「イベント」と「ノンイベント」[2008年08月28日(木) ]

キャリア・アドバイザーの松尾順です。


8月24日で北京オリンピックが無事閉幕。

「世界新」が続出した熱い戦い。今でもまだ興奮と感動の余韻が残っている感じです・・・。



さて、オリンピックを目指すスポーツ選手たちにとって、4年ごとにやってくるオリンピックは、言うまでもなく人生における最大のイベントですよね。

オリンピックに出場できるか・できないかという関門突破もさることながら、出場した競技でメダルを取るか・取らないかでその後の人生が大きく変わってきます。

国によっては、メダルを取れば兵役が免除されたり、あるいは一生の生活が保障されるところもありますよね。

そんな国の代表選手の勝利に対する執着心や集中力は半端じゃありません。

でも、出場者全員が勝者になることはできません。

メダルを取った喜びに舞い上がる選手たちの影で、メダルを取れなかった悔しさ、無念さで涙する選手たちを今回もたくさん目にしました。



ところで、オリンピック代表選手にとって、オリンピックはその後の人生に大きな影響を与えるイベントですから、

「転機」

と呼ぶことができます。

この「転機」ですが、実は2種類あるのです。

すなわち、

イベント − なんらかのモノゴトが起きること(予期していたかどうかに関わらず)

ノンイベント − 期待していたこと、予期していたことが起きなかったこと

の2つです。


オリンピック代表選手において、イベントとはメダルを取ることであり、ノンイベントとは、メダルが取れなかったことやケガなどで出場を断念することです。

例えば、水泳の北島康介選手は、今回も、金メダル2個を含むメダルを合計3個取得したおかげで、今後の人生の可能性はさらに大きく広がりました。

彼にとっての「イベント」は予期した通りに起き、これまでの努力が報われたわけです。

ところが、女子マラソンの野口みずき選手はケガのため出場取り止め。

前回のアテネオリンピック金メダリストとしては、メダル取得どころか、出場さえできないという、とても残念な「ノンイベント」になってしまいました。

オリンピックにおいて「勝利してメダルを取る」というイベントを乗り切るのももちろんとてつもなく大変ですが、「メダルを取れなかった」というノンイベントを乗り切るのはさらに大変です。

ノンイベントには、ネガティブな問題や感情が伴うことが多いからです。



オリンピック選手だけでなく、私たちすべての人生にそれぞれイベント、ノンイベントがあります。

キャリアに関連したことを例に挙げれば、学生が会社に就職することは「イベント」。

一方、就職活動に失敗して就職浪人やフリーターになったとすれば、それは「ノンイベント」です。

うまく就職できなかったことが、当人にとってどんなにつらいことか、ずいぶん昔のことではありますが、私自身就職活動に苦労したのでよくわかります。

こうしたノンイベントを乗り切るのは簡単ではないのは想像できますよね。

では、厳しいノンイベント(就職や転職といった「イベント」も、新しい環境(職場)に適応しなければならないため、しばしばとても大変ですが・・・)を乗り切るためにはどうしたらいいでしょうか。


詳細はぜひ末尾に示した別のWebサイトでの私の記事を参照して欲しいのですが、そのポイントはまず、現状を客観的に把握することです。

そして、自分自身の性格上の特徴(強み・弱み)を自覚した上で、周囲の人々の支援も仰ぎながら、ノンイベント(あるいはイベント)を乗り切るための適切な戦略を立てることです。

つらいからといって、現状から目をそむけてはいけません。

現状を直視するのです。

もちろん、直視したからといって、必ずしも何らかのアクションを取らなければならないというわけではありません。

状況によっては、何もしないでしばらくじっと時が過ぎるのを待つという戦略が最適な場合もあるからです。


また、自分の問題だからと一人で抱えこまず、周囲の人たちに助けを求めましょう。

自分では思いもしなかった解決策やチャンスは、人との交流を通じて発見できることが多いからです。




『第4回 シュロスバーグ理論で転機をうまく乗り越えろ』
(@IT自分戦略研究所 エンジニアも知っておきたいキャリア理論)

妄想しよう![2008年08月21日(木) ]

キャリア・アドバイザーの松尾順です。


猛暑となった今夏。

北京オリンピックでは、別の意味で‘熱い’戦いが繰り広げられています。

厳しいメダル獲得競争が予想された中、日本代表選手はなかなかに健闘してますね。お盆休み中は、テレビに釘付けの方が多かったのではないでしょうか?



さて、小さいころからスポーツに打ち込んできた人たちにとって、「オリンピック」は別格の存在ですよね。

「オリンピックに出場してみたい」

こう漠然とでも思わない人はいないのではないでしょうか。

もちろん、ほとんどの人はどこかの段階で自分の能力の限界を悟り、オリンピック出場を早々とあきらめてしまいます。

また、あきらめずに努力を重ねたとしても、ぎりぎりのところでオリンピック代表選手の選考から漏れてしまう人がいます。

ですから、今、北京オリンピックの舞台に立っている選手たちは、つらい練習に耐え、日本代表の座を目指す競争に勝ち抜いてきた人。

メダルを得るかどうかに関わらず、オリンピックに出場したというだけで賞賛に値しますよね。



ところで、オリンピック出場選手の中で、小さい頃から

「オリンピック出場は間違いない」

と周囲が認めるほどの才能を示していた人はほんの一握りでしょう。

むしろ、ほとんどの選手は、

「オリンピックに出たい!」

などと口にしたら、

「なに言ってるんだ、お前がオリンピックに出場できるわけないじゃないか・・・」

と、親や友人たちから軽く鼻であしらわれたことがあったのではないでしょうか。


しかし、オリンピック出場を果たした選手の多くは、そんな周囲の嘲笑にめげることなく、オリンピック出場の「夢」を決して捨てなかったからこそ今があるのです。

今、オリンピック出場の「夢」と書きましたが、選手が一番最初に抱くのは「夢」のはるか以前の段階、すなわち、なんの根拠のない、とても実現しそうもない「妄想」です。

単なる「妄想」だからこそ、周囲から嘲笑されてしまうのです。

でも、まず「妄想」しなければ何も始まりません。

妄想が高じて、より具体性の高い「夢」となり、さらに明確な達成日を設定することで「目標」となるからです。



スポーツに限らず、人類の文明の発展を支えてきた様々な発見・発明は、やはり「妄想」から始まっていますよね。

例えば、「鳥のように空を飛びたい」という、最初は誰もが嘲笑したであろう妄想を人が抱かなかったら、いまだ「飛行機」は誕生していないはずです。

一人ひとりの人生もまた、「妄想」することから作られていきます。


ミュージシャンとして、またエンタテイメント・プロデューサーとして成功したつんく♂は、自伝的な最新著書『一番になる人』(サンマーク出版)で、次のように書いています。

“妄想を抱くことから、ほんとうの人生は始まる。
 いや、もっといえば、妄想を抱かないかぎり、
 大きな仕事はなし得ない。”


さらに、つんく♂は、妄想と夢や目標の違いについて次のように説明しています。

“夢が心のなかで描くものであり、
 目標が頭のなかで立てるものだとすれば、
 妄想には体の内側から湧き上ってくるような感覚があります。
 いてもたってもいられなくなるような、
 どこか突き動かされるような感覚、
 それが妄想なのです。”



内側から湧き上ってくるのが「妄想」である、というのは実に的確な表現だと私は思います。

なぜその妄想に取り付かれているのか説明できない。ただただ、自分の内なる魂がそうさせてしまう。

妄想せざるを得ないことこそ、あなたの人生における使命であり、生きる意味なのだと思います。


周囲の嘲笑に屈することなく、おおいに「妄想」しようではありませんか!



>> つんく♂オフィシャルウェブサイト

人生の肝試し期[2008年08月14日(木) ]

キャリア・アドバイザーの松尾順です。


今でこそトップセールスとして鳴らす人でも、営業の仕事を始めた当時は泣かず飛ばず。半年、1年の間、1件も契約が取れなかったという話をよく聞きます。

当初全く売れなかった理由は様々でしょうけど、おおむね、

セールスパーソンとしてまだ未熟であり、営業活動の「ツボ」を掴めていなかった

ことに加えて、

お客さんの「購入したいタイミング」と、セールスパーソンの「売り込みタイミング」がずれていた

ということが大きいようです。


どんな製品・サービス分野にしろ、すでに何かしらの商品を利用している人が多い今、強烈なセールストークでプッシュすれば売れるということはまずありません。

「セールス力」だけでガンガン売れた時代は既に終わっています。

今は、いつかは買ってくれそうな見込み客と継続的にコンタクトを取りながら、こちらから強引に購入を勧めるのではなく、見込み客の購入したい時期(車で言えば、「車検」のような買い替えをしたくなるタイミング)がやってくるのを辛抱強く待つことがトップセールスの条件なのです。


これは、要するに「売り手」ではなく、「買い手」の都合を優先したセールスですよね。

すぐに成果(販売実績)につながらないため、セールスパーソン側には焦りや不安が生じてきます。

このため、どうしても我慢できない人は、強引な売り込みを展開してしまい、逆に見込み客から嫌われてしまいます。

また、売り手都合の発想にこだわり、すぐに購入してくれそうな新しいカモを常に探し続けているため、以前断られた見込み客が今になって「買いたい」と思い始めたのに、既に接触を断ってしまっているため、別のセールスパーソンに契約を持っていかれてしまうのです。


某生命保険のセールスパーソンは、買い手都合を優先し、見込み客の購入タイミングを待つ時期のことを

「肝試し期」

と呼んでいるそうです。

売れない時期の不安や焦りに打ち勝ち、営業活動が軌道に乗るまでの間、粘り強い営業活動を続けるためには、まさに

「肝が据わっていないとだめ」

なのです。



この「肝試し期」は、営業活動だけでなく、人生のあらゆる場面でやってくるものでしょう。

たとえば、語学や資格試験の勉強もそうですね。

勉強を始めたばかりの半年〜1年は、基礎を固める時期なのでなかなか成果が実感できないもの。

基礎的な事項だけに学習自体が退屈ですし、まだ全体像が見えないため、難しさばかりが先に立ちとてもつらい時期です。

このため、多くの人が3日坊主、3ヶ月坊主で終わってしまいます。


しかし、何事にせよ成功を収めたかったら、肝を据えるしかありません。

何事も最初はガマンです。

精神論を説くつもりはありませんよ。

うまく歯車が回り始め、楽しくなってくるまでの時期は、以前「離陸理論」の記事で書いたように、飛行機で言えば

「離陸のための滑走」

であり、最大の時間エネルギーの投下と、結果を焦らない気持ちを必要とするのです。


あなたが今、なんらかの状況で人生の肝試し期にいるのなら、毎日、丹念にやるべきことを続けましょう。

必ずあなたのガマンが報われる日がやってきます。




*「肝試し期」については以下の記事を参考にしました。

>> 起-動線 『人生の肝試し期』

人の高度成長期[2008年08月07日(木) ]

キャリア・アドバイザーの松尾順です。


いやぁ、暑い!今年は猛暑ですねぇ!

まぁ、夏は夏らしく、それなりに暑いほうが季節感があっていい・・・

とはいえ、最近は、「こんなに暑いのは、やっぱり温暖化の影響もあるのかな・・・?」なんてことも頭をよぎりますから、そうそう気楽なことを言ってられませんね!


季節感と言えば、私が若い頃の8月ってもっとビジネスがスローでした。

暑くて頭もぼーっとしてるし、夏はあまりガシガシ働かなくてもいい季節という感覚をほとんどのビジネスパーソンが共有していたように思います。

以前は、工場を持つ製造業だけでなく、その他の業界の企業でも、お盆になると全社一斉に休む会社が多かったので、

「8月はお客さんにもなかなか会えなくてあまり仕事にならないからのんびりやるか」

みたいな言い訳をしながら、余裕を持って働いていたものです。


ところが、最近はお盆休みの混雑緩和の要請だとか、「お盆休み」のような画一的・強制的な休暇が社員にあまり歓迎されなくなったため、一斉休暇を取り止める企業が増え、今では社員が好きな時に休むことが一般的になりました。

このため、あえて8月はきっちり働いて、9月以降に遅めの夏休みを取る人も増えていますよね。

また、企業競争もますます世知辛くなってますから、自社(自分)だけのんびり休んでるとあっという間に競合に出し抜かれてしまうという危機感のためでしょうか、真夏の照りつける太陽の下、いつもと変わらず皆さん全開バリバリで働いていますよね。

私もその1人ですが。(苦笑)



さて、今この記事を読んでいる方の中には、季節に関係なく、とても大変な仕事をやっていて、毎日残業続き、休みもろくに取れない状況にある方もいらっしゃるかもしれません。

(そこまで忙しかったら、この記事を読んでる暇もないかもしれませんが・・・)

昨今は、忙しくなるばかりのビジネスの状況に対するゆり戻しとして、

「ワーク・ライフバランス」

という言葉が注目されています。


これは端的に言えば、仕事だけでなく、仕事以外の余暇や学習などの時間もできるだけ確保し、仕事漬けの人生になってしまうことを避けましょうということです。

この考え方自体は大変結構なことですし、私自身も目指していることでもあります。

ただ、特に若いうちは学ぶべきこと、身につけるべきことが多いため、そうそう仕事以外のことに時間を割り振ることが難しいのが現実だと思います。

私だってそうでした。



ですから、私はあえて次のように言い切りたいと思います。

「人生のある特定の期間、仕事漬けの毎日があってもいい!」

オリンピックを目指すスポーツ選手の練習漬けの毎日を考えてみてください。

人が、何かについて飛躍的に上達したいなら、その何か以外のことを全て犠牲にして、その何かにひたすら打ち込むくらいのことが必要です。

もちろん、ビジネスパーソンが普段やっている仕事は、さすがにオリンピック選手のように人間の限界に挑戦するようなものではありません。

しかし、労働の対価として相応の報酬をもらうわけですから、プロとしての自覚、そして自分の能力を高めようとする意欲は欠かせません。


入社したての若いビジネスパーソンも、いちおう会社からお金をもらえますよね。

しかし、顧客の期待に応えることのできる能力がつくまでは、一人前になるまでのトレーニング(研修)を生活費をもらいながら受けさせてもらっていると考えるのが妥当なのです。

たらたらやっていたのではなかなか仕事の能力は身につきません。

今はあまり忙しくない人にも、いつか近い将来、他のことにわき目も振らずとことん仕事に打ち込んで、一段高いレベルを目指す必要がある時期が必ずやってきます。

その時がきたら覚悟を決めて仕事に打ち込みましょう。



仕事に集中的に打ち込む時期のことを営業コンサルタントの和田裕美さんは、

「人の高度成長期」

と呼んでいます。


和田さんは、営業パーソンとして成功を収めた方ですが、営業を始めたばかりの頃は、人よりも不器用だったため、何事につけ人よりも時間がかかってしまい、仕事があまりうまくいかなかったそうです。

そこで和田さんは、成果を出すにはより多くの時間を使うしかないと決意し、空を見上げて

「神様、私の時間をささげます。だから頑張るための力をください」

と本気でお祈りしたそうです。

そうして、約3年間、必死で仕事をしたことによって、和田さんは優れた営業力を身につけ、高い成果を出すことができました。

しかも、その高度成長期を越えると仕事が楽しくなってきたし、要領もつかめまて、余裕も出てきたそうです。


何10年もの間、ずっと仕事だけに集中するというのは無理がありますが、ある程度期間を限定して、とことん働いてみたらいかがでしょう。

あなたにとっての「人の高度成長期」を乗り越えるのです。

そうすれば、和田さんのようにきっと余裕を持って仕事がこなせる時期を迎えられますよ。