2018.03.11 01:54

 ときどき、こういうことがあります。生徒がやって来る。学年は関係ありません。ここはどうしてこの選択肢なのですか? と質問してくる。正解と生徒の解答を見比べてぎょっとするときがある。
 たとえば正解が「うんと喜ばせてあげたいから」だったとしますね。生徒が選んでいる解答は逆に「うんと困らせてやりたいから」になっていたりする。話しているうちに、その生徒の特質としてそういう解釈が出てきていることがわかります。
 
 つまり人生観が若干意地悪なのです。人間的にではないですよ。どなたかに意地悪をしたりするという意味ではありません。ただ世の中に対する見方が皮肉に満ちていたり冷笑的すぎたりする。「どうせこんなことうまくいきっこないんだから」という判断を優先してしまう。
 すると登場人物の心理状態もまた皮肉に満ちた冷たいものになってきます。ご本人の見方が出てしまいますからね。
 
 そうなるとちょっと大変です。昔、男の子が虫をつかまえて女の子に見せるシーンがありました。大きな声をあげてまず女の子の気を引いた。女の子が喜んで近づいてくると今度はちょっと冷たく無表情に虫を見せます。そのときの男の子の心理を問う問題で、女だからこんな虫も知らないのかと軽蔑する気持ちと書いた生徒がいました。
 この場面「軽蔑する」というのは的外れですが、彼自身そう感じるのでしょう。当然のように書いている。
 
 男の子は女の子とのやりとりがうれしいものの、照れがあってちょっと不機嫌そうにしているのではないかねと説明するのですが、納得のいきかねる表情を浮かべていました。
 健全な情緒の成長も大切なところですね。情操的な豊かさをどれだけ吸収してきたか。かわいそうなものに素直に涙を流してきたのかどうか。やはり常に点数のことしか考えられずに成長してきたというのではちょっと心配なのであって、何がうれしくて何が悲しいか一般的な心理は理解できるようにならないといけません。
 
 今年ある最難関の私立男子校の入試問題に、主人公が最後の最後で気に入っていた帽子を引き裂いて踏みにじった理由を書かせる問いがありました。繊細な人間でないと上手に説明できないと思います。と同時に、高校側は確実にそういう情緒豊かな生徒を求めている。感情の豊かさは、人間を正面から支えるものだと思います。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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