2018.08.31 02:04

 どのような言葉を遣うかというのは、その人間がどういう文化圏に属しているかということの証明になりますね。同じ日本語の会話でも全然噛み合わないことがあり、要するに背負っている文化が違うのだなと感じるときがあります。そこには微妙な優劣が出てくる可能性がありますが、普遍的なものではないのかもしれません。つまりたとえばいい成績をとるためにはとか、上流階級として生きるにはとか、限定した枠内での好ましい言葉遣いというものはあるということなのでしょう。
 
 野卑な言葉遣いに憧れた時期がありました。そもそも私はしつけの厳しい家庭に育ったので、子どものころ自分のことを「おれ」と称すると両親に叱られました。そんな言葉を使用してはいけないというのです。「ぼく」とか「わたし」とか言いなさいと言われました。わたし・・・小学生の男子ですよ。
 周囲にはもちろん「おれ」がたくさんいます。1人だけ「わたし」などと称していたらどれだけ軽蔑されるかわかりません。
 
 現在、私は親しい人間には「おれ」と自称しています。これはいろいろ考えた末いちばん自分にふさわしいと感じたからで、40代からは公式の場以外はすべておれです。息子に対してもそう。ぼくやわたしは使いません。
 ですから小説なんかでも主人公が「ぼく」を使っているとちょっとだけ違和感を持ちます。「わたし」や「私」はそうでもないかな。私小説の伝統がありますから自然な感じを受けるのですが、「ぼく」は少し抵抗がある。
 
 先日、あるところで非常にかわいらしいお嬢さんを目撃しました。大勢の女の人が歩いていたのですが、その子はひときわ色白で人目をひく存在でした。20代前半ではないかと思います。日傘をさしている彼女と私はすれ違う形になりました。彼女はーーどういう仕組みなのか私にはわかりませんがーー最近は機器を耳に当てなくても電話で話せますね? そういう状況で笑顔でどなたかと会話をされていた。すれ違うとき彼女のセリフがはっきり聞こえてきました。「でも、くそビッチでさぁ・・・」そのあとは笑い声。
 
 個人の感想ですが、大変可憐な印象だっただけにちょっともったいない感じはしました。言葉が仲間を決めるという意味もありますが、もうちょっと拡大して考えると言葉は人生を決めてしまう面もあります。
 きれいな言葉を遣いましょうという道徳の結論にはしたくはないものの、無意識に言葉を選んでいるのであれば無意識に人生を選んでいるのと同じことになりかねないとも思うのです。服を選んだり食べ物を選んだりする程度には言葉も選んでいくといい。個々の幸福のために必要なことなのではないかとも思います。
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この記事へのコメント

  • 1, すみっコきたくさん 2018.08.31 20:16
    日頃、言葉の選び方と同じくらい声のトーンも意識しています。気持ちが沈んでいても、できるだけ明るい声で挨拶をする。ホントは誰とも話したくないのですが、自身の振る舞いが与える影響を考えた結果そうなりました。人の上に立つとは簡単なことではありませんね。
  • 2, 長野先生さん 2018.08.31 22:36
    すみっコきたくさま

     こんばんは。
     ああ、そういうことはあるだろうね。大変なときに落ち着いた声を出すとか。結局仕事のためというより、世の中のためみたいなところが大きいのだろう。

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