キャリア・アドバイザーの松尾順です。
‘Name Dropper’(ネーム・ドロッパー)
という英語の意味、ご存知ですか?
これは、
「私はテレビによく出てる芸能人の誰々さんと知り合いだよ!」
などと、有名人の名前を挙げて自慢する人のことです。
‘Name Dropper’という英語を文字通り解釈すると、
有名人などの「名前」(Name)が頻繁に口からこぼれる(Drop)人
ということでしょうか。
こうした英語の慣用語って他にもいろいろありますが、ほんと英語って簡潔に表すことができる言語ですよね。
日本語で同じ内容を表そうとすると、前述のように長ったらしい説明文になってしまいます。
さて、有名人の知り合いなどと得意げに吹聴するネーム・ドロッパーに対して、聴き手としては、ポジティブ、ネガティブの両面の印象を持つものです。
ポジティブ → その人を知ってるってことは、この人も結構すごい人かも!
ネガティブ → 自分はたいしたことがないから、有名人を引き合いにだすんだな!
意識的か無意識かはさておき、ネーム・ドロッパー自身は、口に出した有名人ではなくて、自分のことをすごいと思って欲しい。
つまり、有名人の「威」を借りて自分を良く見せようとしているわけですね。
まぁ、本当に有名人となんらかの形でつながりがあるのなら、優れた人脈構築力があると言えないこともありません。
ですから、そうした関係を口に出すことで、実際に権威付けができる場合もあるでしょう。
しかし、多くの場合、聴き手からはネガティブな印象を持たれるだけです。
有名人の名前を出すことで、逆にネーム・ドロッパー本人の「ダメさ加減」がより強調され、「すごい人」というよりもむしろ「かわいそうな人」と同情されてしまう・・・。
私たちは、自分に対する本当の自信や確信が持てるようになるまではどうしても外部の力を借りて自分を本質以上に良く見せたくなるものです。
有名人の名前を挙げることだけでなく、現在の地位や収入に照らすと明らかに不相応な高額のブランド製品(高級車や装飾品など)を買うのも、それらの製品が持つ高いブランドイメージを使って自分を良く見せたいからですね。
こうした高額なブランド製品は、英語では
‘Ego Booster’(エゴ・ブースター)
と言うことがあります。
文字通りは、
自我(エゴ)を拡張、あるいは肥大化させてくれるもの
という意味です。
高額なブランド商品のエゴ・ブースターとしての役割を100%否定するわけではありません。
例えば、大事な商談の席に一流デザイナーのスーツ(決め服!)を着ていくことで、いつもよりも自信を持って話ができるといったポジティブな効果も確かにあります。
しかし、本来は事業に成功を収めるなどして得た現在の地位や収入を象徴するものとして高額な製品やブランド製品は購入すべきものです。
また、有名人などとの関係も、自分がなんらかの分野の第一人者になり、対等の関係でつきあえるのが本来でしょう。
どんなに着飾っていたとしても、有名人の名前やブランド製品を取り去ったら、
「タダの人」
に戻ってしまうのでは、ほんと「かわいそうな人」です。
有名人やブランド製品の権威を借りることなく、裸一貫で勝負できる実力、周囲からのゆるがぬ信頼を得るのが、ビジネスパーソン、いや社会人としての究極の目標ではないでしょうか。
ネーム・ドロッパーになるな!
エゴ・ブースターに頼りすぎるな!
自分を磨いて真の実力と自信をつけよう!
*ネーム・ドロッパーの話は、日経ビジネスアソシエ(2008.10.21)連載中のマックス桐島氏の人気コラム『ハリウッド発 イケてる大人への羅針盤』をヒントにしました。