2018.03.31 06:32

 自分はとくに中学生のころ大人たちにごちゃごちゃ言われるのがすごくいやだったので、平均値のところに隠れていようという気持ちを持っていました。真ん中でぼんやり生きていれば、何も言われなくてすむだろうと考えたのです。我ながらいい作戦だと思ったのですが、平均値というのは成績のことだけではないのだというところまでは思いがめぐりませんでした。
 また平均値をとっていても両親や学校の先生があれこれ激励してくるのも計算外でした。他人のことでどこまで欲張りなんだよ! とうるさく感じただけでしたよ。
 
 やればできるとか得意科目を持てとか言われるのですが、そういう面倒に巻きこまれないために隠れているのです。難しい書籍ばかり読んでいたので国語の成績だけ上がってきましたが、点数の調整のため実力テストでわざとふざけた解答を書いたことがありました。そのときは職員室に呼ばれて注意を受けました。案外見ているもんだなと思ったものです。
 ところが大人になるに連れて平均値に隠れて生きるのは、逆に窮屈な生き方であるということがわかってきました。
 
 それはそうですね。平均値の服装、平均値の会話、平均値の食事、平均値の娯楽、平均値の冒険、平均値の友情愛情・・・息がつまります。
 10代のころと違って自分が大人ですから、もうあまり隠れていなくてもいいやと考えるようになりました。
 人間、誰でも個性があります。他者に迷惑をかけてはいけませんが、そうでない限りはせっかく生まれてきたわけですからご自分の個性は極限まで伸ばされたらいい。やりたいことをやり、ふさわしく生きてください。
 
 現在の私は自分がどういう部分で生徒たちから信頼を得ているかということがよくわかっています。彼らは私が平均値の大人でないから信用してくれる面があります。ひょっとすると保護者の方でさえそうかもしれません。
 その特質を失ってしまえば、自分には価値がなくなるわけです。そしてここが難しいところなのですが、何かができるようになることで何かを失う可能性がある。変な例ですが、たとえば私が健康のことだけを考えて徹底的に生活を管理しはじめたとします。すると相当つまらないおじさんになってしまうと思いますよ。
 
 いまのだらしない(?)生活のおかげで外部世界への愛情や寛容さは保たれているということが自分にはよくわかるのです。それらの特質は「真面目になりすぎる」ことで確実に損なわれるでしょう。完全にはなくならないとしても大きく減ずることにはなりそうです。要するに、人は自身の内側から出てきたものではない何かに貪欲になることで、本来の自分ではなくなる可能性がある。それはちょっとこわいことであるように自分には思えます。
 
Tags :
幼児・小学生
中学生
高校生
高校受験
ソーシャルブックマーク:

この記事へのコメント

  • 1, ふぐさん 2018.04.01 06:25
    長野先生
    おはようございます。
    平均値とは「世の中の普通」のようなものでしょうか?
    私も平均値でいることを基準に生きてきました。
    長野先生の理由とは違うのですが、私の場合は周りから否定されないためでした。
    近頃やっと、まじめでいることが正しさではないと感じるようになりました。子どもが生まれたり(もう7才ですが、日々色々なことを考えさせられます)、長野先生の本やブログに出会ったことが大きいと思います。
    でもまだ自分の個性ややりたいことがわかりません。こんな歳でお恥ずかしいのですが、どうすれば自分の個性ややりたいことに気付けるのでしょうか?
  • 2, 長野先生さん 2018.04.01 06:32
    ふぐさま

     おはようございます。
     おひとりのときにお好きなことを書き出してみるといいと思います。その紙を眺めて瞑想なさってみてください。私の場合ですと「洋楽」「海辺」「夏」「物語」「友情」「犬」「愛」「下町」・・・という感じになりますかね。そこから活動ラインを作っていくのです。なりたい自分をすぐに演じてみるというのもいい方法です。
  • 3, ふぐさん 2018.04.01 07:01
    長野先生

    すぐにお返事頂きありがとうございます。
    好きなこと、紙に書いてみます。
    普段から自分の気持ちを紙に書くようにはしているのですが、好きなことを並べて書いたことはなかったかもしれません…
    ワクワクしてきました。
    ありがとうございます。
  • 4, 長野先生さん 2018.04.01 21:46
    ふぐさま

     こんばんは。
     遊び方ということだと思います。いろいろ遊んでみてください。何か見えてくるのではないかと思います。楽器をやってみようかなとかうんとオシャレしようかなとか詩を書いてみようかなとか。衝動みたいなものを大切になさってください。
  • 5, ふぐさん 2018.04.02 07:04
    長野先生

    おはようございます。
    お返事ありがとうございます。
    これをやってみたい!という衝動、たまにあると思います。
    それを大切にすればいいのですね。
  • 6, 長野先生さん 2018.04.02 07:22
    ふぐさま

     おはようございます。
     日々更新されていくご自身を楽しむということですね。いま飲まれているコーヒーは昨日のものとは違う。同じようでも確実に違います。そのあたりをわくわくと楽しまれてみてください。
  • 7, ゴイゴイさん 2018.04.04 22:12
    こんばんは。
    平均値という言葉を見て、その元となる観測値についてですが、例えば個性や考え方、あるものの見方、見解など、それが多様で人それぞれであり、自分が思っていた以上に振り幅が大きいと思い始めました。
    職場でのことですが、自分の考えと、他人の考えが、割と差異が大きいんだなぁと思いました。
    ある程度はルールで統一出来るのでしょうが、十人十色というのを、悪い意味で実感した昨今です。
  • 8, 長野先生さん 2018.04.04 22:37
    ゴイゴイさま

     こんばんは。
     他者との差異は大きいですね。隠れるために平均値でいこうと考えていた時代があるのですが、いまはまったくそういうことを意識しなくなっています。私が敬愛している人物はーーブッダとかジム・モリソンとか荘子とかーー全然平均値ではないですからね。

印は入力必須項目です。
※ログインしていると自動的に名前が挿入されます。

名前
URL
Mail
コメント
画像

画像認証 :

※表示されている数字を半角で入力してください。

 

トラックバックURL

トラックバックURL
【トラックバックにつきまして 】
Z会ブログでは、トラックバックにスパム対策を講じております。
Z会ブログの記事へトラックバックを送信する際には、トラックバック元の記事の本文中に、トラックバック送信先の記事の「ページURL」を記載してください。「ページURL」が含まれていないトラックバックは受け付けできません。
なお、一部のブログやサービスからのトラックバックは受け付けできない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

プロフィール

プロフィール画像
長野先生
35年以上、中学生を教え続けてきました。生徒たちが日々の学びを通じて大きく成長できますように明るいヒントを発信していけたらと思います。

カレンダー

<<   2020年02月   >>
            01
02 03 04 05 06 07 08
09 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

新着記事

月別アーカイブ