TODAY DECIDES TOMORROW.[2007年11月29日(木) ]

※この記事は2007年11月29日に「キャリアでざいんBOX」で掲載されたものです。


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


2年ほど前、仕事で都内の某インターナショナルスクールを訪問したことがあります。そこでもらったイラスト入りの可愛らしいグリーティングカードには、次のような一文が書かれていました。


“TODAY DECIDES TOMORROW.”


直訳すれば、“今日が明日を決める”ということですね。特に誰か有名人が言った名言とか、格言ではなさそうです。でも、たった3つの単語だけの短い言葉ながら、とても深い意味が感じられます。私はひと目見てこのフレーズが気に入り、今でも自宅のデスクの前にこのカードを貼っています。




さて、この「今日が明日を決める」という言葉は、今の毎日の生活の中でどんな行動を選択するかが、未来のあなたの人生に影響を与えるということを端的に教えてくれているのだと思います。未来はどうなるかわかりません。しかし、あなたの未来は、あなたがどんな未来を望むのか、そして、その望みを叶えるために、今現在どんな行動を起こすのかによってある程度決まってきます。


もちろん、100%自分の望みどおりの人生が手に入ることはまずないでしょう。しかし、ただ将来の夢もビジョンもなく漠然と毎日を過ごした場合と比較したら、はるかに充実した人生を手に入れることができるはずです。




私は、この言葉をご紹介しようと思った時、ふと『オーロラの彼方へ』という2000年のアメリカ映画を思い出しました。


これは、ニューヨークに住む父親、フランクと、その息子、ジョンとの間の父子の愛情を描いたものです。ジョンがまだ小さい頃、勇敢な消防士だったフランクは消火活動中に殉職してしまいます。それから30年後、ジョンは既に36歳になっていましたが、ふとしたきっかけで父親が使っていたアマチュア無線機を見つけ、遊び半分でスイッチを入れてみました。すると、その無線機から聞こえてきたのは、なんと30年前のフランクでした。当時、ニューヨークの空に現れたオーロラの影響で時空を超えた通信が可能になっていたのです。


実は、ジョンが30年前のフランクと話した日は、フランクが殉職する日の前日でした。そこで、ジョンはフランクに対して、明日の消火活動中にフランクが死んでしまうことを告げ、消防署長の話によれば、別の脱出方法があったことを教えます。ジョンが言ったとおり、フランクは、翌日の消火活動中に絶対絶命の危機に陥りますが、ジョンの言葉を思い出し、無事火事場からの脱出に成功しました。つまり、フランクは死なずに済んだというわけです。こうして、ジョンがフランクの元々の運命を変えてしまったことによって、この映画は思わぬ方向へとストーリーが展開していきますが、これ以上はネタバレになりますので止めておきましょう。




さて、元々の運命でフランクは、消火活動中に誤った行動を選択したため死にました。しかし、未来を知っていた(正確には「過去を知っていた」)息子、ジョンのおかげで適切な行動を選択でき、命拾いできました。言うまでもなく、これはあくまで映画の中の作り話です。現実の私たちの人生では、誰も自分の未来を教えてくれません。したがって、その都度、自分で望ましいと考えられる行動を選択するしかないわけですが、それが、


自分の未来にどのような影響を及ぼすか


をちゃんと考えているでしょうか?


私たちの多くは、消防士のフランクのような生死を分けるギリギリの選択を迫られることはあまりないと思いますが、将来はどうなるかわからないなどと開き直り、無為な毎日を過ごした先には、不幸な人生が待っている可能性が高いですよね。




すいません、止めておくといった前言を翻しますが、『オーロラの彼方へ』の中から、もうひとつエピソードをご紹介させてください。


フランクはものすごいヘビースモーカーだったため、ジョンが火事場での殉職から救った後も、結局は「肺癌」に罹って10年前に死んでしまうという運命になっています。したがって、36歳のジョンにはやはり既に父親はいません。しかし、ジョンは、30年前のフランクにタバコは止めたほうがいいと強く忠告します。そこで、フランクはこのジョンの言葉に従い、タバコを止めるという選択をしました。すると、36歳のジョンの目の前に、年は取っているものの元気なフランクが現れるのです。


タバコを止める・止めないという選択は本人の自由です。しかし、フランクのように、タバコを吸い続けたことによって早死にすることがあるし、逆に禁煙したことで長生きできるという運命に転ぶこともある。どちらにせよ、フランクのある今日時点での選択が将来に影響を与えたことは確かですよね。




“TODAY DECIDES TOMORROW.”


あなたは、明日のために、今日どんな行動を選択しますか?

「D」から始めてみよう![2007年11月22日(木) ]

※この記事は2007年11月22日に「キャリアでざいんBOX」で掲載されたものです。


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


「PDCA」という言葉を聞いたことありますか?


これは、


「Plan-Do-Check-Action」(計画段階−実行段階−検証段階−改善段階)


の各単語の頭文字を取った略語です。


「Action」(改善)の後は、再び「Plan」(計画)に戻ります。つまり、「PDCA」はぐるぐるとサイクルのように回すことになっています。「PDCA」は、一般に「マネジメントサイクル」と呼ばれています。企業経営に限らず、何か物事をやろうとする際には、この順序で取り組むべきであると説明されています。




さて、このサイクルの中で特に重要なのは「Check」(検証)の段階です。計画に基づいて行動した結果(実績)が、どの程度計画通りに進んでいるかを確認し、もし「計画」と「実績」の間に「ずれ」(差異)があれば、そのずれが発生した原因、つまり行動上の問題点を把握し必要な改善をします。もし、そもそも「計画」自体に無理があるようであれば、計画を修正した上で再び実行するという流れを繰り返して、目標に近づいていくというわけです。


先ほど企業経営に限らずと書きましたが、たとえば試験勉強なども基本的にPDCAサイクルで進めれば効果的、かつ効率的です。計画をしっかりと立てた上で行動に移し、かつ細かく行動や計画を見直していくので、無駄の少ない勉強ができるというわけです。



ただ、どんな時でも「PDCA」の順番でやるべきとは思いません。例えば、まったく未知の世界の何かに取り組もうとする時、全体像が見えないため、きちんとした計画を立てることはそれほど簡単ではありません。このため、うんうん唸ってばかりで一向に計画が立てられず、なかなか実行段階に移れないということが起こります。


しかし、よく考えてみれば、計画を立てることが最終目的ではないはず。目指したいゴールに到達することが本来の目的です。そこで、多少の無駄や非効率を承知の上で、最初は粗い計画のまま(あるいは計画なし)でもいいので、とりあえずやれることから始めてみるという手があります。つまり、PDCAの「D」からサイクルをスタートするわけです。


実際に行動してみると、ただあれこれ頭だけで計画を練っていたのとは異なる手ごたえや実感を得ることができます。そしてしばらくして「Check」、つまり検証してみると、まだ直感的なレベルではありますが、「このやり方でいけそうだ!」、あるいは逆に「これではうまくいきそうもないな・・・」という感触があるでしょう。その時点で、しっかりとした計画を立てればいいわけです。



一切行動しようとせず、机上だけで考えて現実離れした計画を立ててしまい、文字通り「計画倒れ」になるよりも、まず行動してみたほうが実行可能性の高い計画が立てやすい。これは、私自身の経験からも言えることです(もちろん、無計画に行動するばかりを続けていたらダメですよ)。


あなたが、いつも計画倒れに終わりがちだという自覚があったら、一度「D」から始まる「
DCAP」のマネジメントサイクルで物事に取り組んでみたらどうでしょうか?

止めることから始めましょう[2007年11月15日(木) ]

※この記事は2007年11月15日に「キャリアでざいんBOX」で掲載されたものです。


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


目の前にコップがあるとします。そのコップには、縁まで水がいっぱいに入っています。さて、このコップにさらに水を入れたい場合、どうしたらいいでしょうか?


別にひねった答えを期待しているわけではありませんよ!(笑)


答えは簡単です。


中の水をまず捨てること。


そうしなければ、新たに水を注ぐことができませんから。



新たに何かを入れようと思ったら、まず既に入っている中身を捨てる必要がある(もちろん、十分に余裕があれば中身を捨てる必要はありませんが)。同じことは私たちの毎日の生活にも言えますね。1日は誰にとっても24時間しかありません。一方で、私たちのスケジュールはおおむねびっしりと用事で埋まっている。したがって、何か新しいことをやろうとしたら、別の何かをやることをあきらめなければなりません。


もし、あなたが、資格取得の勉強などやりたいことがあるけど、なかなか始められないで悩んでいるとしたら、それはあなたのスケジュールがいっぱいいっぱいのまま放置しているからでしょう。実は、私も偉そうなことは言えません・・・。ギチギチのスケジュールを思い切って変えることができず、「やりたいこと」だけでなく、「やるべきこと」でさえ後回しになりがちです。



こうした悩みを抱えている方は結構多いようですね。「やりたいのにできない」という問題の原因は、結局のところ、ほかの用事で時間が消費されてしまうからなのです。日々の忙しさに押し流されてしまっているわけです。ただ、今までやってきたことは「習慣化」(惰性化?)しているのでなかなか止めることができません。一方で、新しく始めたいことには、最初の踏ん切りが必要ですし、意識しないと続けにくいため、習慣化した行動に負けてしまいがち。


ですから、本当に何か新しいことを始めたいのなら、今の自分の生活を占めている行動の一つひとつを見直して、本当に残したいこと以外は、思い切って止めてしまうのです。そうして、まず新しいものが入るだけの「余裕」を作ってあげるのです。


止めることから始めましょう(自戒をこめて・・・)。

組織を変える歯車になれ[2007年11月08日(木) ]

※この記事は2007年11月8日に「キャリアでざいんBOX」で掲載されたものです。


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


「どうせ、俺たちは組織の歯車に過ぎないからなあ!」


サラリーマンの典型的な愚痴のひとつですよね・・・。


私もサラリーマン時代に、上からの命令に対して、たとえ自分としては不服でも従わざるを得ないことに、心の中でこの言葉を何度つぶやいたことか。


実際、自分の意思に反した行動をやらなければいけないのはつらいものです。でも、会社の方針や会社全体の決定に基づき、社員一人ひとりがまさに「組織の歯車」として自分の役割を果たさなければ企業は回りません。この点で、個人の意思よりも、組織の意思が優先されるのは仕方のないことでしょう。


しかし、だからといって、食品会社の製造日偽装など、このところ次々と明るみになった不祥事を見ていると、企業ぐるみでの「反社会的な行為」の歯車としても、社員が素直に振舞うべきなのかはおおいに疑問です。




そもそも、本物の「歯車」は、エンジンやモーターなどの動力機関の動きを伝えるための部品にしか過ぎず、動力機関の動きに合わせるだけしかできない受身の存在ですよね。しかし、私たち人間は、自ら動くことのできる「自律的な歯車」です。


その気になれば、「会社エンジン」の動力に逆らって歯車を止めたり、あるいは逆回転することだってできます。もちろん、一人の歯車だけでは、なかなかパワフルな会社エンジンに抗うことは難しいでしょう。でも、同調してくれる仲間の歯車が増えてくれば、状況が変わってきます。そして逆回転しようとする歯車社員が組織のあちこちに広がっていくと、いつかは会社エンジンでさえ逆回転せざるを得なくなる時がやってきます。




こうした社員の歯車の力は、反社会的な行為にとどまらず、沈滞しきった企業風土の中で、だらだらと惰性で回る会社エンジンをもう一度加速化させ、活力ある企業へと再生させる場合にも有効です。


最初は、多くの社員が「そんなにがんばったって、しょせん無駄。この会社は変わらないよ」などと言うでしょう。しかし、そんな心無い言葉にもめげず、なんとか歯車を早く回そうとし続けると、賛同者がだんだんと増えてきます。そして、全社員の2〜3割ほどが歯車を早く回すようになると、確実に会社は変わり始めるのです。


会社勤めをされている方にとって、キャリアを積む場は企業組織。そこが、不正を働く場であったり、活気のない場であったら、キャリアづくりにはマイナスですよね。会社エンジンを適切にきちんと回し、よりよい方向へと組織を変革できる「自律的な歯車」になりましょう。

回り道の人生だから、味がある[2007年11月01日(木) ]

※この記事は2007年11月1日に「キャリアでざいんBOX」で掲載されたものです。


こんにちは。
キャリア・アドバイザーの松尾順です。


半年ほど前ですが、私が敬愛する経営コンサルタント、阪本啓一さんのメールマガジンで「回り道だよ人生は」というタイトルの回がありました。キャリアデザイン的に見て大変面白い内容だったので、いつかご紹介しようと思っていましたが、前回の「ウサギとカメの法則」と多少関連のある話ですので、今回取り上げたいと思います。



阪本さんは、『企画心』『リーダーこれだけ心得帖』『リーダーシップの教科書』など多数の著作や、欧米のビジネス書等の翻訳の実績を持つ気鋭のコンサルタント。私がメンバーの一人として参加しているバンドのリーダーでもあります。


さて、阪本さんが現在も数多く手がけている翻訳、著述といった仕事は、まさに阪本さんが子どもの時にやりたかったことなのだそうです。阪本さんは小さいころ、「ムツゴロウ」こと畑正憲さんや、北杜夫さんのドクトルマンボウシリーズが好きで、「エッセイストになりたい」と思っていました。ところが、このことを母親に話すと、


「あかん。金にならん。そんなことより、あんたは医者になり。儲かるで」
(原文ママ、阪本さんは関西人です。)


という一言が返ってきた。


そこで、素直な阪本さんは、医学部を目指すことにします。でも、理系はあまり得意じゃなかったようで医学部受験は取り止め。受験前に生まれて初めてできたガールフレンドが「ここ、いいじゃない」と指差した学部を受験します。幸いにもその学部に合格したものの、何を学問する学部なのかは、入学後に初めて知ったそうです。もちろん、学生時代はろくに勉強もせず8ミリ映画に熱中・・・


就職活動も、失礼ながら「行き当たりばったり」だったようです。そして、先輩に誘われるまま旭化成に入社。しかし、予想も希望もしていなかった「建材事業部」に配属され、入社早々9年間も地方勤務です。やる気がなくなり、ぼやいてばかりの毎日。阪本さんは、この時期のことを「塩漬けにされた」と表現しています。




ところが、ある時ふと天啓のように「どうしても会社を辞めるなら今しかない」「この本(Permission Marketing)を翻訳、日本に紹介するのはわししかいない」「独立創業ならニューヨークやんけ!」と、「根拠のない思い込み」で次々と自分の人生を展開していきます。そして今、阪本さんは横浜に事務所を置き、ユニークな分野へと事業を拡大中。著作、翻訳の案件も多数抱えていることは前述した通りです。


阪本さんは、メルマガの中で次のように書いています。


「根拠のない思い込み」で突っ走った結果が、現在のぼくです。そして、ぐるり、ぐるりとめぐって、こどものころにやりたかった仕事をさせていただいているのです。そう、まさに、自分の力の及ばない、どこか遠い「天」のようなところで航路図ができていて、流された結果ここまで来た、という感じ


この阪本さんのコメントを読むと、「運が良かっただけかな?」と感じてしまうかもしれませんね。でも、阪本さんは、やる気を失くしていたサラリーマン時代も、自分で必死に勉強していたのです。また、当時からメールマガジンを発行するなどして、積極的な情報発信を継続していました。私は当時からのメルマガ読者の一人です。そうやって、おそらく無意識に、小さいころからの「夢」の種火を消さずに燃やし続けていたのでしょう。ある日とうとう、この種火が阪本さんの心に火をつけ、人生初の翻訳、創業へと踏み切ったのでしょう。


阪本さんは、行動のきっかけを「根拠のない思い込み」と書いていますね。でも、自分の夢に客観的なデータなどそもそも必要ありません。自分が、心からそうしたいかどうか。周りがなんと言おうが、やりたいか。そして、「自分ならやれる」という確信があるか、が重要なのです。


そしてまた、阪本さんは


人生にショートカットはない。回り道だから、味がある。


とも書いています。


そう、私たちの多くは、仕事や人生において目指す夢や目標に、なかなか一直線に向かうことができません。「自分の人生、回り道ばっかり!」と感じる時がほとんどかも知れません。でも、最短距離でピューっと目標に到着するよりも、あれこれと遠回りして、いろんな経験をしながら目標にたどり着いた方が、どれだけ人生に深みがでることか。キャリアにしろ、人生にしろ、目標に到達することより大事なのは、目標に至るプロセスのヒダの大きさ・深さではないかと思います。阪本さんは、自らのキャリアを語りつつ、このことを教えてくれているのでしょう。