2010.05.10 14:15

 あるとき受験生のお父さまから連絡がありました。さすがに今年の話ではないですよ。
 うちの息子にもっと勉強をさせたい、息子と「腹を割って」話し合ったが本人はやる気満々である、そこでプラスαの課題を与えてほしい。
 私が担当している生徒ではなかったので、各教科(Z会進学教室は各先生が専門の一教科のみ教えることになっています)の先生に課題をお願いしました。いままではあまりやる気のない生徒だったという話で、ついに○○くんも頑張る気になったのかと先生方は喜んでいました。

 ところがせっかくの課題をまったくやってきてくれません。強く提出するように求めるとほとんど白紙で出したりします。「まるでわからなかったんです」と弁解するのですが、一年生のころ習ったところまで白紙になっているので、考えたくなかったのでしょう。
 そのうち先生方から「量を増やしたら○○くんはかえってやらなくなってしまいました」という報告を受けました。ちょっと様子を見てみましょうかと話していたところに、またまたお父さまから「点数が上がらないのでもっともっとやらせてほしい」という連絡が来ました。これは・・・と思って私は直接その少年と話しました。

 人のよさそうな大人しい少年だったのですが、私がおうちから頼まれた課題の件を持ち出したとたんに泣き出しそうになり「もう、勘弁してくださいよー」と机のうえに上体を投げ出してしまいました。
 要するにお父さまが厳しくて何も言えない、受験勉強はいやでいやでたまらない、そんなことを口にしたらものすごく叱られるのでこんなことになってしまっている、この話は絶対に内緒にしてほしい・・・と切々と訴えます。
 こんなケースが案外多いのです。

 そこまでつらいのであればやはりご家庭で「そこまでは」やりたくないと正直に伝えられる空気がないと本人が気の毒だと思います。本当にやる気のある受験生ならたとえば「一年間ゲームはやらない」とか「テレビは週に三本まで」とか「朝も必ず勉強する」とか「塾では友だちと離れて座る」とか、形にあらわれる行動を必ず自身に課していくものです。そういうものなのです。
 漠然と「うんと頑張る」と抽象的に表現しているのは、何かをやりすごそうとしているだけかもしれません。

 私はその生徒に「むりなく頑張れる範囲でいいから最大限のところまでやってみてごらん」と言いました。ご家庭では○○高校合格の努力をせよと厳命されているというのですが、そういうことは一端離れて自身を成長させるためにきのうよりは今日、今日よりは明日と努力の量を増やしてほしいと言いました。
 それでさえ、僕にはできないと思うんですと本人は嘆いていました。能力の問題ではなく覚悟の問題ですね。

 お子さんが頑張る頑張ると大宣伝しながら何も生活が変わらない場合、そこにはまだ何かしら考えなければいけない要素が残っているのかもしれません。力づくで・・・というのはいっぺんにつぶしてしまう可能性がおおいにあり非常に危険です。特定の学校に合格したり同級生の誰々くんに負けない点数をとったりする以上にご本人の成長は大切なわけですから、長い目で見守ってあげないといけないケースも多いと思います。
 
 
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幼児・小学生
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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