2015.01.03 05:28

 いやー、感動しましたよ。感動することはいろいろあるのですが、こんなに感動したのは久しぶりです。
 大晦日、人間対コンピュータの将棋対局がありました。ニコニコ動画で中継されていた。大晦日は教室で仕事をしていましたからまさか見るわけにはいきません。元旦の朝になって(どうなったかな?)と見てみました。ところが、そんな軽い気分ではすまされない長時間に渡る人間ドキュメント番組になっていました。
 
 対局者は私がときどき尊敬する棋士として名前をあげる森下卓九段です。以前、コンピュータとの対決で負かされている。そのリベンジマッチという位置づけでした。
 彼は今回ある条件を出してきた。人間というのはうっかりミスをする。いわゆるポカというやつですね。それさえなければいまもまだ人間(棋士)のほうが絶対にコンピュータより強いと主張しています。で、研究しながら対局させてほしいと申し出ました。盤の近くに研究用の盤を置いて動かしながら手を決めていくわけです。
 
 動画の時間が20時間近くなっていたのであれ? と思いました。持ち時間は各3時間ずつなので休憩時間を入れてもそんなに長くなるわけがない。延びに延びたところで10時間ぐらいで片がついているはずです。午前10時対局開始ですから20時間といったら元旦の朝になってしまう。変だなと思いつつ早送りしながらーー20時間は見ていられないですよーー見てみました。
 すると驚くべきことに本当に20時間ずーっと対局していた。それをまた中継し続けた。年が変わり朝が来た。結果は圧倒的に人間有利のまま「指しかけ」という裁定が下されました。要するに引き分けみたいなものです。
 
 コンピュータはどんなに悪くなっても投げません。まだまだ粘りそうな局面でした。最終的にはっきり勝つまでにはさらに何時間もかかるでしょう。50歳近い森下先生はもちろん一睡もしていません。続けることはできても人間には人間なりの配慮も必要でしょう。運営にたずさわる方々の疲労もピークに達しています。
 それにしても森下先生はりっぱでした。途中、対局用の盤と研究用の盤を行ったり来たりするときちょっとふらついている様子だったので心配したのですが、さまざまな所作からーー伝わるものですーー精神の高潔さを感じました。
 
 たかがボードゲームだという見方ももちろんあるでしょう。ひと晩じゅう王さまを追いかけたり追いかけられたりし続けて、何が面白いのだという考え方も一理あるとは思います。
 しかしあの動画からは、生きる意味みたいなものを考えさせられる感覚が残りました。「わからん、難しい」と独り言を呟きながら(対局者の声が拾えるようになっていました)盤から盤へと慌しく移動し続ける森下先生の姿は、打ちこむ人間の美しさを改めて表現していたように思います。何に打ちこむかは問題ではありません。やるときは徹底的にやるのです。
 お正月早々じつにいいものを見ました。今年も頑張って生きることにします。
 
 
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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