2014.08.21 11:32

 「受験」勉強ばかりしていてもなかなか勉強そのものはできるようにならないものです。もっと大きな何かが必要です。
 私が現在見ている中1のクラスにすばらしく聡明な生徒がいます。国語だけではなくどの教科もできる。慌てなくてもいずれ秘密は明かされる(?)だろうと思っていました。わざわざ呼んで「きみはどういう勉強をしている?」などと質問しなくても、何日か一緒にいれば自ずから理由はわかってくるものです。
 
 テキストに向田邦子さんの文章が出てきました。生前の姿をテレビや雑誌で何度か拝見しているので「さん」をつけたくなってしまうのですが、特別な意味はありません。
 向田さんの話を私がちらりとしようとした。すると彼は小さな声で「飛行機事故・・・」と呟きました。本当に小さな声で。
 そもそも向田邦子さんの名前を聞いたことがある中学1年生というのがどれぐらいいるでしょうか。飛行機事故で亡くなったのはもう30年以上昔です。高校生でも知らない方はたくさんいますよ。
 
 私は授業を中断して、きみはどこでそれを知った? と質問してみました。みんなのまえで目立ってしまうのは好まないという感じで「うちの人が・・・読んで・・・」みたいな返事でした。ひょっとすると彼自身もエッセイぐらいは読んだことがあるのかもしれません。
 彼はそのまえに太宰治が出てきたときも静かに反応していました。向田邦子さんをご存知なぐらいですから太宰治、夏目漱石、芥川龍之介・・・あたりは当然いろいろ知っているでしょうね。順番的にそう思います。
 
 要するに教養ですね。そういうものがーー運よくーーふだんの生活のなかでどれだけ身についているか。
 勉強として向田邦子さんに出会う・・・というのはある意味で「痩せた」経験でしかないでしょう。面白がっておうちの方のお話を聞いたり楽しみのために読んでみたりという経験のほうが分厚く心に残るものです。「教養の複線」(?)が太い子は、やはりできるようになります。
 周囲の大人(ご家庭だけとは限りません。私たちもそうです)はそのへんを刺激してやらなければいけないと思います。
 
 以前志賀直哉のある小説について私が「つまらなかった」と正直な感想を述べたら、すぐにその文庫本を買ってきた女子中学生がいました。「どれぐらいつまらないか確かめようと思いました」というのです。そして「読みはじめたばかりですけど私にはけっこう面白い」とおっしゃっていた。そうした知的好奇心がすぐ発動するかどうか。
 そのあたりに「すごく」できる生徒の秘密があると感じています。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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