはお付けいたしますか?」と問うと、彼女はまたしても上目遣いに彼氏の顔を見ながら、小声で「付けてもらって……」と囁く。
それを聞いた彼氏が、私に「お願いします」と言う。
まるで冗談のようですけど、私は同じコンビニで3年間バイトをしていて、このように男が女の分の注文をするカップルは結構多かったです。
何も彼らに限ったことではなく。
これが世の風潮だろうが、おフランス式上流マナーだろうが、エレガントで淑女的だろうがなんだろうが、もはやどうでもいいです。
やりすぎは、店員からしてみるとものスゴく、
イ ラ イ ラ す る 。
それだけです。
マナーって、イヤミなく、相手を気遣う、思いやるところから、きているんですよね。
そのカップルは、店員にも思いやりをみせるべきだったんじゃないかなあ。
人を不愉快にさせちゃダメですよね。
やりすぎず、わざとらしすぎず、さりげなく、男性が女性を気遣う。
そんなカップルに、憧れますねー。
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