はじめて教えた生徒がもう四十代ですから、いろいろなことがありました。すごく優秀な生徒で超一流大学からやはり超一流企業に入った男の子がいました。さすがだなと思っていると二年もたたないうちに会社をやめてしまいました。機会があって理由をたずねたところ、あっけらかんとしたもので「部署の部長がばかすぎてやってられなかったんです」と答えました。「あれじゃ、自分のよさを活かせるわけがないと思って」
うーむ、ですよ。
中学に入ると内申というのがつきます。通信簿ですね。いちばん上が5、いちばん下が1。とてもよく出来てオール5なら九教科合計が45になります。
この内申というのはしかしテストの点数どおりにつくわけではありません。テストでトップをとったところで何かの理由(授業中の態度とか提出物の評価など)で4がついてしまうこともあります。理不尽なようですが、そういう仕組みになっているので仕方がありません。
優秀であるにもかかわらず内申がとれない生徒がいます。また非常に上手にとる生徒がいる。内申をとる人が無条件に偉いと言っているわけではありませんが、公立高校の入試ではすごく有利に働くのは事実です。
内申のとれない生徒にたとえば「この教科はどうして3になったの?」と質問してみることがあります。すると彼らの多くは「ああ、その教科は先生がだめなんですよ」と即答します。女の子でも「その先生大っ嫌い」と言ったりします。これまたうーむ、ですよ。
やはり以心伝心、先生の方にもそういう気持ちが伝わってしまう。そのあたりの難しさですね。
世の中、職種に限らずりっぱな人間ばかりだったらよいのですが、ときにはもたもたした人ややる気に欠ける人が出てくる。その多様性のなかに、しかし何かしら貴重なものがあるとも言えるのです。いろいろな先生に苦労することは社会に出る準備として悪いことばかりではありません。
オール5をとるほどの子たちは他者が気づく程度には、やはり特定の教科の問題点は感じているはずです。だが、あえて個対個の問題として先生との関係を上手に調整していく。対人関係の技術ですね。それはまた一つの大きな能力だと思います。
2009.09.15 11:00
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