2015.11.16 09:52

 品という言葉がありますね。上品だとか下品だとか。少年期、私は下品というか野卑な感じにあこがれていたときがあります。
 ある海外の映画スターのことを悪く書いた記事を読んだ。そのスターは美形ではあるけれども下品である。タバコの吸い方やコーヒーの飲み方なんかにそういう要素が滲み出ている。であるから、知性と教養と洗練さを好む本国ではあまり人気がない。ところが、日本人はそういうことがわかっていないから外見だけを見てきゃあきゃあ言っている・・・という論調でした。
 
 私はこの「美形だけれども下品である」という表現にちょっと感動した。それともう1つ、こういう出来事があった。
 中学1、2年生のころのことです。どこかに遊びに行った帰り友だち3人(すべて同性です)とデパートのレストランで食事をしました。渋谷東急本店の上のほうの階でしたよ。細かいことは忘れてしまいましたが、私は肉料理を食べた。ナイフとフォークを使って食べるような料理でした。みんな思い思いのものを食べた。
 
 夕暮れどき、窓の外から渋谷の街が見えた。友だち同士で食事するのはーー当時はファーストフード店などなかったのでーーなかなか刺激的な経験でした。非常に快活な気分でみんなでお喋りしながら食べていたのですが、1人の上品な友人が私の食べている肉片を見て「あ」と小さく声を上げた。
 私は細かい作法を知らずに左のほうから順番に切って食べ進めていたのです。いまでも詳しくはわかりませんが、普通は右から切りますね。
 その男はどうしても気になるらしく、ちょっといいかなとわざわざ声をかけてきて、私のナイフとフォークを使ってひょいと肉の向きをひっくり返した。
 
 非常に器用な手つきで一瞬のことでした。一瞬のことでしたが、こちらのダメージはとてつもなく大きかった。取り返しがつかない恥ずかしいことをしたと感じた。同時にこういうことを知っている大人の彼には成績なんかいくらよくても全然かなわないというようなことを思い知らされた気持ちもありました。何かーーわからない分野でーー自分は決定的に負けている。
 その恥ずかしさはその後も長いこと自分の人生の底流に流れていました。肉の向きを直した少年にいつまでもいつまでも笑われているような気がする。そんなわけがないのですが忘れられない。
 
 そのことも関係していて「下品になってやる」と変なことを考えた。勉強も大切ですが、全体的な生活力というか人間力はもっと大切です。子どもの世界でも、勝った負けたはそんなところではっきりしてくるように感じます。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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