キャリア・アドバイザーの松尾順です。
現役で活躍されているビジネスパーソンの中で、講演家として知られる中村文昭さんと並んで、最も尊敬する方のひとりが、幻冬舎社長の見城徹氏です。
残念ながら、見城氏と直接の面識はありません。
ご著書を読んだり、出演されたテレビの情熱大陸などを見て、
「なんだかすごい人のようだなぁ・・・」
と思っていただけです。
しかし先日、見城氏の講演会に参加し、至近距離で生のお話を聴いて、改めて本当に魅力的な人だと思いました。
さて、私が見城氏のことをすごいと感じた点はたくさんあるのですが、なかでも、若い頃から辣腕編集者として名を馳せ、また幻冬舎を立ち上げ、短期間で上場に導く、という成功と最も密接な関係がありそうな点を3つ挙げたいと思います。
● 誠実さ
見城氏は、20年以上のつきあいのある方を講演会にゲストとして呼び、対談形式で話をされたのですが、そのゲストの話で印象に残っているのは、
「見城氏は約束を守る人」
という言葉です。
見城氏自身も、どんなことがあっても約束は破らないようにしているとのこと。
待ち合わせの時間などにも遅れたことはないそうです。
これは、相手に対する配慮、思いやりの深さの反映ですね。
誠実なお人柄であることがうかがえます。
見城氏は、初対面の人との挨拶の際にいつもやっていることを話してくれました。
それは、名刺交換する際、たまたま名刺がなくて渡せなかった場合、見城氏は、その方に翌日、自筆の手紙とともに、自分の名刺を必ず郵送するということです。
これはなかなかできることではありませんよね。
しかし、上場企業の社長として多忙を極める身でありながら、見城氏は、相手が誰であれ欠かさずやっているのです。
それだけ相手に対する「礼節」を大事にされているのだそうです。
●真摯さ
見城氏は、角川書店時代から、幻冬舎を創業して現在に至るまで辣腕編集者として、数々のベストセラーを生み出してきました。
見城氏が口説き落とした方々はそうそうたる人々。
例えば、五木寛之、林真理子、村上龍、宮部みゆきなどなど。
あちこちの出版社から執筆の依頼が殺到している有名作家ばかりですから、軽い気持ちで本を書いてくださいと頼んでも門前払いされるだけです。
ですから、見城氏は、執筆の依頼をする方の著書を片っ端から読み、自筆の手紙をしたためます。
その手紙の中では、自分なりに作家の作品を咀嚼し、気付いた点を指摘して、相手の作品を表面的ではなく、深く読み込んでいることを示すのです。
作家たちは、こうした見城氏の真摯さに心打たれ、ぜひ見城氏と一緒に仕事をしたいと思うようになるだけでなく、全幅の信頼を置くようになっていくのです。
●率直さ
見城氏は、自分の長所だけでなく、短所を直視しています。
目をそむけることはしない。また、自分の中にある弱さも隠そうとしません。
若い頃には、例えば、新宿のゴールデン街で作家の中上健次とともに毎日のようにケンカをするような時期もあったそうですが、そうしたことをあけっぴろげに話してくれました。
見城氏は、
「私は自分の人生を真剣に生きている」
と言っていたのですが、自分自身の人生をまるごと受け入れていて、何も後悔していないのです。
恥じることもない。だから、ありのままを話せる。
ビジネスパーソンとして、ものすごい実績を上げた方でありながら、彼の驚くほどの率直さ、また謙虚さに人は魅了されてしまうのです。
ただ、見城氏の率直さの背景には、とことん努力しているのだから、相応の実績が出て当然だという、揺るがぬ強固な自信の存在を感じました。
私たちは、ビジネスの世界で成功を収めた人に対して、
「あの人は運が良かっただけだよ」
などとやっかみ半分で言いがちです。
しかし、「運」だけで何十年にもわたって成功し続けることはできません。
ですから、圧倒的な努力を継続してきた見城氏は、しばしば次のように言って嘆くのです。
「これほどの努力を人は‘運’と言う」
しかしなんと言われようと、見城氏は圧倒的な努力をひけらかすことなく、これからもずっと続けていくに違いありません。