勉強の話はさんざん書いてきたので繰り返しになってしまうのですが、少しだけ補足しておきます。「成績が『飛躍的に』上がらない」と嘆いている方がいますが、原因は比較的はっきりしています。
ご本人は「勉強している」とおっしゃる。ウソではないでしょう。ただご本人の基準から見てということです。相対的にもっともっと勉強している仲間は大勢います。それをやりなさいというのではないですよ。ただ原因がわからないというのであれば、原因の1つは間違いなくそうです。
数学の得意な生徒がいました。いわゆる最難関高校に進学された。自習室で黙々と数学に取り組んでいる。見たことのないテキストを使っていたので、ちょっとのぞいてみた。あ、これ高校生用のテキストなんですよ・・・と答えました。面白いので、暇さえあれば個人的にどんどん先に進んでいるという話でした。
また別の生徒で、通りを歩きながらある教科のテキストを読んでいる男の子を目撃したことがありました。歩きながらですよ。
さすがに危ないと思ったので、あとでちょっと注意しました。「あ、見られてましたか。何やってても勉強のことばかり考えちゃって・・・完全に趣味の世界です」と恥ずかしそうにおっしゃった。
繰り返しますが、全員そこまでやりなさいという意味ではありません。ただそういう人間がけっこう実在する。英語の音読20回を実行している生徒もそうでした。大変じゃないのかね? と質問すると、好きでやってきただけですとけろりと答えました。
好きだからという仲間がたくさんいる。特定の科目にかたよるのかもしれませんが、とにかく勉強が好きである。サッカーが好きダンスが好き音楽が好きゲームが好きと同次元で、勉強が好きという人がーー珍しくはない程度にーー存在します。もしあなたがその仲間に所属していないのであれば、それもまた「飛躍的に」は伸びない原因の1つでしょう。
ただその人たちは、あなたが得意なことはあなたほど好きではないかもしれない。
私は将棋が好きで徹夜で指し続けたことが何度もあります。賭け将棋なんかではないですよ。実利はまったくない。ただ面白いから私も相手も朝まで夢中で指し続けた結果です。「少しは将棋に興味がある」程度の人にはとても無理でしょう。強い愛情や執着心がないとできません。
勉強も同じことで、私が見た感じでは睡眠時間を削ってまで勉強している人たちの何パーセントかは単に無我夢中になっているだけで、苦痛は感じていない。
ある優等生(私立の中3生)にどうしてきみはそんなに成績がいいのかと訊ねたことがあります。即答しましたよ。「そりゃぼくほど勉強している人間はいませんから」
勉強にかける思いや愛情だけでなく作業量も多ければ多いほどうまくいくわけですが、何の世界でも同じです。トップに負けないほどできるようになりたいということであれば、自分ほどやっている人間はいないと断言できる同級生と対等になるまで頑張るしかないでしょう。ただ、それが個々人にとって本当に意味があるのかどうかは別問題です。それぞれの価値観でしょう。
2019.11.12 09:23
- カテゴリ : とっておきの学習方法
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