2019.12.08 00:44

 先日、中央線のある駅で若い男性サラリーマン同士が会話しているのが聞こえてきました。おそらく30代。「めし食ってかない?」「うん」「どこで食う?」「どこでもいいけど・・・ごめん、おれちょっと小便してくるわ」
 何ということのない日常会話です。これは別に30代以外でも不自然ではないと思います。確認したわけではありませんが、うちの息子も外ではこんなことを喋っているような気がします。
 
 どうしてそうなったのかよくわからない部分もあるのですが、私は昔から「めしを食う」という直截な表現が苦手でした。他者からそうした言葉で誘われれば、もちろん意味は通じるわけですから、おなかがすいていれば「うんいいよ」ということになる。ただ私が他者に声をかけるとしたら「食事しない?」とさえ言わないですね。「何か食べない?」とも言わない。いきなり食べるか食べないかという選択を迫るのは若干乱暴であるという意識があります。
 
 おそらく私は「おなかはすいているかい?」と婉曲表現を使うと思います。相手がすいていないと答えれば、自分がどんなに空腹でもおそらくどこかに入ろうとは言わない。次のチャンス(?)まで何も食べずにすませます。
 もし相手がすいていると答えれば、そこではじめて「何か食べる?」と提案する。食事という熟語も気取った感じなので、めしとは逆の意味で使用しません。ですから「食事でもしようか」と言わないわけです。
 
 何か食べる? というのは非常にあいまいな表現ですが、言葉の広がりの中に逃げ込める安心感があります。めしを食うというとそれがもうちょっと限定されていく息苦しさが出てくる。
 同様に「小便してくる」というありがちな表現も使用しません。あまりにも状況が限定されてしまうので、若干の下品さが漂う。かといって「ちょっと失礼」などと呟いて姿を消すのもわざとらしい。
 
 場所だけは限定させておきたいという気持ちから「ちょっとトイレに」ぐらいでしょうか。若いころ、私は自分の言葉遣いがひ弱で女性的ではないかと悩んだ時期がありました。もうちょっと男らしく下品にしたほうが楽になるのではないか。上品下品の問題ではないのだということにあとになって気づきました。広がりの問題で、あいまいな表現を好んでいるということなのです。
 ですから、当時女の子を誘いたいときも「最近面白いことはあった?」程度でした。相手が気づかなければそれで終わり。個々の表現にはその人なりの文化が宿るものです。
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長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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