2010.06.05 12:45

 子どもが幼いころ、こういう話をしました。お父さんは集団で何かをするのが非常に苦手だ。だからお前の学校の運動会に出ていくのは普通の親には何でもないことでも自分には大変な努力がいる。行ったとしても応援とかはできそうにない。遠くで静かに見ているだけだろう。それでもお前のことは大切に考えているので、どうしてもということであれば死力(?)をふりしぼって行くことにするよ。
 それ以外にもいろいろ話しました。息子は苦笑して「むりしなくていいよ」と言ってくれました。「塾の先生は土日も仕事が忙しいから」でごまかすこともできたのですが、そうしたくないという気持ちがありました。真剣な生きざまみたいなものを感じさせたかったのですね。

 息子はーーはじめはそんなことはなかったのですがーー成長してだんだん私に似てきました。中学の終わりに卒業記念の大きなイベントがあったのですが、その日だけはどうしても行きたくないと言い出しました。「おれはこういうの苦痛なんだ」それまでほとんど皆勤で通っていたので家内は困ってお父さんに相談しなさいと言いました。息子は「お父さんならわかるだろう?」と言ってきました。あれこれ話した結果、私はその日だけは休んでいいよと言いました。当日は天気がよく、家にいた息子は「天気がよくてみんな喜んでいるだろう。よかったよかった」と人ごとみたいなことを言っていました。

 一般的に人間は他者に弱みを見せたくないと考えます。とくに自分の子どもに弱点を見せたくないのは人情ですね。しかしーーどなたもそうだと思いますがーー必死に生きてきた結果としての自分自身は価値のある個性となっているはずであり、すべての分野において普通ということはありえないと思っています。どこかに偏った部分が出てくる。克服できることもあるでしょうし、そもそも克服する必要のないこともたくさんあるでしょう。
 そういう話はストレートに正直に子どもに伝えた方が、必ずいい結果を生むと私は思っています。ごまかすからどこかで不信感を持たれるのです。

 本音を語るというのは相手を信頼しているという証拠です。自分の親から信頼されれば子どもは当然うれしく思うでしょう。逆にどこかに嘘があるということは自身が信頼されていないということになりますから、何かしらもやもやしたものが残ります。もちろん伝え方(とき、ところ、語り口など)は工夫しなければなりません。そういう努力が何よりも大切だと思うことがあります。
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幼児・小学生
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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