2014.06.14 09:58

 立ち飲み屋さんブームですね。都内のあちらこちらに新しい立ち飲み屋さんができては消える。新しくスタートしたZ会進学教室葛西教室(葛西教室のお話はまた日を改めて)の近くにも立ち飲み屋さんがありました。
 私がはじめて「立ち飲み」を知ったのは中学生のころでした。新大久保のバス停のまえに酒屋さんがあり、一角が立ち飲みコーナーになっていた。うなぎの寝床みたいなせまい空間に缶詰が置かれていて、裸電球の下でコートを着た男の人たちが無表情にコップ酒を飲んでいました。本当に無表情の感じがした。
 
 ガラス戸越しによくちらちらと観察しました。不思議でしたよ。夕方の5時すぎぐらいです。どうして家に帰らないでこんな薄暗い空間でお酒を飲んでいるのだろうと。しかもそれぞれが1人です。談笑したりする気配はまったくありません。黙々と飲み、黙々と缶詰を食べています。
 子ども心に(楽しいのだろうか?)と疑問を抱きました。楽しそうに見えないわけです。私はきっと自宅はもっと楽しくないのだろうと想像しました。家に帰るのがいやでこんなところで時間をつぶしているのだろうと考えた。
 
 自宅の近くの酒屋さんでもカウンターでお酒を飲ませていました。大学生のころ、家庭教師の帰りにその日いただいたお金(毎月直接いただいていた)で久しぶりに高いお酒でも買おうかとふらりと入った。酔っ払ったお客さんがいて、もう帰りなさいとお店の人に叱られていました。
 そのころは新大久保の酒屋さんはすっかり改装して立ち飲みコーナーは消えていました。ははあ・・・小銭を稼いで改装するためにやむをえず立ち飲みをさせていたのであって、積極的に続けたくはないのだなと解釈しました。
 
 昨今の立ち飲み屋さんはそれこそオシャレになってしまい女の方の姿もずいぶん見かけます。ジャズが流れていたりする。
 あのころのーー要するに昭和40年代50年代のーー香りがするお店はほとんどなくなってしまったのですが、まだかすかに奇跡的な(?)お店が残っています。私はときどきそこにお邪魔する。年配のご夫婦がやっていたのですが、いまはおば(あ)さんだけになってしまいました。つまみも190円とか150円とか驚異的な値段です。女性客はまずいない。
 
 おじ(い)さんがいらっしゃったころは貼り紙がしてあり、あまりきれいではない文字で何か書いてあった。よく見ると「暑いなか暑い当店にいらしてくださってありがとうございます」と書いてあります。冷房がないのです。さらに常連さんは割引しますとも書かれていた。
 息子さんがいらっしゃって何かお手伝いみたいなことをしているときもあった。私は10年以上通っていますが、進化するどころかますます昭和っぽく枯れてきました。
 先日、おば(あ)さんと2人きりになったので思い切っていろいろ質問してみた。おじ(い)さんは今年亡くなり、息子さんも遠くで暮らしている。お店はそろそろやめたいとおっしゃっていた。
 
 私の両親も妹もまったくお酒を飲みません。私だけが飲んでいる。そのお店で外をながめているとときどき部活を終えた中学生が通ります。
 あのころはあちら側にいた少年がいまはこちら側か。私も「楽しそうに」は見えないでしょう。でも、そこがいい。歳をとってからやっと理解できました。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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