キャリア・アドバイザーの松尾順です。
キャリアの話題からちょっと離れるようですが、
「ダイエット」
(すなわち「減量」のための食事や運動療法)
を続けるのがなぜ難しいのか、その本質的な理由をご存知でしょうか?
世の中には様々なダイエット方法がありますけど、減量に成功するポイントは、摂取カロリーよりも消費カロリーを増やすことに尽きますよね。
具体的には、食事量を減らして摂取カロリーを減らす。
また、運動量を増やして消費カロリーを増やす。
どちらか一方だけでも相応の効果がありますが、この両方を並行してやれれば、体重が減るスピードが早くなります。
ただ、社会人の場合、時間的な問題もありますから、なんらかの「運動」を継続するのはなかなか大変です。
一方、「食事」は毎日のことですから、その気になれば食事量をコントロールするのは簡単なはず。
ところが、食事を制限するのは実際にはとても難しいですよね。
私自身も数年前、運動+食事制限をやって、いったんは10キロ近く体重を減らすというダイエット成功体験がありながら、その後リバウンドしてしまった体重を減らすための食事制限には何度も挫折しています(今も再挑戦中ですが・・・)。
実は、ダイエットが難しいのは、
遺伝子レベルで組み込まれているとも言える
「生物的な本能」
に人間も支配されているからなのです。
人間社会では、特に日本のような国に住んでいると、普通に生活している限り、すぐに飢えるという危機に直面することはありません。
ところが、生物界全体として見ると、すぐに飢える心配をしなくていいという状況は、極めて例外的です。
ほとんどの動物は、今目の前にある食べ物(獲物)が取れなければ、すぐにでも飢えて死んでしまうという毎日を送っています。
ですから、「生きる」ためには、なにはさておき、目の前の食べ物(獲物)を確保することが最優先事項になってしまうのです。
前述したように、これは本能的な欲求から来るものです。
生物の一種である人間もまた、この本能的欲求から逃れることができません。
ダイエット中にも関わらず、訪問先で、おいしそうなケーキが目の前に差し出されてしまうと、
「まぁ、断るのは申し訳ないし、今日くらいはいいか!」
などと言い訳しながらつい食べてしまうんですね・・・。
さて、身近なダイエットの話を通じて、私が何を言いたかったかというと、
人間を含む生物は
「生きる」(生命の維持)
という究極の目的のために
「短期的思考」
で行動するのが常態である
という点です。
短期的な思考は、食べ物に限りません。
私たちは、1週間後、1ヵ月後の楽しみより、目先の楽しみに心を奪われるようにできているのです。
また、目先の苦痛や危険を回避することを最優先するようになっているのです。
それが自然界において
「生きる」
ために最も有利な行動だからです。
しかし、人間だけが、こうした短期的な思考を乗り越え、長期的なメリットや目標のために目先の楽しみやおいしいものをあきらめることのできる力を持っています。
すなわち「意志の力」です。
おおげさな言い方になるかもしれませんが、本能に支配されるのではなく、自分の「意志の力」を駆使することが可能だったからこそ、人間は文明を発展させることができたのかもしれません。
もちろん、目先の楽しみを優先したいという本能的な欲求に打ち勝つのは簡単ではありません。
まずは、そもそも私たちは「短期的思考」するのが普通なのだ、という点を理解しましょう。
その上で、長期的なメリットや目標の実現のために、どんな工夫をすれば、目先の楽しみをうまく振り切り、やるべき行動を取れるようになるか、考えたいものです。
難易度の高い資格試験に合格した人や、地に足の着いた立派な事業に成功した人は、皆、短期的な思考を克服するために様々な工夫をしているものですよ。
なお前回、「反応と判断」というテーマの記事を書きましたが、今回の話に照らすと、
「反応 = 本能的なもの」
「判断 = 意志力」
だと言えます。
短期的な思考が普通だからこそ、長期的な思考ができる人が成功を手にするのです。