キャリア・アドバイザーの松尾順です。
“あなたは、何のために働いているんですか?”
こう質問された若者の多くは、
“やっぱ、お金のためですかね・・・”
と答えます。
まぁ現実問題として、貨幣経済で回っている今の日本に生きている限りは、金を稼がないことにはまともな住居や衣服、食事にありつけませんから、当然の答えではあります。
(親に依存しているパラサイトな人々はさておき!)
しかし、働く理由として「お金のため」としか挙げられないのは、あまりにも寂しいことですよね。
おそらく、まだ
「働くことの喜び」「働くことの幸せ」
を実感できていないのでしょう。
ただ、若いうちは、金を稼ぐ以上の、働く意義・意味がわからないのは仕方がないと思っています。
なぜなら、社会人になってお金をもらうようになっても、実際にはまだまだ半人前です。
人様の役にはろくに立たず、むしろ周囲に助けられお世話になってばかりだからです。
取引先や先輩からいろいろと教えてもらって、こちらが感謝することはあっても、相手から感謝されることはめったにありません。
しかし、そうした雌伏の時期を乗り越え一人前になって、ようやく周囲から
「よくやってるね」と褒められたり、
「ありがとう」と感謝されたり、
「あなたがいなけりゃ困る」などと言われて、必要な存在として認められた時、
初めて本当の意味での
「働く喜び」「働く幸せ」
を実感できるのです。
つまり、働く意味が「お金だけじゃないこと」に気付くのです。
先日、カンブリア宮殿(テレビ東京)に登場された、日本理化学工業会長の大山泰弘氏のお話は、働く喜び、働く幸せについて深く考える機会を与えてくれました。
同社は従業員74人のうち、54人が知的障害者です。
「知的障害を持つ子たちを大山さんの会社で雇って欲しい」
と養護学校の先生から繰り返し頼まれ、根負けして2人の少女を1週間だけ就業体験させたのが始まりでした。
与えられたのは簡単な作業ながら、2人は一生懸命に働きました。
そして、その熱心さは社員全員の心を打ち、
「みんなでカバーするから彼女たちを正式採用させてほしい」
と社員たちが大山さんを取り囲んで頼んだそうです。
こうして、2人は同社で正式に働くことになるのですが、大山さんには1つだけわからないことがありました。
それは、毎日毎日、時につらい思いをして働くよりは、どう考えても施設でゆっくり、のんびり暮らした方が幸せなはずなのに、彼女たちが仕事でミスをしたときなどに、「施設に帰すよ」と言うと、泣いていやがったことです。
そこで、ある時、法事の席で一緒になった禅寺のお坊さんに上記のことを聞いたところ、明快な答えが返ってきたのでした。
「そんなことは当たり前でしょう。人の幸せは、
1.人に愛されること
2.人にほめられること
3.人の役にたつこと
4.人に必要とされること
です。そのうちの、
2.人にほめられること
3.人の役にたつこと
4.人に必要とされること
は、施設では得られないでしょう。
この3つの幸福は働くことによって得られるのです。」
大山さんはこのお坊さんの言葉を聞いて目からウロコが落ちたそうです。
「真の幸せは働くことにある」
私たちは目先の仕事に追われていると、この「働くことの本質」をつい見失いがちですよね。
もしあなたがまだ働くことの幸せ、喜びを実感できていないのなら、ただお金のためではなく、また上司に言われたことを言われた通りにこなすだけじゃなく、お客様や上司・同僚の役に立ち、喜んでもらえるためにどのような働き方をすればを良いか、考えてみてください。
そう考えて働いていれば、そう遠くない将来に、働く喜び、働く幸せであなたの心が満たされる時が必ずやってきますよ。
*本文中でご紹介した日本理化学工業のエピソードは、
『日本でいちばん大切にしたい会社』
(坂本光司著、あさ出版)
でも読むことができます。