2019.02.21 01:19

 きみが私をすごく好意的に見てくれることをうれしく感じている。きみのような少年(少女)は珍しいかもしれない。いまの私はなるべく目立たないようにしているから仮に自分に僅かなよさみたいなものがあったとしても、伝わりにくいと思うんだ。
 私がどうしてこんなことをきみに向かって話そうと考えたかというと、1つだけ誤解されては困ることがあるからなんだ。私はいわゆる気ままな世捨て人に見えるかもしれないが、必ずしもそうではない。
 
 ここは明確に表現しておくが、私はいつでも「偉く」なろうと考えている。私には私なりの理想があり、そちらに向かってひたすら「偉く」なりたいと思ってきたし60代のいまも思っている。
 何か肩書き的なもので偉くなることを目ざしていたかというと、それはあまりなかったかもしれない。さらに物質的な豊かさという意味では、私はほとんど何もしてこなかった。その一面だけを見て、きみがあれでいいやと誤解するといけないとも思ったんだ。
 
 いい加減に見えていても、私は理想に向かっていた。理想といってもいまはもう抽象的なレベルになってしまって、人間名ではあげられなくなってしまった。若いころはニール・ヤングだとかヘルマン・ヘッセだとか太宰治だとかに憧れて、それこそ彼らの服装を研究したりもしたが(ヘッセ風の丸メガネを作ろうとしたら特注品で高くなりますと言われて断念した)、もはや彼らのような偉人でさえ「目標」としてはいけないのだという感覚がある。
 安易に人真似をしてはいけない。自身の形でベストなものを見つけていかなければ、自分である意味がないからね。
 
 私がこうしてブログを書いたりしているのも、あくまでも私のできる形で少しでも世の中に温かみを増したいという意識的な行動であって、とくに具体的な対価のためにやっているわけではないということも覚えておいてほしい。「書くメリットは? 続けるメリットは?」などとは1度も考えたことがない。きみに例えれば「勉強するメリットは?」みたいな話だな。自分はそういうことを考えること自体きわめて滑稽に感じるので、最後までメリットの計算はしないだろう。
 
 気ままに自由に見えるだろうが、私も自分なりの気概を持ち続けているということだ。きみが「自分も先生みたいにとらわれずに生きていきたい」と考えるだろうから、私は私の理想に「とらわれながら」生きているということだけは伝えておかなければと思ったよ。
 捨てたものはたくさんあるが、それは自分の目ざす偉さとは関係なかったから捨てただけで人生そのものを捨てているわけではまったくない。あたりまえのものを捨てるのは、何かを得るためでもあるわけだからね。
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この記事へのコメント

  • 1, 新月さん 2019.02.21 12:31
    いつか理想の自分になりたいと願って、ストイックに生きている傍ら理想にとらわれたり、理想を離れて堕落したりを繰り返しているような気がしています。長いことかかりましたが、そんな自分が嫌いではなくなりました。先生の生徒さんはお幸せですね。。
  • 2, RB26DETTさん 2019.02.21 14:25
    囚われてはいけないものとそうでないものがあるということですね。先生のメッセージはよくわかります。自分の理想の中での
    ある一つの(一人の)モデルのようなものにすることがいいですね。3パラ目の最後の2行の事もよくわかっています。自分を大切にすることですね。個性や世界観を自分の軸やセオリーに沿った形で広げて豊かにしていくことが大事だと思いました。ありがとうございます。まあ、明日の入試は落ち着いて実力を出し切ってこようと思います。
  • 3, 長野先生さん 2019.02.21 14:58
    新月さま

     こんにちは。
     ご自身を受け入れていける過程が「成熟」なのでしょう。それぞれ個性がありますからね。
  • 4, 長野先生さん 2019.02.21 15:02
    RB26DETTさま

     こんにちは。
     入試、途中で合計の点数計算なんかをしないようにな。黙々と目の前のことだけを処理してください。どちらにせよ、きみが得た結果をきみのベストにすることは可能だから。
  • 5, 栗ごはんさん 2019.02.21 18:07
    なるべく目立たないようにしているから良さが伝わりにくいと仰いますが、そんなことはないと思います。以前、講演に参加した時に、司会をしていた先生を拝見しました。穏やかで気品ある佇まいの中にオーラのような温かさを感じました。

    先生のお考えには何度も救われました。古くは開講2年目の中学受験向けの通信教育で、保護者向けの冊子にも執筆されていたと記憶していますが(違っていたらすみません)書かれていたお子さんの話(うさぎがいるという嘘だけは許せなかったとのお話です)には今でも背筋が伸びる思いです。

    そうして育ててきた子どもは今日、中3最後の授業に出かけました。疲れていたらしく、不機嫌そうに支度していましたが、玄関でくるりと振り向き「今までZ会に通わせてくれてありがとう。反抗したり、あまり勉強しなかったりでごめんなさい」と言って出ていきました。とても嬉しくなりました。
  • 6, 長野先生さん 2019.02.22 10:36
    栗ごはんさま

     誤字がありました。書き直しました。

     こんばんは。
     そのひと言はすごい。辻斬りみたいなセリフですよ。そういうお子さんに育ったことに誇りを感じてください。それはもちろん「あなたの育て方」がよかったからです。一生の財産ですね。

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35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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