2019.02.20 08:59

 そう言えば中学校のホームルームの時間、担任の先生から同学年の友だちの名前を「ふたり」書きなさいと指示されたことがありました。この問いかけには非常に困惑したことを覚えています。好きな者同士で班を組めと同じ要素がありますね。
 私には、それなりに親しい友人がいないこともなかったのです。私が通っていたのは私立の男子校でしたから、同性ですよ。ただよくわからないのですが、いちばん親しい相手の名前は書きたくなかった。
 
 そこにはこういう心理が働きました。彼は私の名前を絶対に書かないだろうと想像したのです。彼は私と違ってきちんと部活もやっていますし、それなりに勉強もできました。友人も多いので「ふたり」枠におそらく私は入らないでしょう。
 先生がのちに私やその友人が書いた名前を見て、こいつ(私のことです)は大胆にもあんな人気者の名前を書いて、向こうからは全然相手にされていやしないじゃないか・・・などと笑われたら、屈辱的だと考えたのです。
 
 もう1人比較的親しい友人がいましたが、こちらも名前を書きたくない。その友人のことはあくまでも先の少年より(友情という意味で)下に見ていたので、繰り上げて名前を筆頭に書くのは露骨なウソを書くようでいやでした。
 となると、とりあえずまあ話しているかぐらいの相手の名前を書くしかない。ただもちろん相手は私の名前を書かないでしょう。こちらが名前を書くのだから、面倒が起きないように向こうにも書いてもらいたいと考えました。
 
 そこで作戦をたてて、私は近くの席のいかにも友だちの少なそうな少年に声をかけました。きみの下の名前は何だっけ? 相手は「え?」という顔をしました。それはそうだと思います。挨拶しか交わさない仲なのですから。気分をよくした彼は「じゃあ、おれもきみの名前を書くか」と言いました。
 とりあえずは切り抜けたのですが、自分はこうやっていつも姑息な手段で生活しているという変な感覚は胸の底に残りました。
 
 要するにおおらかな自信がなかったのですね。自分は何についても「ふさわしくない」とどこかでおびえている。きちんとした友情を育めていない。
 これは一般論ですが、たとえば親がわが子に「成績のいい子以外とはつきあうな」というような浅薄な価値観を押しつけるのは、非常に危険だと思います。人間関係は自然に開花すべきであって、とにかく学力の高い子とだけ話しなさい・・・といういびつさは、何かを摘んでしまうと思います。
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この記事へのコメント

  • 1, ふぐさん 2019.03.04 21:21
    長野先生

    こんばんは。
    自分は何についても「ふさわしくない」とどこかでおびえている。
    まさに自分のことだと思いました。
    特に新しい環境で全く馴染めず、勝手に疎外感を感じてしまいます。
    自分の真横で輪になって笑いあっているなかに入れないのです。自分なんか軽々しく加わっちゃいけないんだと思ってしまいます。
    学生時代は「親友」という言葉を聞くと苦しくなりました。
    とにかく自信がないんですね。
  • 2, 長野先生さん 2019.03.05 01:14
    ふぐさま

     こんばんは。
     最後に何か見えてくると思いますよ。淡々と進んでいかれることです。こうやって本音のやりとりが出来る相手だけが「親友」なのですよ。性別も年齢も関係なく。
  • 3, ふぐさん 2019.03.05 06:55
    長野先生

    おはようございます。
    お返事ありがとうございます。
    自分だけじゃないんだと思えたり、
    本音が言える場があることに感謝です。
  • 4, 長野先生さん 2019.03.05 10:22
    ふぐさま

     こんにちは。
     本当に皆さまのおかげで、ささやかながらよい「場」ができたように思います。どうもありがとうございます。
  • 5, 卒業生さん 2019.05.15 19:44
    まさにこれに近い!
    https://mobile.twitter.com/sugary_pixie/status/969173767841656835?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E969173767841656835&ref_url=https%3A%2F%2Fnlab.itmedia.co.jp%2Fnl%2Farticles%2F1803%2F03%2Fnews020.html
  • 6, 長野先生さん 2019.05.16 09:58
    卒業生さま

     おはようございます。
     とくにお若いときはそうした感覚があると思います。その繊細さのなかで、悩みながら生きること自体がじつは幸せなのですが。

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35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

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