キャリア・アドバイザーの松尾順です。
先週の記事、
「人脈を広げるための3つのポイント」
の中で、友人が言った次のような言葉をご紹介しました。
「人は、自分では偉くなれない。人が自分を偉くしてくれるんですよ。」
企業で働いてらっしゃる方にとって、これはとりわけ実感のある言葉として響くのではないでしょうか?
今いる組織の中で自分が昇進・昇給できるかどうかは、直属の上司の評価(査定)次第なわけですから。
ですから、なんとかして結果を出して、自分の能力や将来性を上司に認めてもらいたいと考えると思います。
近年は「成果主義」を導入する企業が増え、当初に定めた明確な数値目標を達成しさえすれば、高い評価をもらえるようになっているところも多いでしょう。
それでも、上司の評価には感情的・非論理的な要素が入り込みます。上司も人の子です。やはり部下にも好き嫌いがある。好きな部下に対しては思わず甘い評価をしてしまうものです。
では、あまり相性の良くない上司の下で働いている部下の立場としては、こうした評価における自分の不利な状況においてどう対応すればいいと思いますか?
もちろん、嫌な気持ちを抑えながら、表面的には揉み手をしつつ、軽薄なお世辞を並べて上司を喜ばせるようなことをする必要はありません。
しかし、好き嫌いといった個人的な感情はさておき、上司がどんな人なのか、どんな思想や価値観を持っているのかを理解することには努めるべきでしょう。
もし、上司が持っている価値観が、仮にあなた自身のそれとは相反するものだとしてもそれは仕方がないことです。
私たちは、しばしば自分を中心に考えてしまい、自分とは異なる価値観を否定しがちですよね。しかし、考え方の違いを否定せず、単に違うだけだと考えるのです。
「上司は、自分とは異なる価値観を持っているのだ」
と相手の考え方を理解し認める。
仕事を進める上では、当然ながら、上司と自分の考え方の違いをすり合わせて両者が納得できる道を探る必要性がありますが、お互いに否定から入るのではなく、それぞれの違いを認めた上で、双方が歩み寄るという形であれば、たとえ相性は悪くても仕事自体は円滑に進めることができますし気分良く働けるはずです。
前述したように、自己中心的になりがちな私たちは
「なぜ自分のことを理解してくれないんだ、認めてくれないんだ」
としょっちゅう愚痴ってしまいますが、そもそも自分が認めて欲しければ、まずあなたが上司のことを認めることから始めるべきなんですよ。
(これは、友人、恋人との関係にも同じことが言えますけど)
ちなみに、昨年引退したプロ野球選手、古田敦也氏は、ヤクルトでの現役時代、野村監督に徹底的にしごかれたことはご存知かと思います。
もちろんそのしごきは、野村氏が古田氏の才能を認めてのことであったわけですが、古田氏もまた、野村監督に認めてもらうためにひそかに努力していたことをご存知でしょうか。
古田氏は、野村監督の著書をすべて読み、野村監督をよく知っている人の話を聞き、監督の求めている野球がどんなものなのかを徹底的に研究したのです。
そして、野村氏の求める「考える野球」に応えるためには、つねに勉強し続けることが大事だと気づき、移動中などでも常に本を読んでいたそうです。
おかげで、野村監督からは、
「あいつ(古田)は勉強していた」
と高い評価を受け、厳しいながらも手厚いマンツーマンの指導を通じてプロ野球選手として大成することができたのです。
自分が認めてもらいたければ、まずあなたが相手を認めましょう。