2020.01.12 00:15

 先日、あるところで「マスク依存症」という言葉をはじめて目撃しました。これは知らなかった。こういう言葉が出てきているということは、ある種社会問題化しはじめているのかもしれません。
 マスクをやめられなくなるというのです。マスクをつけていると対人関係である程度の距離感が保てます。相手の視線を一部さえぎることができる。じろじろ見られても安心でしょう。その安心感が心地よくて、何でもないときもマスクははずせなくなる。マスクがないと人前に出るのがこわい。
 
 風邪をひいてマスクをするというスタイルは昔からありましたが、最近は「予防のため」とおっしゃる方も多いですね。実際ある程度の効果があるらしく、予防のためのマスクは日本中で流行しています。ですから体調不良でも何でもない生徒が四六時中マスクをつけていても、私はまったく気にしていませんでした。
 ときどき面接の練習のときにもマスクをしている子がいるので、本番のときはとりなよ・・・ぐらいでしょうか。それ以外の機会に、いちいちはずしなさいと指摘したことはありません。
 
 ただ心理的な問題があるとなるとちょっと心配です。中学生のうちはいいですよ。高校生大学生さらに社会人になってもマスクをしないと対人関係が安定しないというのはやはり問題かもしれません。面と向かって大切なお話をするときや大勢の人間に伝えたいときにいつも顔を隠しているわけにもいかないでしょう。表情全体で誠実に伝えたほうが確実で、それができないと他者に(隠しておきたい何かがあるのでは?)と不安を抱かせる可能性もある。
 目は口ほどに物を言うという表現がありますが、表情全体が見えていてこそ十全に伝わるものがあるはずです。
 
 もっとも自分も高校時代、顔を隠したいとよく考えました。マスクという発想は思い浮かばなかったので、ひたすら髪を伸ばした。伸ばして目元が隠れるように、また耳や襟足のあたりも隠れて無防備な面積が少なくなるように努力した。
 大人に切りなさいと言われると強い反発を感じました。顔を出すことに強い抵抗感があったのです。数少ない友人には「どうしてそんなに顔を隠したがるのか」と訊かれ「世界一醜いから」などと答えて笑われました。
 
 ところが、内心はまったくそう思っていない。真逆のことを考えているのです。おれはジギー・スターダストだとうぬぼれている。ところが周囲に全然評価されないものだからやけくそ的な倒錯感情が湧きおこってきて、いつでもどこでも「醜いから」を連発するようになりました。
 そんな私がマスク依存症は問題ですなどともっともらしいことを書くのもどうかと思いますが、あまりにも逃げこみたいという欲求が強いのであれば、単純にマスクをするだけでなく多少は違う対処法を考えてみてもいいのかもしれません。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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