2020.01.07 08:29

 卒業生のある生徒がこういうことを語っていました。彼は非常に聡明な人間だと私は昔からずっと思っています。
 塾で勉強していると、すごい仲間がいる。ここまで勉強するのかという仲間がいて、当然成績もいい。それこそーーいつも書いているようにーー英語の音読20回どころか、暗記するまで読み続ける。話してみると、自宅ではテレビもほとんど見ずゲームもまったくやらずに勉強ばかりしているらしい。すげえなと感心する反面「ぼくはそこまで勉強を好きになれない」と強く思ったそうです。
 
 しかも肯定的に考えた。それはもはやどう生きるかの問題であって、人間のいい悪いとは違う側面がある。彼自身は毎日テレビも見たいしゲームもしたい。勉強をしなければいけないということはわかっているものの、何もかも犠牲にして勉強だけに打ち込む人生を送るつもりはない。
 当然勉強ばかりしている生徒ほどは点数をとれません。しかし彼はそのことはわかっていると言っていました。「勉強好きではない自分が、勉強が大好きな彼らより点数をとってしまったらまずいじゃないですか」と笑顔を見せる。
 
 誤解のないように書いておきますが、彼もまた非常にいい私立高校から難関大学に進学しています。それだけの頭脳の持ち主ではあるわけですから、確かにもっともっと勉強だけに打ち込んでいればさらに点数だの偏差値だのは上がったのでしょう。しかし、生き方としてはじめから選択しなかったというわけです。
 これは非常に大人びた考え方で、ご自身がきちんと見えているのはりっぱなことだと感じます。
 
 世の中、いろいろな人間がいて機能しています。全員が勉強が大好きでそれ以外のことに目もくれないということになったら、非常に痩せた貧しい世界になるでしょう。勉強ばかりしている人がいてもいいですが、あなたがそうならなければいけないという理屈はありません。「さっぱりモチベーションが上がらなくて困る」と相談に来る生徒がいますが、要するに「そこまで勉強を好きになれない」と示唆されているわけですから、勉強が好きになれないご自身を責めることなく肯定しながら対策をたててください。
 
 私自身、中学高校時代「やればできる」と言われて非常に心外だったことを覚えています。やればできたとしてもやらないと自分は決めているのだから、外野から余計なことを言わないでほしいという気持ちでした。私は当時から変わった文学書や哲学書などを好んでいて、自己の本質ということをさかんに考えました。どこに受かるかということから逆算して現在を生きようとはまったく思いませんでした。人それぞれで、正解も不正解もないものです。
 
 ご自身がどうある「べき」かではなく、ご自身がどういう人間なのかという本質的なことを基本に置かれるのは正しい生き方でしょうし、周囲はその選択を尊重するべきであるとも思います。
 大人の世界でも、もっともっと働いて偉くならなくてどうするんだ! などと他者に強制するのはパワハラの一種で、慎むべきであるということになってきています。ご自身にパワハラをなさらないように伸び伸びと考えてください。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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