2014.07.16 13:40

 ときどき16歳のころの自分に会ったらどんなことをアドヴァイスするだろうと考えることがあります。似た話は以前も書きましたかね。
 相手(16歳の私)は混迷の中にいますから、間違いなく生きることについて助言を求めてくるでしょう。あのころーー1970年代の初期ーー自分は非常に生きにくい感覚を抱いていました。両親のことも学校の先生のことも信用していなかった。大人で多少なりとも信用していたのは家庭教師の大学院生ぐらいで、あとはぜんぶ敵視に近かった。「ミュージック・ライフ」誌ばかり読んでいました。難しい子どもだったと思います。
 
 そのつらさみたいなものを覚えているので、具体的にアドヴァイスしてやりたいとは思う。しかし、結局何も言わないことが本人のためだという結論に落ち着くでしょうね。
 たとえば何々大学は落ちるから受けないほうがいいよとか、どうせ相手にされないから何々さんを好きになっても時間のむだだよとか、何歳のときにくだらない買い物をして後悔するから気をつけなさいとか言ってしまったら、結果としてどう考えても現在の私ではなくなってしまいます。間違いなくほかの人間になってしまう。
 
 「いま」と「ここ」を肯定してよりよく生きようという意志を持っている現在の自分になるためには、それこそ大量のーー世間で称するところのーー失敗の集積が必要なのであって、逆の言い方をすればどの失敗も私が私になるためのかけがえのない宝みたいなものです。
 せいぜい「どの瞬間も結果を考えずに全力で生きろ」とか「善悪にとらわれずにおのれの直観に従って進め」とか、そんなアドヴァイスしかできないですね。当時の自分が求めていたのは見通しのきく知恵でしたから、16歳の私はがっかりすると思います。
 
 私は息子にもあまり具体的なアドヴァイスはしてきませんでした。彼がこれまでに経験してきた、そしてこれから経験するであろうたくさんの失意や失敗が、彼という人間をいっそう彼らしくしてくれるだろうと期待しています。
 中学生(高校生・大学生)の皆さんも失敗を恐れすぎないことです。受験では全勝できないかもしれません。親友と別れることになるかもしれません。好きな人にふられることもあるでしょう。しかし、そのときそのときを真剣に生きていけば、必ず1つの人生観(それぞれ違う)ができあがってきます。その人生観こそが生きていくための最大の武器になるのです。
 
 つねに失敗を回避すべく他者の指示のみに従って右往左往していたら、確固たる人生観ができてこないでしょう。人生観がないまま生きるのは、先へ行けば行くほど大変です。
 とりあえず生きていく過程において、この瞬間さえ握っていればどうにでも展開できるという気持ちを持ちましょう。それこそ具体的なーー来年の何とか高校(大学)は穴場ーーなどというアドヴァイスより、よほど価値のある知恵だと思います。
 
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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